不器用プラトニックラブ

風吹雪華

26話 重なり合う姿

教室-

「もう寒くなってきたね〜。」

「ホントだね。日の入も早くなってきたしね。」

9月が終わろうとしている。

もう直ぐテストもあるし、何かと忙しい。

「はよっすー。」

「輝陽君、おはよう。」

「おはよ〜。」

「はぁー、寒いなー。」

「意外に寒がりなんだね。」

「え?
  あぁ、そういえば、よく言われる。」

「へぇ〜。」

「(うわっ、睨まれてる…)
   じゃあ、俺行くわ。」

「あ、うん。」

「莉世君、あっさりと行っちゃったね。」

「うん。
  やっぱりテストが近いからかな?」

「かな〜?
  あっ、はるちゃん、また勉強会しない?」

「うん、いいよ。」

「やった〜!
  有難う、はるちゃん!
  大好き!」

「ちょっと、抱き着かないでよ。
  苦しいから。」

「あはは、ごめ〜ん。」

「あはは。」

「あ、穂架、トイレ行って来るね。」



屋上-

「何?」

「お前、人前で抱き着くの止めろよなー。
  琴嶺が困ってんだろ。」

「はぁ?
  莉世君には関係ないから。
  私は好きだからやってるの。」

「はぁ。
  そういえば、琴嶺に告白とかしないのか?」

「え?」

「好きなんだろ。
  伝えるだけ伝えてみたら?」

「…無駄に決まってるじゃん。」

「何で?」

「分かんないの?」

「いや、薄々勘づいてるけど。」

「はるちゃんには、好きな人がいるの。
  だから、想いを伝えたとしても、諦めるしかないの。
  友達としての好きって普通は思うじゃない。」

「まぁ、そうだよな。  
  同性としての好きを言われたら、流石に引くよな。」

「惨めにならないように、この恋を隠してるの。
  一生言わないつもりだし、何時か言ったとしても、私から離れて行く。
  好きな人と結ばれるように、願おうと思ってる。
  はるちゃんが幸せなら、それでいいの。」

「優しいな。
   …俺の友達も、恋をしてるんだよ。
  お前と同じ、あいつが幸せならそれでいい。」

「そうだね。
  お互い同じ事を考えてるって、何か照れちゃうね。」

「ねぇ、触れていい…?」

「直球だね…少しだけなら。」



そういえば、オープンキャンパスに行く準備しないと。

今日は早退しなくちゃいけないんだった。



1週間前-

「オープンキャンパス?」

「はい、ここの専門学校を見学したくて。」

「ここ、有名な学校よ!
  よく調べられたわね!」

「いえ、友達が教えてくれて…」

「もしかして、咲護さん?」

「はい。」

「咲護さん、何でも知ってるのねぇ。」

「穂架の知り合いで、ここの卒業生だとか言ってたんです。」

「そうなの!
  じゃあ、来週のこの日に早退しないとね。」



先生って、何でも受け入れちゃうから、ちょっと心配してたけど…

あっ!
もう行かなくちゃ!



蓮梢(れんしょう)大学-

わぁ…!
大きい!
広い!
綺麗!

校内だけでもこんなに広いのに、迷わないかな…

受付何処だろ?

地図見ても分かんない!

人に聞くしかないよね…

「あ、あの…」

「ん?
  どうしたの?
  もしかして、高校生?」

「あ、はい。
  オープンキャンパスで来たんですけど、受付の場所が分からなくて…」

「あぁ、この学校、ちょっと複雑なんだよね。
  ついて来て。」



「ここが受付だよ。」

「有難うございます!
  あの、お名前は…」

「名乗る程のことはしてないよ。
  じゃあね、オープンキャンパス、楽しんで。」

「あっ…」

お礼、したかったのに…

あぁ!
もう直ぐ始まっちゃう!



帰り道-

この学校、結構な人数が居るんだ。

それ程優秀な人達が居るってことだよね。

絶対に受かりたい!

