ガチャで爆死したら異世界転移しました
討滅戦 ① 悪夢
「・・・ん…?」
仄暗い、鉄格子とゴツゴツした岩壁に囲まれた場所で、アリサは目を覚ます。
「ここは・・・?」
「お姉様っ!!」
アリサが身体を起こすと、聞き覚えのある声とともに少女が抱き着いてきた。
暗闇の中でも分かるほど綺麗な金色の長い髪を眺め、アリサは自分の意識が急激に覚醒していく感覚を覚える。
姉妹で全く同じ透き通るような金色の髪、好きだと言っていた花の微かな香り・・・
まさか、と驚きながらアリサは少女の肩に手を置き、身体を離し顔を見ようとする。
しかし、少女は俯き顔を見せようとしなかった。
「・・・り、リエナ・・・?」
アリサは、あの日、花を摘みに行くと言って庭へ出ていたきり帰って来なかった、最愛の妹の名を呼ぶ。
小さく頷く少女の顔は、部屋の暗さも相まって未だ見えない。
「・・・あ、あの…直ぐに助けに来れなくてごめんなさい・・・私も皆も必死に探したのだけれど・・・」
そう言って謝るアリサだが、少女はただ小さく頷くだけ。
「・・・リエナ…?」
様子の変な妹を心配したアリサは、前髪で遮られたその奥を覗き見ようとする。
その時ふと、少女がアリサの手を掴んだ。
「え、あの・・・痛っ」
どんどんと強くなっていく少女の腕の力に、アリサは顔を顰める。
「・・・んで・・・ったの・・・」
尋常ではないその力に手を離そうとするアリサは、少女が何かを呟いているのに気付く。
断片しか聞こえないその声を、アリサは聞かなければならないと何故か強く思った。
恐る恐るアリサは顔を近づけ、聞き取ろうと努める。
「んで・・・なかったの・・・んで・・・なんで───ナンデモットハヤクコナカッタノ───?」
「ひっ・・・」
突如響いたその声は、しかし少女の出せる声ではなかった。
アリサはいつの間にか離されていた両手を後ろ手に尻もちをつく。
声の主──少女であったもの──は、生々しい音を立てながらたちまちその異形を露わにする。
その形容し難い、しかし圧倒的なまでの威圧感に、アリサは今まで感じたことも無い程の恐怖を覚える。
(魔物!?でもこんなの見た事・・・これが【名欠け】・・・?こ、こんなの…倒せるわけが・・・)
だがその身に余る恐怖は、逆にアリサを勇気づける。
(で、でも、グレスティアさんならっ…あの人なら───)
「あっはぁ〜?こわぁいはずなのにぃ、アハハ、いいねぇ、そのめぇ。しまいそろってぇ、ほんとにぼくごのみぃ~・・・ホント、殺して遊びたい」
その瞬間、暗闇の中で何かが光った。
(・・・え?)
何が光ったのか探すアリサが見たのは、力無く倒れ崩れる、首から上の無い自分の体だった─────
「─────っ!!」
全身に酷く汗をかいたアリサが目を覚ましたのは、先程と同じような、鉄格子の扉以外全てが岩壁に囲まれた狭い部屋であった。
「お、おはよう。やっと起きた」
「「アリサ様っ!」」
「・・・大丈夫?酷い汗だけど」
長くうなされながら目を覚まさなかったアリサを心配する声に答える前に、彼女は自身の身体を確認する、主に首を。
その姿を見てレインは眉を寄せるが、アリサは構わず続ける。
何度もさすって何の異常も無い事を確認したアリサは、ようやく周囲を見渡す。
「・・・ここは?」
「そんなんこっちが聞きてーな」
「全くその通り」
アリサの問いに直ぐに答えたのは【零落の凶弾】の2人である。
さらに見渡す──見渡す程広い部屋ではないが──と、どうやら闘技場のあの控え室にいた全員がここに居るようだ。
「・・・で、これで全員起きた訳だけど、これからどうする?」
そう言って壁に背を預けて座るレインは、仄暗い部屋と黒い服(帽子)によって、目を凝らさないとほぼ見えない程壁と同化していた。
「あ、ちょっと待ってね。今座標確認の魔法を使ってるから・・・・・・出た。うん…まぁそうかなとは思ったけど、間違いない、ここは冒険者学校の真下ね」
「敵さんの方からご案内たぁ随分とよゆーだなぁおい?」
苦笑と共に言うレヴィア。そして、何だかおじさんはイライラしていた。
「まぁ、こっちとしては探す手間が省けたわけだし、敵のボスもぱっと見つけてぱっと倒してしまおうか」
(あぁでも場所は既に見つけてたっけ?)
