死神と呼ばれた殺し屋は異世界に
第19話 感情
俺は殺すことに感情を覚えることはなかった。
冷徹と思うかもしれない。しかし、自分が殺したことに悲しみや怒りを覚えるのはどう考えても筋違いだ。
喜びや楽しさなども覚えてはいけない。
そうなってしまったら、それは殺し屋ではなくただの快楽殺人鬼に成り下がってしまう。殺すことそのものに何かを感じることがそもそも筋違いだと思っている。
ではなぜ、俺は殺す気があって襲った奴を殺したことに後悔しているのだろうか?なぜ悲しみの感情が心の中に溢れているのだろうか?なぜ目頭が熱くなっているのだろうか?
「夜神君、なんで殺したんだ?」
「……」
言葉は出ない。俯いたまま、俺の視線はミステリア団長の顔を見ていた。止めてくれ。そんな清々しい笑顔で死なないでくれ。俺が苦しくなる。恨んでくれ。許さないでくれ。
今まで殺してきて、こんな顔で殺された人はいない。
皆、恨むような顔や、恐怖でひきつったような顔をしていた。なのに、なんでこの人は俺に感謝をしているような笑顔を浮かべているのだろう。
止めてくれ、そんな顔で死んでしまったら、俺はその顔を忘れることはできない。一生引きずってしまう。
「なんとか言えよ!」
「そうよ!」
「今までの恩を忘れたのかよ!」
「この、人でなし!」
俺を批難する声が聞こえる。少しの間、目を瞑り黙祷を捧げる。俺はその声に負けぬ大声を放った。
「初めてだ!」
すると、皆は急に静かになった。
「今まで、何人も何人も何人も何人も何人も何人も何人も何人も何人も何人も何人も何人も何人も何人も、殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺してきて!」
もう止まらない。今まで殺してきて募った気持ちが溢れたのだろうか。俺の頬には初めて何筋もの涙が流れた。
「たくさんの人を殺してきて!何体も死体を見続けてきたのに、なんで、なんで………こんなに悲しい気持ちになるんだよ!」
俺は国王と王女を見る。
「…………もうこんな国には居られない。出ていくよ。」
「逃がすと思うか!勇者達!この裏切り者を捕らえよ!」
すると、皆は俺に襲いかかる。どうせ捕らえられないのにご苦労なことだ。
「加速時間Ⅴ」
俺は窓を開け外へと出る。その前にやらないといけないことがある。俺は王城の一番高い塔に立つ。
『何か助けられることはありますか?』
頭の中に女性のような声が響く。
「これは?」
『私の名は叡知。前マスター、ミステリア様の魔法具です。』
死ぬ前に渡したあれか。なるほどな。
「じゃあ早速1つ、俺のクラスメイトを洗脳している水晶はどこにある?」
『王女の部屋の本棚にあります。』
言われた通り王女の部屋に行く。とはいえ、あの本棚に水晶を入れる隙はあっただろうか。
◆◇◆
「本棚のどこにあるんだ?」
『一番下の段の本の中にあります。』
言われた通り、一番下の段のかなり分厚い本を開ける。すると、水晶が本当にあった。なるほど、本に見せかけたケースというわけか。よく考える。俺は予め造っていた短剣で次々と壊していく。
「叡知、この国から逃げる脱出ルートを
探してくれ。」
『分かりました。』
俺は窓から外へ出る。
◆◇◆
俺はある部屋の窓を開け侵入する。ちょうどあった紙に羽ペンで手紙を書く。そして、彼女の左手に握らせた。そう、俺は今、医務室にいる。雪華に別れの言葉を言わないといけない。もう会えはしないだろう。
「雪華、俺はなぜミノタウロスから君を助けようと思ったか、分かった。どうしても助けたかった。どうしても死なせたくなかった。それほど、俺にとって大切な人だった。」
言葉をゆっくりと呟く。
「俺は君のことが好きなんだ。」
いつもの俺なら絶対に言うことのない言葉を俺は言った。
「でも、俺はたくさんの命を奪ってきた。こんな俺に人を愛する資格はないだろう。だって君を愛したら俺はもっと生きづらくなる。だから、君が幸せになれるよう、祈っている。」
僕はここから去ろうと思うと、重さを感じた。腕を見ると、雪華が俺の腕を掴んでいた。俺はその手を気づかれぬように慎重に外し、また窓から出た。
『脱出ルートを見つけました。マップに表示します。』
マップ?そう思うと、頭の中に赤い線が引かれた地図が浮かんだ。なるほどこれがマップで赤い線が逃走ルートか、俺はそのルートを走り始める。
すると、朝日が昇り始め、俺の道を照らしていた。
冷徹と思うかもしれない。しかし、自分が殺したことに悲しみや怒りを覚えるのはどう考えても筋違いだ。
喜びや楽しさなども覚えてはいけない。
そうなってしまったら、それは殺し屋ではなくただの快楽殺人鬼に成り下がってしまう。殺すことそのものに何かを感じることがそもそも筋違いだと思っている。
ではなぜ、俺は殺す気があって襲った奴を殺したことに後悔しているのだろうか?なぜ悲しみの感情が心の中に溢れているのだろうか?なぜ目頭が熱くなっているのだろうか?
