私の中の僕

towa1999

出会い

道路端に僕は彼女を寄せた。彼女は黙って泣いていた。
“大丈夫ですか?”と僕が言うと、彼女は黙って僕を見つめた。彼女は黙っていたけれど、彼女の声が聞こえた。(もう終わりだ。もう終わり。何もない)と彼女は言っていた。すると、後ろから医者が走って来た。
“井崎葵さん。矢野です。ちょっと戻りましょう。大丈夫だから。大丈夫。橋下先生のところ戻りませんか。”
僕はその時その矢野という医者を見て知った。彼女が臓器移植待ち患者だということを。そして、矢野は大丈夫だといいながら、(どうすればいい。僕だって大変なんだ)と言っている彼の心の声が聞こえた。
そして、彼女と矢野は病院に戻っていった。
そして、僕は気づいた。僕が生き返っていることに、あの夢から僕はこの世界に戻れたことを。今になって、嬉しさでいっぱいになった。

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