「ぱっと倒せるのはグレスティアくんくらいだけどね」
レインは頬をかくレヴィアに軽く手を振って部屋を出ていった・・・男性の手首の太さほどもある鉄格子を、片手で軽々と折り曲げ破壊しながら。
「・・・どうした、行かんのか?」
誰もが無言で遠い目をしている中、一人全く気にしていないイグラッドがレインに続く・・・彼女は彼女で、レインの背丈では必要なかった高い部分を片手で吹き飛ばしながら。
「・・・・・・行こっか」
唯一似たような事が出来なくもないレヴィアがそう言った事で他の面々は部屋を後にした。
ふとアリサは、両腕に僅かな痛みを感じ立ち止まる。しかし、確認しようとしたが服によって隠れているため見ることが出来なく、気のせいだと自分に言い聞かせ歩き出すのだった────
仄暗い、鉄格子とゴツゴツした岩壁に囲まれた場所で、アリサは目を覚ます。
「ここは・・・?」
「お姉様っ!!」
アリサが身体を起こすと、聞き覚えのある声とともに少女が抱き着いてきた。
暗闇の中でも分かるほど綺麗な金色の長い髪を眺め、アリサは自分の意識が急激に覚醒していく感覚を覚える。
姉妹で全く同じ透き通るような金色の髪、好きだと言っていた花の微かな香り・・・
まさか、と驚きながらアリサは少女の肩に手を置き、身体を離し顔を見ようとする。
しかし、少女は俯き顔を見せようとしなかった。
「・・・り、リエナ・・・?」
アリサは、あの日、花を摘みに行くと言って庭へ出ていたきり帰って来なかった、最愛の妹の名を呼ぶ。
小さく頷く少女の顔は、部屋の暗さも相まって未だ見えない。
「・・・あ、あの…直ぐに助けに来れなくてごめんなさい・・・私も皆も必死に探したのだけれど・・・」
そう言って謝るアリサだが、少女はただ小さく頷くだけ。
「・・・リエナ…?」
様子の変な妹を心配したアリサは、前髪で遮られたその奥を覗き見ようとする。
その時ふと、少女がアリサの手を掴んだ。
「え、あの・・・痛っ」
どんどんと強くなっていく少女の腕の力に、アリサは顔を顰める。
「・・・んで・・・ったの・・・」
尋常ではないその力に手を離そうとするアリサは、少女が何かを呟いているのに気付く。
断片しか聞こえないその声を、アリサは聞かなければならないと何故か強く思った。
恐る恐るアリサは顔を近づけ、聞き取ろうと努める。
「んで・・・なかったの・・・んで・・・なんで───ナンデモットハヤクコナカッタノ───?」
「ひっ・・・」
突如響いたその声は、しかし少女の出せる声ではなかった。
アリサはいつの間にか離されていた両手を後ろ手に尻もちをつく。
声の主──少女であったもの──は、生々しい音を立てながらたちまちその異形を露わにする。
その形容し難い、しかし圧倒的なまでの威圧感に、アリサは今まで感じたことも無い程の恐怖を覚える。
(魔物!?でもこんなの見た事・・・これが【名欠け】・・・?こ、こんなの…倒せるわけが・・・)
だがその身に余る恐怖は、逆にアリサを勇気づける。
(で、でも、グレスティアさんならっ…あの人なら───)
「あっはぁ〜?こわぁいはずなのにぃ、アハハ、いいねぇ、そのめぇ。しまいそろってぇ、ほんとにぼくごのみぃ~・・・ホント、殺して遊びたい」
その瞬間、暗闇の中で何かが光った。
(・・・え?)
何が光ったのか探すアリサが見たのは、力無く倒れ崩れる、首から上の無い自分の体だった─────
「─────っ!!」
全身に酷く汗をかいたアリサが目を覚ましたのは、先程と同じような、鉄格子の扉以外全てが岩壁に囲まれた狭い部屋であった。
「お、おはよう。やっと起きた」
「「アリサ様っ!」」
「・・・大丈夫?酷い汗だけど」
長くうなされながら目を覚まさなかったアリサを心配する声に答える前に、彼女は自身の身体を確認する、主に首を。
その姿を見てレインは眉を寄せるが、アリサは構わず続ける。
何度もさすって何の異常も無い事を確認したアリサは、ようやく周囲を見渡す。
「・・・ここは?」
「そんなんこっちが聞きてーな」
「全くその通り」
アリサの問いに直ぐに答えたのは【零落の凶弾】の2人である。
さらに見渡す──見渡す程広い部屋ではないが──と、どうやら闘技場のあの控え室にいた全員がここに居るようだ。
「・・・で、これで全員起きた訳だけど、これからどうする?」
そう言って壁に背を預けて座るレインは、仄暗い部屋と黒い服(帽子)によって、目を凝らさないとほぼ見えない程壁と同化していた。
「あ、ちょっと待ってね。今座標確認の魔法を使ってるから・・・・・・出た。うん…まぁそうかなとは思ったけど、間違いない、ここは冒険者学校の真下ね」
「敵さんの方からご案内たぁ随分とよゆーだなぁおい?」
苦笑と共に言うレヴィア。そして、何だかおじさんはイライラしていた。
「まぁ、こっちとしては探す手間が省けたわけだし、敵のボスもぱっと見つけてぱっと倒してしまおうか」
(あぁでも場所は既に見つけてたっけ?)
「ぱっと倒せるのはグレスティアくんくらいだけどね」
レインは頬をかくレヴィアに軽く手を振って部屋を出ていった・・・男性の手首の太さほどもある鉄格子を、片手で軽々と折り曲げ破壊しながら。
「・・・どうした、行かんのか?」
誰もが無言で遠い目をしている中、一人全く気にしていないイグラッドがレインに続く・・・彼女は彼女で、レインの背丈では必要なかった高い部分を片手で吹き飛ばしながら。
「・・・・・・行こっか」
唯一似たような事が出来なくもないレヴィアがそう言った事で他の面々は部屋を後にした。
ふとアリサは、両腕に僅かな痛みを感じ立ち止まる。しかし、確認しようとしたが服によって隠れているため見ることが出来なく、気のせいだと自分に言い聞かせ歩き出すのだった────
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