「夜神君、なんで殺したんだ?」
「……」
言葉は出ない。俯いたまま、俺の視線はミステリア団長の顔を見ていた。止めてくれ。そんな清々しい笑顔で死なないでくれ。俺が苦しくなる。恨んでくれ。許さないでくれ。
今まで殺してきて、こんな顔で殺された人はいない。
皆、恨むような顔や、恐怖でひきつったような顔をしていた。なのに、なんでこの人は俺に感謝をしているような笑顔を浮かべているのだろう。
止めてくれ、そんな顔で死んでしまったら、俺はその顔を忘れることはできない。一生引きずってしまう。
「なんとか言えよ!」
「そうよ!」
「今までの恩を忘れたのかよ!」
「この、人でなし!」
俺を批難する声が聞こえる。少しの間、目を瞑り黙祷を捧げる。俺はその声に負けぬ大声を放った。
「初めてだ!」
すると、皆は急に静かになった。
「今まで、何人も何人も何人も何人も何人も何人も何人も何人も何人も何人も何人も何人も何人も何人も、殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺してきて!」
もう止まらない。今まで殺してきて募った気持ちが溢れたのだろうか。俺の頬には初めて何筋もの涙が流れた。
「たくさんの人を殺してきて!何体も死体を見続けてきたのに、なんで、なんで………こんなに悲しい気持ちになるんだよ!」
俺は国王と王女を見る。
「…………もうこんな国には居られない。出ていくよ。」
「逃がすと思うか!勇者達!この裏切り者を捕らえよ!」
すると、皆は俺に襲いかかる。どうせ捕らえられないのにご苦労なことだ。
「加速時間Ⅴ」
俺は窓を開け外へと出る。その前にやらないといけないことがある。俺は王城の一番高い塔に立つ。
『何か助けられることはありますか?』
頭の中に女性のような声が響く。
「これは?」
『私の名は叡知。前マスター、ミステリア様の魔法具です。』
死ぬ前に渡したあれか。なるほどな。
「じゃあ早速1つ、俺のクラスメイトを洗脳している水晶はどこにある?」
『王女の部屋の本棚にあります。』
言われた通り王女の部屋に行く。とはいえ、あの本棚に水晶を入れる隙はあっただろうか。
◆◇◆
「本棚のどこにあるんだ?」
『一番下の段の本の中にあります。』
言われた通り、一番下の段のかなり分厚い本を開ける。すると、水晶が本当にあった。なるほど、本に見せかけたケースというわけか。よく考える。俺は予め造っていた短剣で次々と壊していく。
「叡知、この国から逃げる脱出ルートを
探してくれ。」
『分かりました。』
俺は窓から外へ出る。
◆◇◆
俺はある部屋の窓を開け侵入する。ちょうどあった紙に羽ペンで手紙を書く。そして、彼女の左手に握らせた。そう、俺は今、医務室にいる。雪華に別れの言葉を言わないといけない。もう会えはしないだろう。
「雪華、俺はなぜミノタウロスから君を助けようと思ったか、分かった。どうしても助けたかった。どうしても死なせたくなかった。それほど、俺にとって大切な人だった。」
言葉をゆっくりと呟く。
「俺は君のことが好きなんだ。」
いつもの俺なら絶対に言うことのない言葉を俺は言った。
「でも、俺はたくさんの命を奪ってきた。こんな俺に人を愛する資格はないだろう。だって君を愛したら俺はもっと生きづらくなる。だから、君が幸せになれるよう、祈っている。」
僕はここから去ろうと思うと、重さを感じた。腕を見ると、雪華が俺の腕を掴んでいた。俺はその手を気づかれぬように慎重に外し、また窓から出た。
『脱出ルートを見つけました。マップに表示します。』
マップ?そう思うと、頭の中に赤い線が引かれた地図が浮かんだ。なるほどこれがマップで赤い線が逃走ルートか、俺はそのルートを走り始める。
すると、朝日が昇り始め、俺の道を照らしていた。
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