職に恵まれた少年は世界を無双する
序章
家という楽園から追放された人々が集う学校。俺は連休明けの憂鬱さに浸りながら屋上で友人と喋っていた。
「はぁ、鬱だ。せっかくの俺の楽しみが今日に限って学校だなんて…。」深い溜息と共にぼやく。
「まぁ、そんな事言うなって。まだ明日も明後日もあるだから。学校もイベントも…………。」
はぁ...
男2人のため息が重なった。
そのため息の理由。それは、俺達がハマっているゲームのイベント。なかなか有名なアニメとコラボするという情報を得た俺達は盛大に喜んだ。そのアニメというのも、好きなアニメベスト3に入るという強者だ。
「確かに鬱だ。こんなにも楽しみにしていたのにな。台風でもなんでも休校になりゃなんでもこいよ。」
声の主は俺の友人、剣盃 秀義だ。こんなオタクチックな会話をしているが、凄い奴だ。
成績優秀、運動神経抜群、容姿端麗...。所謂、完璧というものである。
そういう俺は、秀義に比べたら平凡な高2の男。名を神谷 海希(しんたに かいき)。成績も運動神経も容姿も平均よりは上らしいが、俺の中では平凡だ。俺は、もとからねっからのゲーム・アニメ好きだが、秀義は違った。当初は、そういうのに興味が無く、その優秀さからたくさんの人に褒められるようになっていた。相変わらず嫌味な奴だが、それがつまらないと感じた秀義に対し、勧めたのがゲームだ。予想以上にハマってしまい、今に至る。
そんなこんなでゲームについて語っていると、チャイムがなった。
「―2年2組の皆さんは、至急教室に戻ってきてください。―」
俺達のクラスだ。それに今の声は理事長だ。俺達は顔を見合わせて、教室に向かった。
                                  ︙
いきなりの呼び出しチャイムで、辺りが静まり返っている。
俺達は、遅れてすみません。と軽く謝って席に座る。
しばらくの間、クラスの中では沈黙状態だった。
理事長が口を開く。
「そんな堅苦しくしなくてもいいよ!今日は特別にこのクラスへ紹介したい人がいたから呼び出しただけだから!」
とてもにこやかに話す。改めて思ったが、とてもおじいちゃん口調だ。
そして、何も無い空間を指しながら話を進める。隣をみて漸く気づいたのか、姿を見せなさいと言った。すると、徐々になにかの姿が現れた。
「この方は異世界から来た、エルバという方で自分の世界が滅亡しそう、ということでこのクラスに助けを求めてやって来たそうだ。」
は?
みんなが一斉に声を上げた。それは信じられないからであろう。異世界という新世界が。それに、なぜこのクラスなのだろうか。そんな疑問が俺の中にうまれる。そんなことよりも異世界という存在だ。
俺も信じられない。そんなゲームみたいなものあるか。秀義を見ると、手を合わせなにか祈り始めていた。
教室中にハスキーボイスが流れる。
「聞いてくれ」
その声の正体はエルバだった。唐突な出来事に生徒の間で神妙な空気が流れる。続けざまに話す。
「このクラスへ来たのは、異世界の常識が伝わりやすいやつばかりだったからだ。このクラスは男女共にゲーム・アニメをする奴が大半だ。憧れがある人もいるだろうと思い、ここへ来た。」
そんなことは初耳だ。俺のクラスはそんな奴が多かったのか。今まで隠していたと思われる人物は挙動不審になった者もいたり、顔が赤く染まっている人もいた。そんな恥ずかしいことではないはずだ。
またもや、唐突に喋り出す。
⋯なんて空気が読めないんだ!
「俺はこの2年2組全員を連れていこうと思っている。」
ん?マジですか。マジナンデスカ?
