人狼ゲーム 〜牢獄の悪夢〜
人狼ゲーム 〜牢獄の悪夢〜
暗闇……ここは……森だろうか……
かろうじて見える。
一人の男が森の中を走っていた。その後ろには、なに
か……不気味な人。
あっという間に追いつき、不気味な人は男
に────かぶりついた。
と同時にアナウンスが入る。
「いやはや。君のそのチカラには魅入ったよ。完全なる君の勝利だ。」
どこからか、響く男の声。
そしてまるで動物のように吠える女……のような声
そこで私の記憶は────失くなった。
「──。─な。ルナ!」
「ふええっ?!」
私を呼ぶ声につい驚いてしまう。
「もう。だいぶうなされてたわよ?大丈夫?ご飯だから、下においで。」
「あ、ありがとう。大丈夫。」
いつもの母の声。
いつもの部屋。
いつものベッド。
さっきのは……夢だったのか。
随分リアルだった。
なにか……知っているような、知らないような。見たことがあった気もするような……。
とりあえずこれでは埒が明かないのでパジャマからジーパン、パーカーに着替え髪を結き下に降りる。
朝食の、とてもいい匂い。
今日はベーコンと目玉焼き……あとパンか……と自分で匂いを感じ、思わずよだれがたれた。
「おはよう、ルナ。うなされてたとは。大丈夫か?」
「大丈夫よ、パパ。変な夢を見てただけ。」
「まあバカなルナのことだし、夢ん中で好物食い過ぎただけとか、ありえるな。」
「ちょっと。お兄ちゃん?朝食食べてあげようかお兄ちゃんの分。」
「ひひぃ……やめてくれぇ……。」
「こらこら。ちゃんと座って。配るから大人しくしてなさい。」
それぞれの前にプレートが置かれた。
「それじゃあ。手を合わせて。いただきます。」
「「「いただきます。」」」
大丈夫。
いつもの美味しいお母さんの朝食。
パンは外カリカリ中ふわふわ。
目玉焼きはちょうどいい具合に半熟でベーコンはカリッカリ。
完璧だ。
大丈夫。さっきのは本当に夢で、なにも関係ない。
異様に頭に残ってはいるが、牛乳で流す。
「「「「ごちそうさまでした。」」」」
いつも通り、片付けを始める。
「あ、そうだ。テレビ、見るか ?」
い……つも通りじゃない。
家族は比較的どんなテレビ番組も見るタイプだけれど朝はあまり見ない。なのに。なんで。
「え、何見るの。」
「忘れたのかよお前。今日発表の日だろ?」
「……え?」
「もう。ほんと忘れっぽいわね。」
「……え?」
「今日は人狼ゲームのメンバー発表の日じゃないか。忘れたのか。」
人狼ゲーム……人狼ゲーム……!!!!
「ああ!人狼ゲームか!忘れてたわ。」
バカだな、なんて言われながらテレビをつけた。
この国は治安はいいし食べ物も美味しいし緑はキレイ
自然は沢山どこから見ても完璧な街なのだ。
だが一つだけ、似合わぬイベントがある。
それが ''人狼ゲーム'' なのだ。
簡単に言うと 
''殺し合い''
 だ。
複数人でチームを作り、だだっ広いところに出される。
いくつもチームがあって、合流可能。
しかし最後に生き残るのは人狼陣営か、村人陣営。  
ゲームの実写版みたいなものだ。
しかし、この実写版は特別なルールがある。
それは、『武器使用可能』ということだ。どこかに隠されている武器を見つけるか、自分で作るかのどちらか。使っても使わなくてももちろん大丈夫。
しかし人間。我先にと武器を取り合い仲間を殺す。
平気で裏切るのだ。それが開催者たちは『面白い』のだと。どんな神経なのか。
チームはくじ引きできまる。小さな子もいればおじいちゃんおばあちゃんももちろんいる。
騙し合うのは誰だって出来る。
裏を返せば、どんなやつも信じちゃいけない。
いつもいつも思う。ここで選ばれる人はとても可愛そうだ、と。訳のわからない、理不尽な理由で戦争に駆り出される。
そしてなぜか駆り出され死んでしまった人達のことをだれも口に出さない。
前も私の知り合いが出場したときに、最後の最後で死んでしまった日の翌日、私がその知り合いの話をしたら、
「誰だそれは?」
と言われたのだ。
参加を拒否することもできない上にくちにもだしてもらえず、お葬式もあげてくれない。なんて酷い仕打ちだ。
ただ、この時はまだ他人事だった。
まさか、あんな事になるなんて────
─to be continued...
