サイク屋

チャンドラ

工と麗美 パート2

 麗美が訪れてから2日後、再び麗美がサイク屋に訪れた。
「工さん、上司から許可を貰いました。 設計図と部品をあなたにお渡しするという条件で仕事請け負ってくれませんか?」
工はためらわず、仕事を請け負った。 設計図や部品を他人に見せないという書類の手続きを行った。

「設計図を見て、仕様道理に機会を組み立てて欲しいの。 かなり繊細な作業をする必要があるからわからなこととか組み立てるのがきつそうなら連絡お願いします。これ、私の連絡先です。」
麗美から連絡を渡された。工は番号をスマホに登録した。

「麗美さん、ちなみに期限とかはあるんですか?」
「そうですね、できれば1ヶ月でお願いします。」
麗美は期限を短めに設定して告げた。 本来なら2ヶ月以上は必要な作業である。 しかし、1ヶ月に設定して、どこが機械の組み立てで問題になっているか把握しておきたいと考えたいたからだった。

「分かりました。 それじゃ、できるだけ早く完成させるように頑張ります。」
そうして、工は麗美と別れて作業を始めた。

どうやら、この機械は何やら仮想空間を作りだすものらしかった。VRというオリジナルではないが機能としては本質は同じであるような環境を、ユーザの五感を含む感覚を刺激することにより理工学的に作り出す技術のことである。 VRを活用したゲームを麗美の会社は開発しており、工はそのハードの組み立てを担当する。 

工は作業場で機械の組み立てを行おうとしていた。
工は神経を研ぎ澄ませ、設計図を読み込み、慎重に組み立てていった。 工具を取り出し、機能、性能、規格を慎重に確認していき、設計図通り組み立てた。 いつもの工なら、ものすごいスピードで組み立てていくのだが、指定通りに行う必要があるため、比較的ゆっくり作業をしていた。

工へ設計図と部品を渡してから2週間後、麗美は不安を感じていた。
「工くんから、連絡がこない...」
作業を始めてから2週間たつのに、何の返事がこない。もしかして組立のほうが滞ってるのではないかと感じていた。 彼のプライドの高さ故、質問をするのをためらっているのか。 こちらから何かしらのアクションをしたほうが良いのではないかと考えていた。 すると、スマホから通知の連絡がきた。
「麗美さん、組立の仕事完了したので、見に来てもらっていいですか?」
スマホを見て、麗美は驚愕した。 2週間で仕事を終えられるとは考えられなかったからだ。 他の社員なら早くてもせいぜい2ヶ月はかかるだろう作業をたったの2週間で終えれるとはにわかには信じられなかった。

麗美はサイク屋へ着くなり、工にたずねた。
「工さん、お疲れ様です。 完成した機械のほう見せてもらっていい?」
「ええ、どうぞどうぞ 確認お願いします。」
工から機械を受け取り、機械を起動させた。 VRのゲームなので、グラスのように装着させる必要がある。 他のVRのゲーム機と違い、小型化に力を注いだ。 ゲームの説明はともかく機械の挙動を確認する。 ゲームの解像度、フレームの数値など特に異常はなかった。 他の細かいバグについては追々調査する必要があったが、設計図通りに作られていた。
(すごい、これほどの腕前だったとは...)
改めて麗美は工のすごさを思い知った。
「すみません、工さんの仕事とは関係ないことなんだけど、Unityって使ったことある?」
麗美はゲームのプログラムを担当していた。 プログラムでつまずいてるところがあり、ダメもとで工にたずねてみようと考えていた。
「ええ、使ったことありますよ。 高校以来、あんまり触ってないですけど。 それがどうかしたんです?」
「ごめん、このコードだけど、処理が上手くいかなくて... もし何かわかったら知恵を貸してくれませんか?」
工は麗美が書いたコードを見つめた。 
「この部分ですが、この関数は省略して、こう書き換えたほうが....」
工はキーボードを物凄い速度でたたき出した。 麗美は驚愕していた。
(機械の組み立てだけでなくプログラミングもこんなにできたのか...)
そう関心しているうちに、麗美が3日ほど悩んでいたところをものの10分ほどで解決してしまった。
(すごい能力の持ち主だけどへこむなぁ...)
そう思ってしまったが、工のおかげで、ゲーム開発の進捗が著しく進んだのだ。感謝こそすれど憎む道理などなかった。
「工さん、とても助かりました。 自分の担当部分を前倒しでやってくれるだけじゃなく私のところも手伝ってくれて。 よかったら今夜お礼にどこか店に連れていきたいんですけど時間ありますか?」
「ええ、店が終わってからなら」
「分かりました。では私は一度会社に戻ります。 お店終わったら連絡ください。」
そうして工と麗美は一度別れた。

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