英雄って何ですか?

たかっしー

16話

一部治療とは認めたく無いようなこともあったが、無事に治療は終わり、ロストは疑問に思ってるだろう事を説明した。

「まず、今日学校に遅れた事は申し訳ありません。実は所用で休むつもりだったんですが、私の配下である“影”がなんかヤバそう何ですがどうします?なんて聞いてきたので遅ればせながら来ました。後、最初にこの学校の1ーCクラスから最高学年の3ーSまで助けてきたからですね。」

この学園は3年制で上からSからCクラスまである。

「なんで最初に私達のクラスに来なかったんですか〜?」

ロストにだるそうに聞いた女性生徒は勿論自分達の事を適当に考えているのでは無く、今までの事からロストは無駄な事をしないと信じているからだ。

「それを説明する前に、まずこの学園で1番戦闘力があるのはどのクラスだと思いますか?」

「今までの話の流れから僕達のクラスだと見た!!!」

「違います。いくらすごい力を持っていても同じ学年の生徒をましてや2年生などの上の学年の生徒の力を馬鹿にしてはいけませんよ。」

「えーーー!?じゃあどこですか!!」

「3ーAですよ。」

何故3年なのかは置いといたとしても、Aクラスなのは意外だったのか殆どの生徒が驚愕に顔を染めている。

が、興味の方が勝った生徒もいたようで元気よく質問した。

「何でその人たちを先に助けたんですか?」

「Sは知識や礼儀作法なども入りますからね。その点、Aまでは実力さえなんとかなれば行けますからこの学園一の戦闘力を持っていると言っても過言ではありません。なので、隷属化でもされたら今の私ではきついからですね。今、魔力は1割も残ってないので。そして、最後にあなた方を最後にした理由は、短期間とはいえ私の教えを受けた生徒であるあなた方は、持久戦ならそこらの騎士と一歩しか譲らない程度の力があると思って下さい。」

「なるほどー、先生からの信頼と受け取っておくねー。」

「てか、最初に出てきた“影”って誰だよ。」

「分かりました。では、部隊長2人来なさい。」

「「はっ。」」

返事と同時に壊れたドワの前へと執事とメイドが現れた。

「彼らが我々ギルドの暗部と言われる“影”の部隊長です。この部署について詳しく説明は出来ませんが、実力としては部署の隊員1人で先ほどの男は倒せます。つまり、それより上の部隊長である彼らはそれよりも上であるからです。」

「え?じゃあなんでさせなかったんですが?」

「ちょっと肩慣らしのつもりと、腹が立っていたので。」

「えー、なにそれー。」

ロストの理由に対して呆れていた女子生徒を押しのけて詰め寄ったメガネ男子が興奮した様子で質問した。

「それより、称号って何ですか!?あれ凄すぎですよ!!」

「さっき言いましたが、詳しく言うとスキルが産まれる前から決まっていたのに対して、称号とはその人物またはその存在がその存在を掛けて生きた証ですね。そして、これはスキルの様に補助などのショボい能力では無く、ガチの能力ですね。」

そのスキルに対する酷評に生徒は少し引いた。

「何を引いているのですか?考えてもご覧なさい。魔法なんか努力すればどの属性でも身に付けれます。魔法スキルは最初からある程度ハンデがあるぐらいでその程度しか変わりませんし、その他のスキルなんか無くても剣は振るえますし、計算も出来ます。どれも魔力を纏いやくなっただけなんですよ。」

その答えを聞いて、聴衆は頷いたり目を向いたりしていたが疑問を持った生徒はいた様だ。

「あの、じゃあ[念話]ってスキルなしでも出来るんですか?」

「ええ、出来ますよ。空間に干渉して自分の魔力派と対象の魔力派を混ぜないで一本の線の様に繋いだら。まぁ、難易度は高いですがね。」

「成る程。」

詳しくは分からないがスキル無しではかなり難しい事はわかったのかしきりに頷いていた。

「では、最初の質問に戻りますが称号はこの様な無くても出来ることの補助とかではありません。まさにオリジナルの能力です。まぁ、あらゆる世界の中で同じ称号は無いですからオリジナルって言うのも強ち間違っていないのですがね。例えば、先程紹介した私の称号の[支配者]の能力を、さらに詳しくいうとーーー」