「これは本当だ。だが、行きたくない者や異論のある者は挙手してくれ。行きたくない者は理由もお聞かせ願う。」
そう言ったあと、俺には変な汗が流れ、女子はどうしようかコソコソ話し合っている。
すると、2人の女子が手を挙げた。他のみんなが目をそちらに向ける。
俺はその不躾な態度について叫びそうになった。こんな機会滅多にないものを無駄にするとは...。脳を回転させていると、理由を話し始めた。
「あの…………異世界と言えば魔物がいますよね?攻撃されたら死んじゃうんですよね?」
「あぁ。そうだな。」
「私一人のことしか考えてないですが、死にたくないです。」
この女は  世界<自分  らしいな。自分大好き女子は嫌いだ。
エルバがそんなことかでも言うようにこわばった肩を竦め、その女に向かって優しく話す。
「その点に関しては大丈夫だ。痛みは感じるが、異世界で死ぬような攻撃を受けたら強制的にこの世界に戻ってくるようになっている。詳しくはあっちに行ってから話す。納得はできたか?」
「は、はい。」少し困惑した様子を見せたが、時間差で納得出来たようだ。
俺の鼓動がとても早い。これまで以上に早い。医師に見せたらやばいよと言われそうなほど早くなっているように思える。
今の話を聞いて、みんなが安心したせいかだんだん教室が盛り上がってきた。教室の隅でなにやら理事長とエルバが話し合っている。
そして、ポーチと思われる物から2m程の魔法杖みたいなものを取り出し、先端を床に叩きつけた。その音に反応して、みんなの話し声が止む。
それよりあのポーチ...ドラ○もんの四次元ポケットみたいだ。
「これより向かう予定だが、もう異論は…………ないな。みんな中央に集まってくれ。指を3回鳴らしたら移動する合図だ。」
今までのハスキーボイスじゃなく、とても凛々しい声でそう囁く。
パチンッ   パチンッ       パチンッ
3回なった。と同時にエルバが呪文を唱え始めた。傍から見たらとても変な人だ。
「Blessed did not to you guys.It will bestow a chance at a new world.I think it Yuke dead to the living remains.」
(恵まれなかったあなたたちへ。新たな世界でチャンスを授けよう。思うがままに生きて死んでゆけ。)
これは...英語なのだろうか。英語はあまり得意ではない。もしそうなら、外人ならいつでも唱えれるじゃないか。そんなことを思っていると途端、天井に魔法陣らしき模様が浮かび上がる。俺達の周りを淡い光が囲んで、視界が白くなる。移動中なのか、動けないし声も出せない。金縛りのようだ。
                                  ︙
しばらくすると、体に感覚が戻ってきたような気がした。動けるし声も出せる。
真っ白な視界から真っ黒な視界に変わり、ゲームでよくある最初のステージのような草原が広がっていて何軒か家が建っている場所に出た。いかにも、スライムやゴブリンなどの下級魔物が出そうなところだ。
そして、辺りを見回す。
突然、目の前の生徒が倒れた。ドミノ倒しのように次々と倒れていく。秀義も既に倒れていた。なにか来たのかと思い、辺りを警戒していると、激しい頭痛がし、そのまま俺の意識も遠のいていった。
「はぁ、鬱だ。せっかくの俺の楽しみが今日に限って学校だなんて…。」深い溜息と共にぼやく。
「まぁ、そんな事言うなって。まだ明日も明後日もあるだから。学校もイベントも…………。」
はぁ...
男2人のため息が重なった。
そのため息の理由。それは、俺達がハマっているゲームのイベント。なかなか有名なアニメとコラボするという情報を得た俺達は盛大に喜んだ。そのアニメというのも、好きなアニメベスト3に入るという強者だ。
「確かに鬱だ。こんなにも楽しみにしていたのにな。台風でもなんでも休校になりゃなんでもこいよ。」
声の主は俺の友人、剣盃 秀義だ。こんなオタクチックな会話をしているが、凄い奴だ。
成績優秀、運動神経抜群、容姿端麗...。所謂、完璧というものである。
そういう俺は、秀義に比べたら平凡な高2の男。名を神谷 海希(しんたに かいき)。成績も運動神経も容姿も平均よりは上らしいが、俺の中では平凡だ。俺は、もとからねっからのゲーム・アニメ好きだが、秀義は違った。当初は、そういうのに興味が無く、その優秀さからたくさんの人に褒められるようになっていた。相変わらず嫌味な奴だが、それがつまらないと感じた秀義に対し、勧めたのがゲームだ。予想以上にハマってしまい、今に至る。
そんなこんなでゲームについて語っていると、チャイムがなった。
「―2年2組の皆さんは、至急教室に戻ってきてください。―」
俺達のクラスだ。それに今の声は理事長だ。俺達は顔を見合わせて、教室に向かった。
                                  ︙
いきなりの呼び出しチャイムで、辺りが静まり返っている。
俺達は、遅れてすみません。と軽く謝って席に座る。
しばらくの間、クラスの中では沈黙状態だった。
理事長が口を開く。
「そんな堅苦しくしなくてもいいよ!今日は特別にこのクラスへ紹介したい人がいたから呼び出しただけだから!」
とてもにこやかに話す。改めて思ったが、とてもおじいちゃん口調だ。
そして、何も無い空間を指しながら話を進める。隣をみて漸く気づいたのか、姿を見せなさいと言った。すると、徐々になにかの姿が現れた。
「この方は異世界から来た、エルバという方で自分の世界が滅亡しそう、ということでこのクラスに助けを求めてやって来たそうだ。」
は?
