不器用プラトニックラブ
21話 選ばれし代表
「私は…人に役立つ仕事に就きたいです。」
「そうねぇ。
  色々あるから、調べてみたらいいわ。」
「はい。
   …あの、もう直ぐ弁論大会がありますよね?」
「そういえばそうね。
  それがどうしたの?」
「代表者は、もう決まったんですか?」
「それがまだなのよ。
  良い原稿が沢山あって選べないって校長先生が言っていたわ。」
「そうなんですか。
  有難うございました。」
教室-
私のクラスでは、弁論大会の話題で持ちきりだ。
「誰が選ばれるんだろうな?」
「どうせ同じメンツだろ。」
「比羅匡あたりの賢い奴は選ばれるんじゃねぇの?」
弁論大会は、毎年秋に行われる行事だ。
夏休みの課題に出されていて、その中から学年で5人を選び、最優秀賞を受賞した人は、全国弁論大会に出場することが出来る。
全国弁論大会で優勝したら、『幻の弁論者』という肩書きが残るのだ。
どっち道、同じ人が選ばれるに決まっている。
詰まらない話だ。
「はーい皆さん、席に着いて下さーい。
  今から連絡事項を言いますね。
  来週に弁論大会があります。
  先程、5人の生徒が選ばれました。
  今から発表します。」
騒めき出す教室。
担任の口から、思いがけない名前を発した。
「比羅匡綺騾君、円風聖琦さん、笛蕗千歳君、祇鴨御采さん、琴嶺永さん。
  以上の5人に決定しました。」
嘘…さっき、私の名前言った?
空耳じゃないよね?
昼休み-
弁当を食べようとしたら、女子達が群がって来た。
「琴嶺さん、凄いね!」
「琴嶺さん、賢いからやっぱり選ばれたんだね!」
「弁論大会、頑張ってね!」
「私達、応援してるよ!
  クラスで選ばれし1人なんだから!」
          
「あ、有難う…。」
穂架の視線が漂う。
きっと、喋りかけたいんだろうなぁ。
「ねぇねぇ、一緒に食べてもいい?」
「狡い!
  私も!」
「私もー!」
「う、うん、いいよ…。」
琴嶺家-
「まぁ、弁論大会に出ることになったの?
  お母さん、見に行ってもいい?」
「ダメ。
  来ないでよ、恥ずかしいから…」
「きっと、永の想いが込められた作文なんでしょうねぇ。
  今回のテーマは、何だったかしら?」
「『夢』だよ。」
「『夢』ねぇ…。
  進みたい道が決まったのね。」
「うん。
  絶対に叶えたいって思ってる。」
「…流石、私の娘ね。」
「どういう意味?」
「私に似てるなぁって思って。」
「へぇ…?」
     
「早くに私は、夢があったの。
  ずっとその夢の為に勉強を頑張ったわ。」
「お母さんの夢は何だったの?」
「うふふ、内緒。」
「何それ、狡い。」
「さぁ、御飯食べましょ。
  遼雅を呼んでちょうだい。」
自室-
今週が過ぎたら、もう直ぐなんだよね…。
時間が経つのって早いなぁ。
結生、今どんな夢を見てるの?
私はずっと、悪夢を見てるよ。
大切な宝物を失う夢-
「そうねぇ。
  色々あるから、調べてみたらいいわ。」
「はい。
   …あの、もう直ぐ弁論大会がありますよね?」
「そういえばそうね。
  それがどうしたの?」
「代表者は、もう決まったんですか?」
「それがまだなのよ。
  良い原稿が沢山あって選べないって校長先生が言っていたわ。」
「そうなんですか。
  有難うございました。」
教室-
私のクラスでは、弁論大会の話題で持ちきりだ。
「誰が選ばれるんだろうな?」
「どうせ同じメンツだろ。」
「比羅匡あたりの賢い奴は選ばれるんじゃねぇの?」
弁論大会は、毎年秋に行われる行事だ。
夏休みの課題に出されていて、その中から学年で5人を選び、最優秀賞を受賞した人は、全国弁論大会に出場することが出来る。
全国弁論大会で優勝したら、『幻の弁論者』という肩書きが残るのだ。
どっち道、同じ人が選ばれるに決まっている。
詰まらない話だ。
「はーい皆さん、席に着いて下さーい。
  今から連絡事項を言いますね。
  来週に弁論大会があります。
  先程、5人の生徒が選ばれました。
  今から発表します。」
騒めき出す教室。
担任の口から、思いがけない名前を発した。
「比羅匡綺騾君、円風聖琦さん、笛蕗千歳君、祇鴨御采さん、琴嶺永さん。
  以上の5人に決定しました。」
嘘…さっき、私の名前言った?
空耳じゃないよね?
昼休み-
弁当を食べようとしたら、女子達が群がって来た。
「琴嶺さん、凄いね!」
「琴嶺さん、賢いからやっぱり選ばれたんだね!」
「弁論大会、頑張ってね!」
「私達、応援してるよ!
  クラスで選ばれし1人なんだから!」
          
「あ、有難う…。」
穂架の視線が漂う。
きっと、喋りかけたいんだろうなぁ。
「ねぇねぇ、一緒に食べてもいい?」
「狡い!
  私も!」
「私もー!」
「う、うん、いいよ…。」
琴嶺家-
「まぁ、弁論大会に出ることになったの?
  お母さん、見に行ってもいい?」
「ダメ。
  来ないでよ、恥ずかしいから…」
「きっと、永の想いが込められた作文なんでしょうねぇ。
  今回のテーマは、何だったかしら?」
「『夢』だよ。」
「『夢』ねぇ…。
  進みたい道が決まったのね。」
「うん。
  絶対に叶えたいって思ってる。」
「…流石、私の娘ね。」
「どういう意味?」
「私に似てるなぁって思って。」
「へぇ…?」
     
「早くに私は、夢があったの。
  ずっとその夢の為に勉強を頑張ったわ。」
「お母さんの夢は何だったの?」
「うふふ、内緒。」
「何それ、狡い。」
「さぁ、御飯食べましょ。
  遼雅を呼んでちょうだい。」
自室-
今週が過ぎたら、もう直ぐなんだよね…。
時間が経つのって早いなぁ。
結生、今どんな夢を見てるの?
私はずっと、悪夢を見てるよ。
大切な宝物を失う夢-
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