ロストが懇切丁寧に説明をしている途中に弱気な女子生徒がおずおずと聞いた。

「あの、そんなに簡単に能力をバラしてもいいんですか?それって切り札なんじゃ。」

「馬鹿だな〜、相手を一瞬だけ止めるのは確かに凄いし強いけどよ〜、あの武器を見た後じゃ手品みたいなもんじゃねぇか。」

女子生徒の疑問を隣の男子生徒が戯けたようにやんわり否定した。
が、その否定をロストが否定した。

「いえいえ、確かに私の切り札としては上位に入りますよ。」

「え〜、嘘だーー!あんなにちゃちぃのに〜?」

「確かに見た時はゴミみたいに見えたでしょうが、この能力はとても怖いですよ?私でも相手にはしたく無いぐらいですから。」

あの生徒たちにとって最強と言っても良いぐらい強いおのロストが怖いという能力に生徒たちは顔を強張らせた。

「その能力とは、自分の魔力量と同じかそれ以下の魔力量保持物の完全制御能力・・・・・・です。これだけでも凄いですが、魔力や精神力などの消費は0です。つまり燃料切れなども起きないですね。」

その規格外さに生徒たちは目を向いた。
そして、さらにロストは続けた。

「しかも、その能力保持者の魔力量が多いほど力の込めれる量が上がる。」

だが、そこは子供。疑問があればすぐに聴いてしまうものだ。

「じゃあ、あの男を一瞬しか止めれなかったのは?」

「それは、ちょっと野暮用で命を削ってたので、体がボロボロだったからですね。」

それを聞いたレディアンはロストに飛びついた。

「もう離れ離れは嫌です!!せっかく全員ではありませんが集まることができたのに、また離れるなんて、私には耐えれません………。」

長いこと死んだと思っていた家族と会えた反動か、また家族と離れ離れになるかもしれないと思ったレディアンは目から大粒の涙を流した。

「安心しなさい。そん簡単に死ぬつもりはありませんよ。ちゃんと生き残れる事を信じられるくらい確率は高かったので。」

その答えを聞いたレディアンは安心した様子でロストから離れた。が、自分が醜態を晒したことに気付いたのか顔どころか首まで真っ赤にして教室の端の方で壁の方を見て三角座りをした。

だが、ロストの様子を呆れながら見ていた人物がいた。それは勿論指輪少女だった。

(よくもまぁぬけぬけというわね。確かに確率は高かったけどそれは通常よりであって普通に考えて30パーセントを下回っていたくせに。)

そんなことを思われているとは知らないロストはそのまま話を続けた。

「まぁ、分かったと思いますが魂という物を傷付けられたらそれだけダメージをくらうことになります。それで、お見せしたのはかなり弱めの能力になりました。」

「え?じゃあ本当はもっと強いの?」

少し暗くなった雰囲気を変えようとモーリスが演技スキルを少し使いながら戯けたように言った。

「ええ、私の総魔力量以下の魔力を含んだものはなんでも操れます。例えばーーー」

ロストは近くにいる男子生徒に目を向けるとその男子生徒は一瞬体が硬直したように見えた後、バレエを踊り出した。

「こんなふうに私の意のままに操れます。」キリッ

「キメ顔でなにバレエ踊らしてんのよ!」

ふざけた様にしているが、力の本当の怖さがわかった少数の生徒は身震いしていた。

「あの〜、いいかげん、女体化してた理由とか教えてくれてもいいんじゃないんですかね〜。」

それを聞いて隣の男子生徒がはっとした顔でロストに詰め寄った。

「先生!先生があちこちで姿を変えているってほんとですか?!」

「はい、そうですよ。この姿を変えるのは幻術でも無ければ性転換でもありません。
詳しくは言えませんが、私の能力ではありますね。これは違う姿にならない限りずっとそのままの姿でいることができますし、なった姿は全部本物です。そして、姿は私の自由で考えることができます。簡単に言うと、自分自身の体を自由自在に弄れると言うことですね。」

「勝手に変わったり、姿によって能力が変わったりしないんですか?」

「能力というより種族固有の能力はその種族になることでしか使えませんが、それ以外は問題ありませんね。」

「じゃあ、なんでここに来た時女体だったんだ!?普通に今まで通りでいいじゃないか!?俺らをおちょくってんのか!?」

「そうですよ。」

「素直に認めやがった!!」

「ちょっと、シャーラも黙ってないで何か言ってやりなよ。」

そこまで話して、ここまで一言も喋らなかったシャーラに女子生徒が声を掛けながら振り向くと、シャーラは驚愕したまま固まっていた。

コメント

  • たかっしー

    頑張りますが、その日暮らしが厳しいので長い目で見てもらえると助かります

    0
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