Virtual World of WarⅢ・仮想世界の戦争

11月光志/11月ミツシ

第7話

『所属兵科が選択されました。最後に所属希望国家を選択してください。なお、兵力の平等化を一部働くために希望とされた国家以外になる可能性もあります。ご注意下さ…へっくちっ!』
「ふぁ?!」

 音声ガイドがいきなりくしゃみをした。
 はっきりと聞いた俺は、突然かつあり得ないくしゃみに、ビクゥ!っと反応してしまった。

『すみません…ズズズ…花粉症なものなので…。』
「おっ、おう」

 果たして、合成音声が花粉症にかかることはあるのだろうか…?

『では、所属希望の国家を選択してください。国家は、アメリカ合衆国連合、アジア共栄圏、欧州・アフリカ連合体、ロシア・中東連邦の4か国です。
 アメリカ合衆国連合は、陸海空の強さが均等で安定した軍事ポイントや技術があります。ですが、世界恐慌の影響で兵士としての賃金は一番低いです。
 アジア共栄圏は、ゴム資源や石油資源が豊富で空軍海軍がずば抜けて強いです。ですが陸軍でやる分にはお勧めできません。
 欧州・アフリカ連合体はアフリカの広大な資源を欧州で組み立てたり技術開発を行い、それを平等的に分配します。バランスも良く、陸海空すべてが程よいですが、超大国と国境が隣接しているため侵略はされやすいです。
 ロシア・中東連邦は石油などの鉱物資源は豊富で陸空軍が主力となっている国家です。世界恐慌の影響を受けず、高賃金ですが2国に挟まれているので国境では戦闘が毎日起こっています。昼夜の温度差が激しいのでそれが苦手な人はお勧めできません(日中30~、深夜10~)』

 うーん、悩むなぁ…。こりゃぁ一回戻って攻略本でも見るかなぁ?
 俺は首をダブルクリックし、一時中断と書かれたスロットを探し、OKを押す。すると、視界が暗くなり、『一時中断中』と書かれた表示が画面に表示される。
 視界がはっきりしてきたところで、ヘッドギアを取り、座っていたソファーから時計を眺め…。絶句する。

「午後10時…だと?!」

 いやぁ、俺が確かログインしたの午後7時ちょっとすぎだったよね…。それで俺はログインした直後にゲームにログインして、ガイド音声によってキャラクターを作って、所属兵科を選んで、所属希望国家を選ぼうとしてけどどれがいいのかさっぱりで、攻略本から参考にしようとして、時計を見たら午後10時。3時間近くもログインしていたことになる。

「いやいや…、もしかしたらあの時計が壊れているだけの可能性も…。」

 それはない…。っと思うのだが、何故かそう直感で感じ、スマホの時計も確認する…。

「やっぱり10時だ…。」

 俺は絶望に浸った。
 なぜかって?

「こりゃぁ…、徹夜だな」

 宿題、数学と英語…。終わってねぇ!!!
 嘆いていても何もできないし、時間の無駄でもあるので、俺は仕方がなくVRを自室まで運び、充電をしながら宿題に取り掛かった。

 宿題が終わったのはちょうど時刻が月曜日になったとき…とだけは言っておこう…。



「ってことがあってさぁ…。」

 早朝6時起きの俺は、あくびを大きくしながら、いつも通り迎えに来た柚木に昨日会ったことをいろいろ話した。

「えっ?諭吉ちゃんそれ間に合ったのぉ~?」
「ああ、現国と歴史は終わってたし、集中すれば2時間で終わる俺をなめんな」
「終わったならよかったんだけど~…。それで、諭吉ちゃんは所属国家は決めたの?」
「そうなんだよなぁ…。柚木は決めたのか?」
「私は~、まだ決めてないよ」

 うーん、やっぱりか。こういうときってゲームだと思っても一度選んだものが二度と変えられないとなると、簡単に選ぶことは出来にくいんだよなぁ…。

「こういうときって~、十条君が詳しいんじゃないかぁ~…?」
「あっ、なるほど!すっかり存在を忘れてた!」

 っと丁度そこに…

「よっ!お二人さん。」

 後ろから十条がやってきた。

「なぁ、十条」
「なんだ?」
「お前、WWⅢの所属希望国家どこにした?」
「どこって?ロシア・中東連邦?だが。」
「何故!?」
「いやね、あの陣営賃金が周辺国よりずば抜けて高いんだよね。俺将来中央中立地域に引っ越すつもりだからその金をためるためにさ」

 その理由を聞いた時、俺も柚木も苦笑いの混じった薄い笑顔を浮かべていた。そして、俺は十条の言葉が何らかのフラグのようにも聞こえた。

コメント

コメントを書く

「SF」の人気作品

書籍化作品