極限まで進化した頂点者の異世界生活

紫銀

二十七話医療ホール

ナウロスさんに連れられて訓練室を出た俺達は、長い廊下を抜け、広い円状の部屋に出た。
ホロスとレトは僕の体に入っている。
「ここは医療ホールと言って、軽症の怪我人が大人数が入れるスペースです、ここは街にも開放されているんです」
「じゃあ俺達がいた所は機密部屋じゃないんじゃ?」
「いえ、気づきませんか?僕達が誰にも気づかれていないんですよ」
えっ、気付いていない?
ナウロスさんが言ったことを信用出来なかったが、目の前に多数の人が通っても、視線の一つもこちらに映さない。
本当に見えていないのか?
「えっと、これって・・・一体・・・」
「これはね、光の錯覚魔能力幻影ビジョンと僕の能力の防音者サンプルフ音消しサウンドシャット、後古代洞窟エンシェントダンジョンから見つかった魔法石に付属された、転移ワープの連結魔能力によって生み出させた空間なんだ」
ナウロスさんが説明をしてくれているがよく分からん。
《レト、ナウロスさんが言ってる事分かる?》
《なんとなくですが、分かります》
《どうゆう事なの?》
《まず、光の魔能力のスペル幻影ビジョンにより、こちらの状況が見えなくして、ナウロス殿の固有能力のスペルにより音を消し、最後にこの入り口から誰でも入れないように、無の魔能力・・・誰かの魔能力が付属されていて、その付属された魔能力が転移ワープなんです、それら全てを連結し合ってこの空間を生み出し、外部からは見えない場所を造り出したのです》
あー、大体は分かった、要するに別の空間と他の別の空間の境目を生み出して機密空間を造り出したと、めんどくさい。
「ここから出ても大丈夫だし、ただ入る時はこの魔法石に魔力を流し込みながら進むと入れるんですよ」
「そうなんですか」
それで空間の、秘密が暴かれないのか。
凄い徹底した防御だ、でも医療所なんかに機密部屋があると考える事が少ないから、反逆が起こっても機密事項の流失は免れる訳か。
考えれば考える程凄い空間なだなここ。
「凄いですね」
「そうですね、ですが古代洞窟エンシェントダンジョンから転移ワープの魔法石が見つからなかったら、この設備が生まれて無かったでしょうね。海斗くん、架菜さん達はあそこにいるから行って来ていいよ、あ、はいこれ、ここに入るための魔法石」
「ありがとうございます」
「いや、いいよ、何かあったら行くからそれまでは自由だよ」
「はい」
ナウロスさんと別れ、機密空間を抜けると、大量の音が聞こえてくる。
子供の泣き声や治療魔能力の詠唱など、様々な音が脳内に響く。
だが、うるさい訳ではない、静かな空間ではないが大通りの騒がしさと同じような空間だ。
「えっと、架菜は・・・あ、いた」
少し先に小さい子供達をあやしている架菜がいた。



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