低予算ヒーロー ダエーワバスターズ

チャンドラ

ブーシュヤンスターの能力

 匠たちは目的地の公園に到着した。黒いゴスロリ服を着た女性がブランコを漕いでいる。匠たちはゆっくりとダエーワと思われる女性に近づいた。

「お前がブーシュヤンスターか?」
 浩也が質問をした。

「だったら何?」
「お前を倒しに来たんだよ。人を怠惰にするのは迷惑だからやめてもらおうか。」
 挑戦的な浩也の言葉にダエーワと思われる女性はにやついて答えた。

「たかだが、人間風情がこのブーシュヤンスター様に適うと思ってるの? 超うける。」
「だったら、試してみるか?」

 どうやらこの女がブーシュヤンスターで間違いないようであった浩也はボクシングの構えをした。
「オラ!」
 素早いパンチがブーシュヤンスターにヒットした。カウンターグローブのブーシュヤンスターの体から炎が発生し、やつはブランコから転げ落ちた。

「いったいわね。人間風情が。思ったよりはやるようね。しょうがない。少しだけ私の力を見せてあげるわ。」

匠は嫌な予感がしたため、浩也と紗江に呼びかけた。
「2人とも下がれ。」

3人はブーシュヤンスターから距離を置いた。紗江はライジングブレードを持って防御の構え、浩也はボクシングの構えをして様子を伺った。

「ふふ、金髪さん、お返しよ。」
 ものすごい速さのパンチが浩也にヒットした。思いもよらない攻撃に浩也は倒れこんだ。匠たちはパンチの速さよりやつの腕が伸びたことに驚いた。

「どう? 私は腕を自在に伸ばすことができるのよ。いいでしょう。」
 自慢げにブーシュヤンスターは語り出した。

「匠さん、ここは私に任せてください。」
 そういって紗江はブーシュヤンスターに近づいていった。

「おい、紗江危ないぞ!」
「いえ、大丈夫です。」
「あらあら、勇敢なお嬢ちゃんね。可愛い顔台なしにしちゃったらごめんなさいね。」

 ブーシュヤンスターの素早いパンチが紗江の顔面に飛び混んできた。しかし、それを紗江はライジングブレードで防いだ。

「あが!」
  ブーシュヤンスターに電撃が流れた。結構ダメージを与えているようだった。

「マグレよ!」
 連続で素早い伸びるパンチを紗江に放ったが全て紗江に防がれた。ライジングブレードがブーシュヤンスターの拳に触れるたび電撃が流れた。

「あがががが!」
 ブーシュヤンスターはかなりのダメージを負ったようである。

「すげえ!」
 匠は思わず呟いた。こんなに紗江が強いとは思ってなかった。武器との相性が良いというのもあるかもしれないが。

 紗江はブーシュヤンスターに斬りかかれる間合いまで近づいた。

「調子にのるなよ。人間。本来なら私はお前達と戦うことすらなく勝てたんだ。もうお遊びはここまでよ。」

「なんかやばいぞ! 紗江逃げろ!」
 匠は叫んだ。

「もう手遅れよ。くらいなさい!」
 一瞬眩い光が発生した。

「何も起こらない?」
 しかし目にはとんでもない光景が起きていた。浩也と紗江が地面に寝転がっていた。

「あー、だるい。帰りたい。」
「働きたくない。ずっと寝てたい。」

 なんだこれは。

「どう? これが私の怠惰を司る能力。さっき放った光を浴びたものはしばらくの間何もやる気が起きなくなるの。」

厄介な能力だ。しかしある疑問が残る。

「そういえばなぜあなただけ何も変化ないの?」

匠自身にもよくわからない。元々ダエーワバスターズを辞めるつもりだったからなのか。

「さぁな。だが、現にお前の力は俺には効かない。俺が相手してやる。」
「いいわ。私は人を堕落させることしか興味ないけどあなた達3人はこの手で目障りだから消してあげる。」

 突然、スマホの着信音が鳴った。相手先は鈴華であった。
「もしもし鈴華さん? どうしました?」
「よかった。間に合った。言い忘れてたけどブーシュヤンスターはしばらくの間、戦闘意欲を無くす光を放つから気をつけてね。早めにやっつけるのよ。」
「もう、遅いです。」
 電話を切った。

「浩也、これ借りるぜ。」
 匠は右手用のカウンターグローブを寝転がって浩也から拝借した。さらに匠はボディグレードアッパーを起動させた。

「ブーシュヤンスターさんよ。それじゃ勝負といこうか。」
「かかってきなさい。ハンサムさん。」

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