かろうじて見える。
一人の男が森の中を走っていた。その後ろには、なに
か……不気味な人。
あっという間に追いつき、不気味な人は男
に────かぶりついた。
と同時にアナウンスが入る。
「いやはや。君のそのチカラには魅入ったよ。完全なる君の勝利だ。」
どこからか、響く男の声。
そしてまるで動物のように吠える女……のような声
そこで私の記憶は────失くなった。
「──。─な。ルナ!」
「ふええっ?!」
私を呼ぶ声につい驚いてしまう。
「もう。だいぶうなされてたわよ?大丈夫?ご飯だから、下においで。」
「あ、ありがとう。大丈夫。」
いつもの母の声。
いつもの部屋。
いつものベッド。
さっきのは……夢だったのか。
随分リアルだった。
なにか……知っているような、知らないような。見たことがあった気もするような……。
とりあえずこれでは埒が明かないのでパジャマからジーパン、パーカーに着替え髪を結き下に降りる。
朝食の、とてもいい匂い。
今日はベーコンと目玉焼き……あとパンか……と自分で匂いを感じ、思わずよだれがたれた。
「おはよう、ルナ。うなされてたとは。大丈夫か?」
「大丈夫よ、パパ。変な夢を見てただけ。」
「まあバカなルナのことだし、夢ん中で好物食い過ぎただけとか、ありえるな。」
「ちょっと。お兄ちゃん?朝食食べてあげようかお兄ちゃんの分。」
「ひひぃ……やめてくれぇ……。」
「こらこら。ちゃんと座って。配るから大人しくしてなさい。」
それぞれの前にプレートが置かれた。
「それじゃあ。手を合わせて。いただきます。」
「「「いただきます。」」」
大丈夫。
いつもの美味しいお母さんの朝食。
パンは外カリカリ中ふわふわ。
目玉焼きはちょうどいい具合に半熟でベーコンはカリッカリ。
完璧だ。
大丈夫。さっきのは本当に夢で、なにも関係ない。
異様に頭に残ってはいるが、牛乳で流す。
「「「「ごちそうさまでした。」」」」
いつも通り、片付けを始める。
「あ、そうだ。テレビ、見るか ?」
い……つも通りじゃない。
家族は比較的どんなテレビ番組も見るタイプだけれど朝はあまり見ない。なのに。なんで。
「え、何見るの。」
「忘れたのかよお前。今日発表の日だろ?」
「……え?」
「もう。ほんと忘れっぽいわね。」
「……え?」
「今日は人狼ゲームのメンバー発表の日じゃないか。忘れたのか。」
人狼ゲーム……人狼ゲーム……!!!!
「ああ!人狼ゲームか!忘れてたわ。」
バカだな、なんて言われながらテレビをつけた。
この国は治安はいいし食べ物も美味しいし緑はキレイ
自然は沢山どこから見ても完璧な街なのだ。
だが一つだけ、似合わぬイベントがある。
それが ''人狼ゲーム'' なのだ。
簡単に言うと 
''殺し合い''
 だ。
複数人でチームを作り、だだっ広いところに出される。
いくつもチームがあって、合流可能。
しかし最後に生き残るのは人狼陣営か、村人陣営。  
ゲームの実写版みたいなものだ。
しかし、この実写版は特別なルールがある。
それは、『武器使用可能』ということだ。どこかに隠されている武器を見つけるか、自分で作るかのどちらか。使っても使わなくてももちろん大丈夫。
しかし人間。我先にと武器を取り合い仲間を殺す。
平気で裏切るのだ。それが開催者たちは『面白い』のだと。どんな神経なのか。
チームはくじ引きできまる。小さな子もいればおじいちゃんおばあちゃんももちろんいる。
騙し合うのは誰だって出来る。
裏を返せば、どんなやつも信じちゃいけない。
いつもいつも思う。ここで選ばれる人はとても可愛そうだ、と。訳のわからない、理不尽な理由で戦争に駆り出される。
そしてなぜか駆り出され死んでしまった人達のことをだれも口に出さない。
前も私の知り合いが出場したときに、最後の最後で死んでしまった日の翌日、私がその知り合いの話をしたら、
「誰だそれは?」
と言われたのだ。
参加を拒否することもできない上にくちにもだしてもらえず、お葬式もあげてくれない。なんて酷い仕打ちだ。
ただ、この時はまだ他人事だった。
まさか、あんな事になるなんて────
─to be continued...
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