死神と呼ばれた殺し屋は異世界に
第38話 1回戦開始!
「ふぁ~」
ふう、元の世界と比べて目覚めが良いな。生活のリズムが整ってきたのか、それとも殺し屋という世界に対するストレスがなくなったからか。
……本当に元の世界に戻る気にはなれないな。むしろこっちの世界のほうがよほどいい気がしてきた。
さて、目覚めについてはそれくらいにして、今日が冒険者決闘大会の開催日。で、確か1時間後、王が所有しているコロシアムに行けばいいんだから……
飯食べてから行っても多分間に合うな。そう思いながらいつものコートに着替え、アルジェントを呼びに……
「ユウ、起きてますか?」
……今日は呼ばれる側か。俺はドアを開けた。
「さて、朝御飯食べに行くか」
「はい」
この宿は1階に食堂がある。朝早い上に結構美味しいと評判だ。実際、料理を求めこの宿に泊まる人も少なくないらしい。
俺達が頼んだのは、「オーク肉のハンバーグ定食」だ。魔物の肉は家畜の肉と比べるのもおこがましいと言う人がいるほど格が違いとても美味しい。
その代わり、冒険者が命懸けで狩るため家畜の肉と比べると高く、実際魔物の肉が使われている料理は値段が高い。
倍とまではいかないが、1.5倍の値段なんてざらにある。オークに対して俺は価値のないゴミと同然とすら思っていたが、オークの死体は一応価値があると思った。
……あくまで死体だ。……あくまで食用としてだ。あくまで俺はオークは嫌いだ。
そんなことを思っていると、「オーク肉のハンバーグ定食」が俺の前に出された。匂いは本当にハンバーグだ、魔物の肉と言わずに出したらおそらく普通に食べるだろう。
ナイフでハンバーグを切ると、中から肉汁が溢れ出てきた。フォークで刺し、口の中に運ぶ。
味も本当のハンバーグの味……いや、溢れ出てくる肉汁とこのハンバーグの柔らかさはハンバーグよりも旨いな。
ハンバーグの旨みを噛みしめながら、スープとパンを食べる。スープはコーンスープだ。温かさと少しの甘味が、更に食欲を加速させる。
しかし、少し物足りない。それは……米だ。この世界に来てから一回も米というものを食べていない。
別に生きていけないというわけではないが、さすがに久しぶりに食べたいと思う。艶がありふわっと炊き上がったご飯を、お茶碗に溢れるほど盛って食べたい。
そういえば東に日本と同じような国があるんだっけ、冒険者決闘大会が終われば行ってみるか。
旨いハンバーグを食べることの幸福感と、米を食べたいという少し寂しい感情が今日の食事には含まれていた。
◆◇◆
「よし、着いたな」
「時間にもきちんと間に合っていますね」
産まれて1度も時間に遅れたことはないからな。1分1秒でも遅れたら、殺しに影響が出る。主に狙撃の依頼のときはな。
周りに低い建物が多いときはいいが、大きなビルが建てならぶ大都市の場合、ビルとビルの隙間を通る一瞬を狙うということだってある。
また、相手のスケジュールから計画を立てるため、たった1分遅れで殺しのチャンスを逃すことになったら笑い者にもならない。信用を落とし、依頼がこなくなる可能性は普通にある。
師匠からも、どんなことがあろうと時間を守り、時間を大切にしろと耳にタコができるほど言われたからな。
そう思いながら、俺達は準備室へと向かう。
◆◇◆
準備室は思ったより簡素だ。大きいテーブルが真ん中に置いてあり、部屋の四隅には一人用のベッドが置かれている。
武器や防具の装着や、休息をとるときの部屋
なのだからこのくらい簡素でも案外なんとかなるのだろう。
さて、この大会はトーナメント式だ。いくつかのブロックに分かれて、それぞれのブロックの優勝チームがまた、トーナメントで戦う。
どこのブロックに入るかは、完全に早い者勝ちだ。ときによっては、ブロックの数が変わることもある。
今回は6ブロックで1ブロック16チームのため、出場チームは84チームだ。コロシアムは6つあり、それぞれのチームが同時進行で進む。
チームには、番号がついてある。ちなみに俺達はF-1だ。……そして、戦う順番は番号順のため、俺達が一番最初に戦うわけだ。
ちなみにチームには名前が必要だ。アルジェントはチーム名は俺に任せると言われ、
「死神と女神」
というチーム名にした。理由は俺が死神でアルジェントは女神のようだからという単純な理由だ。とはいえ、これ以上にいい名前は思い付きそうにないから別にいいと思った。
そして、試合のルールとしては、相手を戦闘続行不能にする、及び相手が降参した時点で勝利。
失格行為は回復、また相手を死に至らしめたら失格だ。銃を使うと最悪殺す可能性もあるため、今回はなるべく剣を使うことにする。
「ユウ、そろそろです」
「おお、そうだな、行くとするか」
ちなみに1試合5分で、試合の時間は、きちんと決まっている。まぁ、ルールとしてはこのくらいかな。
さて、1回戦目の相手は……チームの名前なんて知らないし、別にいいや。そして、コロシアムへの階段を上る。
コロシアムに上がった俺の相手は、4人チーム、盾持ちと剣士と魔法使い二人ってところか、普通なら魔法使いの代わりに回復役を入れるところだが、このルールの場合はいないか。
「さーて、ついに始まりました!冒険者決闘大会!ここではFブロックの戦いを解説していきまーす!さてさて1回戦、対戦チームは、「死神と女神」vs「クアトロナイト」!さぁ1回戦開始!」
激しく鳴り響くゴングの音とともに呟いた。
「形状・双剣・創造」
ふう、元の世界と比べて目覚めが良いな。生活のリズムが整ってきたのか、それとも殺し屋という世界に対するストレスがなくなったからか。