御見舞に行きたいけど、もう暗いから止めとこうかな。

お母さん達に心配かけちゃうかもだし。

帰ってから、勉強しよ。



琴嶺家-

「ただいま。」

「お帰りなさい。
  御飯済ませちゃったけど、後片付けお願いね。」

「うん。」

お父さんとお母さんに、まだ進路の事を言ってない。

そろそろ潮時かとは思うんだけど…

もう遅いし、明日休日だから都合が良い。

その時に言おう。



次の朝-

「お父さん、お母さん、おはよう。」

「おはよう!」

「おはよう。
  今日も早いのね。」

「もう御飯出来たよ。」

「最近、休日に朝御飯とか作ってくれてるけど、どうしたの?」

「あ、いや、深い意味は無いんだけど、何となく?」

「そう?
  さぁ、食べましょうか。」

「「「頂きます。」」」

「そういえば、遼雅はどうしたんだ?
  部活じゃないのか?」

「今日は久し振りの休みなんだって。
  多分、昼まで寝てると思うよ。」

「あの子、ずっと疲れてる感じだったからねぇ。
  無理はしないで欲しいけど…」

「…ねぇ、話があるんだけど。」

「話?
  どうしたの?」

「あ、今じゃなくてもいいの。
  ゆっくり話したいから。」

「そうか、分かった。
  話したい時に話しなさい。」

「うん…。」

言いづらい。

タイミングっていうのがあるから、余計に言いづらい。



昼-

「ごめん永。
  私達、お買物に行って来るわ。」

「直ぐ戻るからな。」

「急がなくていいから。
  行ってらっしゃい。」

はぁ、勉強しよ。



自室-

昼御飯何食べよう?

遼雅もそろそろ起きてくる頃だと思うし、簡単な物でも作ろう。



台所-

本格的に作るの、久し振り。

昔、よく料理の手伝いやってたなぁ。

その時、汐璃さん、真澄さん、芽吹ちゃん、結生とも一緒に作って、パーティを開いたりとかしてたっけ。

懐かしい…

そんな楽しい思い出も、結生は忘れようとしてるんだ。

悲しい…いや、挫けちゃダメ!

しっかりしないと!

「ふぁー、おはよー。」
    
「もう昼だよ。
  御飯出来てるけど、一緒に食べる?」

「うん。」

 

「味付けには自信ないんだけど、どうかな?」

「うん、美味しいよ。」

「良かった。
  じゃあ、頂きます。」

「姉ちゃん、最近頑張ってるね。
  何で?」

「進路に向けて頑張ってるの。
  絶対に夢を叶えたいからね。」
   
「へぇ、夢があるんだ。
  叶うといいね。」

「うん。」



夜-

「姉ちゃん、ここの問題分かんないんだけど。」

「数学?
  分かるかな…?」

「習ったんでしょ?
  だったら、解き方とか分かるんじゃないの?」

「あぁ、これはね…」

「…成程ね、大体分かったよ。
 有難う。」
    
「さっきの説明、理解出来た?」
     
「うん。
  普通に分かりやすかったし、大丈夫だよ。」
 
「良かった。」

「…ねぇ姉ちゃん、俺のこと、警戒しないの?」

「え?」

「この前の事もあったのに、普通に接してくれてるし。」

「だって、遼雅も普通にしてるから、何も無かったことにしようって決めたの。」

「へぇ。
  俺だって、抵抗はあったよ。
  避けても格好悪いと思ってたし。
  今だって、姉ちゃんのこと押し倒そうとか考えてるし。」

「ちょっと!
  そんな冗談は止めてよ!」

「冗談じゃないよ。
  俺言ったよね?
  本気で好きだって!」

「言ってたけど、私達、姉弟じゃない!」

「…そういえば、結生君が変な事言ってた。」

「え?」

「俺達は、本当の姉弟じゃないって。」

「…どういうこと?」

「さぁ、分からない。
  多分、出たら目だと思うけど。」

「ねぇ、それ、何時の話?」

「姉ちゃんの部活の打ち上げの後だったと思うけど…」

「もしかして、その時から…」

「何かあったの?」

「ううん、何でもない。」

「何だよ!
  何で隠すんだよ!」

「…言ったら、遼雅まで悲しくなるし、一生言わないつもり。」 

「はぁ!?」

「あ、帰って来た。
  私、下に降りるね。」

「ちょっ、待てよ!」



「「ただいまー。」」

「お帰り。
  随分遅かったね。」

「えぇ、ごめんなさいね。
  急に渋滞になっちゃってて。
  御飯どうしましょ…。」

「出前でも頼むか。」

「そうねぇ。
  遼雅を呼んでちょうだい。」

「うん。」



「遼雅、出前を取るらしいから、何食べたいって。」

「…何でもいいよ。
 後で来るように言っといて。」

「…分かった。」



「何でもいいって。」

「じゃあ父さんは、ピザが食べたいな!」

「じゃあ、ピザを頼みましょうか。
  永はそれでいいかしら?」

「うん、いいよ。」

「そういえば、朝に話があるって言ってたよな?」
  
「あ、うん。
  進路の事でね。
  でも、その前に聞いて欲しい事があるの。
  結生のことでね。」
            
「「…?」」

「出来れば、遼雅も居たらいいんだけど…」

「早く話してよ。
  もしかして、結生君とこ引っ越すとか?」

「遼雅…そんな単純な話じゃないよ。
  もっと複雑な話だよ。」

「え…?」

私は、3人に全て話した。

でも、1番傷ついて悲しんだのは遼雅だった。

余裕振ってた自分が、結生君をおとしいれたんだ。

俺のせいで、俺のせいで…!
   
同じ言葉を連呼している遼雅が、何時の間にか、結生と重ねて見てた自分が居た。

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