みんなが一斉に声を上げた。それは信じられないからであろう。異世界という新世界が。それに、なぜこのクラスなのだろうか。そんな疑問が俺の中にうまれる。そんなことよりも異世界という存在だ。
俺も信じられない。そんなゲームみたいなものあるか。秀義を見ると、手を合わせなにか祈り始めていた。
教室中にハスキーボイスが流れる。
「聞いてくれ」
その声の正体はエルバだった。唐突な出来事に生徒の間で神妙な空気が流れる。続けざまに話す。
「このクラスへ来たのは、異世界の常識が伝わりやすいやつばかりだったからだ。このクラスは男女共にゲーム・アニメをする奴が大半だ。憧れがある人もいるだろうと思い、ここへ来た。」
そんなことは初耳だ。俺のクラスはそんな奴が多かったのか。今まで隠していたと思われる人物は挙動不審になった者もいたり、顔が赤く染まっている人もいた。そんな恥ずかしいことではないはずだ。
またもや、唐突に喋り出す。
⋯なんて空気が読めないんだ!
「俺はこの2年2組全員を連れていこうと思っている。」
ん?マジですか。マジナンデスカ?
「これは本当だ。だが、行きたくない者や異論のある者は挙手してくれ。行きたくない者は理由もお聞かせ願う。」
そう言ったあと、俺には変な汗が流れ、女子はどうしようかコソコソ話し合っている。
すると、2人の女子が手を挙げた。他のみんなが目をそちらに向ける。
俺はその不躾な態度について叫びそうになった。こんな機会滅多にないものを無駄にするとは...。脳を回転させていると、理由を話し始めた。
「あの…………異世界と言えば魔物がいますよね?攻撃されたら死んじゃうんですよね?」
「あぁ。そうだな。」
「私一人のことしか考えてないですが、死にたくないです。」
この女は  世界<自分  らしいな。自分大好き女子は嫌いだ。
エルバがそんなことかでも言うようにこわばった肩を竦め、その女に向かって優しく話す。
「その点に関しては大丈夫だ。痛みは感じるが、異世界で死ぬような攻撃を受けたら強制的にこの世界に戻ってくるようになっている。詳しくはあっちに行ってから話す。納得はできたか?」
「は、はい。」少し困惑した様子を見せたが、時間差で納得出来たようだ。
俺の鼓動がとても早い。これまで以上に早い。医師に見せたらやばいよと言われそうなほど早くなっているように思える。
今の話を聞いて、みんなが安心したせいかだんだん教室が盛り上がってきた。教室の隅でなにやら理事長とエルバが話し合っている。
そして、ポーチと思われる物から2m程の魔法杖みたいなものを取り出し、先端を床に叩きつけた。その音に反応して、みんなの話し声が止む。
それよりあのポーチ...ドラ○もんの四次元ポケットみたいだ。
「これより向かう予定だが、もう異論は…………ないな。みんな中央に集まってくれ。指を3回鳴らしたら移動する合図だ。」
今までのハスキーボイスじゃなく、とても凛々しい声でそう囁く。
パチンッ   パチンッ       パチンッ
3回なった。と同時にエルバが呪文を唱え始めた。傍から見たらとても変な人だ。
「Blessed did not to you guys.It will bestow a chance at a new world.I think it Yuke dead to the living remains.」
(恵まれなかったあなたたちへ。新たな世界でチャンスを授けよう。思うがままに生きて死んでゆけ。)
これは...英語なのだろうか。英語はあまり得意ではない。もしそうなら、外人ならいつでも唱えれるじゃないか。そんなことを思っていると途端、天井に魔法陣らしき模様が浮かび上がる。俺達の周りを淡い光が囲んで、視界が白くなる。移動中なのか、動けないし声も出せない。金縛りのようだ。
                                  ︙
しばらくすると、体に感覚が戻ってきたような気がした。動けるし声も出せる。
真っ白な視界から真っ黒な視界に変わり、ゲームでよくある最初のステージのような草原が広がっていて何軒か家が建っている場所に出た。いかにも、スライムやゴブリンなどの下級魔物が出そうなところだ。
そして、辺りを見回す。
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