……本当に元の世界に戻る気にはなれないな。むしろこっちの世界のほうがよほどいい気がしてきた。
さて、目覚めについてはそれくらいにして、今日が冒険者決闘大会の開催日。で、確か1時間後、王が所有しているコロシアムに行けばいいんだから……
飯食べてから行っても多分間に合うな。そう思いながらいつものコートに着替え、アルジェントを呼びに……
「ユウ、起きてますか?」
……今日は呼ばれる側か。俺はドアを開けた。
「さて、朝御飯食べに行くか」
「はい」
この宿は1階に食堂がある。朝早い上に結構美味しいと評判だ。実際、料理を求めこの宿に泊まる人も少なくないらしい。
俺達が頼んだのは、「オーク肉のハンバーグ定食」だ。魔物の肉は家畜の肉と比べるのもおこがましいと言う人がいるほど格が違いとても美味しい。
その代わり、冒険者が命懸けで狩るため家畜の肉と比べると高く、実際魔物の肉が使われている料理は値段が高い。
倍とまではいかないが、1.5倍の値段なんてざらにある。オークに対して俺は価値のないゴミと同然とすら思っていたが、オークの死体は一応価値があると思った。
……あくまで死体だ。……あくまで食用としてだ。あくまで俺はオークは嫌いだ。
そんなことを思っていると、「オーク肉のハンバーグ定食」が俺の前に出された。匂いは本当にハンバーグだ、魔物の肉と言わずに出したらおそらく普通に食べるだろう。
ナイフでハンバーグを切ると、中から肉汁が溢れ出てきた。フォークで刺し、口の中に運ぶ。
味も本当のハンバーグの味……いや、溢れ出てくる肉汁とこのハンバーグの柔らかさはハンバーグよりも旨いな。
ハンバーグの旨みを噛みしめながら、スープとパンを食べる。スープはコーンスープだ。温かさと少しの甘味が、更に食欲を加速させる。
しかし、少し物足りない。それは……米だ。この世界に来てから一回も米というものを食べていない。
別に生きていけないというわけではないが、さすがに久しぶりに食べたいと思う。艶がありふわっと炊き上がったご飯を、お茶碗に溢れるほど盛って食べたい。
そういえば東に日本と同じような国があるんだっけ、冒険者決闘大会が終われば行ってみるか。
旨いハンバーグを食べることの幸福感と、米を食べたいという少し寂しい感情が今日の食事には含まれていた。
◆◇◆
「よし、着いたな」
「時間にもきちんと間に合っていますね」
産まれて1度も時間に遅れたことはないからな。1分1秒でも遅れたら、殺しに影響が出る。主に狙撃の依頼のときはな。
周りに低い建物が多いときはいいが、大きなビルが建てならぶ大都市の場合、ビルとビルの隙間を通る一瞬を狙うということだってある。
また、相手のスケジュールから計画を立てるため、たった1分遅れで殺しのチャンスを逃すことになったら笑い者にもならない。信用を落とし、依頼がこなくなる可能性は普通にある。
師匠からも、どんなことがあろうと時間を守り、時間を大切にしろと耳にタコができるほど言われたからな。
そう思いながら、俺達は準備室へと向かう。
◆◇◆
準備室は思ったより簡素だ。大きいテーブルが真ん中に置いてあり、部屋の四隅には一人用のベッドが置かれている。
武器や防具の装着や、休息をとるときの部屋
なのだからこのくらい簡素でも案外なんとかなるのだろう。
さて、この大会はトーナメント式だ。いくつかのブロックに分かれて、それぞれのブロックの優勝チームがまた、トーナメントで戦う。
どこのブロックに入るかは、完全に早い者勝ちだ。ときによっては、ブロックの数が変わることもある。
今回は6ブロックで1ブロック16チームのため、出場チームは84チームだ。コロシアムは6つあり、それぞれのチームが同時進行で進む。
チームには、番号がついてある。ちなみに俺達はF-1だ。……そして、戦う順番は番号順のため、俺達が一番最初に戦うわけだ。
ちなみにチームには名前が必要だ。アルジェントはチーム名は俺に任せると言われ、
「死神と女神」
というチーム名にした。理由は俺が死神でアルジェントは女神のようだからという単純な理由だ。とはいえ、これ以上にいい名前は思い付きそうにないから別にいいと思った。
そして、試合のルールとしては、相手を戦闘続行不能にする、及び相手が降参した時点で勝利。
失格行為は回復、また相手を死に至らしめたら失格だ。銃を使うと最悪殺す可能性もあるため、今回はなるべく剣を使うことにする。
「ユウ、そろそろです」
「おお、そうだな、行くとするか」
ちなみに1試合5分で、試合の時間は、きちんと決まっている。まぁ、ルールとしてはこのくらいかな。
さて、1回戦目の相手は……チームの名前なんて知らないし、別にいいや。そして、コロシアムへの階段を上る。
コロシアムに上がった俺の相手は、4人チーム、盾持ちと剣士と魔法使い二人ってところか、普通なら魔法使いの代わりに回復役を入れるところだが、このルールの場合はいないか。
「さーて、ついに始まりました!冒険者決闘大会!ここではFブロックの戦いを解説していきまーす!さてさて1回戦、対戦チームは、「死神と女神」vs「クアトロナイト」!さぁ1回戦開始!」
激しく鳴り響くゴングの音とともに呟いた。
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コメント
ノベルバユーザー190634
続きめっちゃまちどうしいです
氷祭り
アニメ化しねーかなー
くうはく
めっちゃ面白い!!
続き楽しみです!!