ガチャで爆死したら異世界転移しました
冒険者学校 ① 報酬
「では国王様。試合の開始の合図をお願いしても?」
「うむ。双方、位置につけ」
甲冑の女性とレインは渡された各々の武器を持ち、少し距離を置いて向かい合う。
(・・・前回と同じくすぐに踏み込むのもいいけど、せっかくだし今回は受けてみようかなぁ)
レインは手に持つ木刀をぶらぶらとさせながらそんなことを考えていた。
「随分と余裕そうだな」
そんなレインを前に、甲冑の女性は少し腹が立ったのか、言い捨てるようにいう。
「ん?・・・あぁ、いや。ちょっと考えことを・・・」
まさかそのまま言うわけにもいかないレインは、適当にはぐらかす。
「ごほん。では、試合を始める・・・始め!」
気まずい雰囲気を破るように国王が試合の開始を宣言した。
(さて、おそらくこの国の守りの中で最強だろう人物は、一体どれほど強いんだろうかなぁ・・・)
レインは試合が始まってもいまだのんきに考え事をする。
(勇者であるカイル殿が認めるほどの実力者らしいが・・・どこから見ても子供にしか見えないな。それに黒服に長いつばのついたとんがり帽・・・見たことのない衣装だ・・・)
反対に甲冑の女性はしっかりと分析する。
「・・・一応名乗っておこう。国衛兵団及び国王親衛兵団団長、シャリア・リスト・マーリアだ」
「・・・あ、レイン・グレスティアです」
ごくりと、誰かが唾をのむ音が聞こえる。
(・・・攻めてこないな、まずは様子見というわけか?ならば!)
ついにシャリアが間合いを詰め、上段から全力で振り下ろす。
「はぁっ!」
レインはそれを横に身を引いて躱した。
「まだっ!」
しかし相手も兵団の長を務める人物。勢いをそのままに木刀はレインを追う。
「おぉ」
少し驚きながらもレインは今度は後ろに身を引き、また躱す。
「「・・・」」
再び距離を取り無言になる二人。
「・・・えっと。じゃあ、今度は僕の番かな?」
レインはさっき見た速度ぐらいで踏み込み、同じく上段から振り下ろす。・・・少し早かったかもしれないが。
「くっ」
シャリアはぎりぎりだがレインの攻撃をよける。そればかりか、シャリアは反撃とばかりに木刀を横に振るう。
(ふむふむ。まぁこのくらいの速さならやりすぎることはないかな。じゃ、終わらせよう)
レインは自分に迫ってくる木刀を見ながら考える。
(とった!)
シャリアはもう一瞬でレインの横腹に届くだろう得物を見て、自身の勝利を確信する。が・・・
「・・・なっ!?」
そう驚く声を上げたのはシャリアだった。
「ん~・・・やっぱり見えないな。二度目だし、横から見てれば見えるかと思ったんだけどな・・・」
二人の戦いを遠い目で観戦するカイルは呟く。
「・・・お、おかしい・・・今のは確実に間に合うはずがない・・・」
迫っていた木刀はレインによって掴まれ、逆にレインの木刀はシャリアの面前に突き付けられている。
「残念ながら、間に合ってしまいました」
「くっ」
被る兜の上からでも分かるほどの驚愕と悔恨が感じられた。
「・・・あっ。し、勝者レイン・グレスティア!」
一瞬呆けていた国王が宣言し、勝負が終了する。
「・・・で、国王様。昨日の話はカイルからしてもらうとして、今日僕がここに来た理由なんですけど。ご褒美をください」
レインは驚くほどの速度で話を切り替える。
「う、うむ?ご、ご褒美?・・・あぁなるほど、報酬ということか。確かにお主はこの国を救ってくれた英雄・・・何でも言うがよい、できうる限りだが用意しよう」
レインのあまりの唐突さに国王も動揺を隠せなかった。
「じゃあ、学校に行きたい」
「うむ、すぐに手配し・・・え?が、学校?」
まさかそんなことを要求されるとは思ってもいなかった国王である。
「そう。見ての通り僕ってさ、この世界ではちょっと強すぎると思うんだよ。だから、冒険者の学校に行くことで力の制御とか、上手くできるようになるかなーって」
「う、ううむ・・・」
しかし国王は困ったような顔をする。
「難しいの?」
「うむ。知っての通り、あれは大陸全土でも唯一の教育機関でな。さらに厄介なのが国や都市で管理しない、所謂独立機関なのだ。それゆえ、国王といえども独断で入学させることは難しい・・・特に私のような名ばかりの国王ではな・・・」
国王はその顔に少しばかりの影を見せる。
「ん~そうかぁ・・・じゃあしょうがないのかな・・・」
その時、衛兵の一人が国王に耳打ちする。
「・・・うむ、そうか。朗報だ、グレスティア殿よ。冒険者学校への入学ができるかもしれない」
「お、本当?」
「うむ。実は以前から、スラグディアの学園の内部に何かしら不穏な動きがあるらしい。そこでだが、お主が諜報員としてであったなら、入学させることができるぞ?もちろん、お主に何か調査を願うというわけでもないし、本物の諜報員は別につけるつもりだ」
「うん。僕としては入学できればいいんだけど、じゃあそれでいいよ」
思いがけない提案に、レインはすぐに乗る。
「では、この方向で手配し、それを今回の報酬とするがいいか?」
「りょーかい。あ、細かいことはカイルが伝えに来て頂戴ね。じゃあ、僕は用事も済んだのでこれで」
そう言ってレインはすぐに踵を返す。
「え?お、俺!?」
「僕はだいたいあの宿にいるから、よろしく」
そう言ってレインはドアの近くにいた衛兵に木刀を渡し、部屋を後にする。メア達もそれに続いた。
「うむ。双方、位置につけ」
甲冑の女性とレインは渡された各々の武器を持ち、少し距離を置いて向かい合う。
(・・・前回と同じくすぐに踏み込むのもいいけど、せっかくだし今回は受けてみようかなぁ)
レインは手に持つ木刀をぶらぶらとさせながらそんなことを考えていた。
「随分と余裕そうだな」
そんなレインを前に、甲冑の女性は少し腹が立ったのか、言い捨てるようにいう。
「ん?・・・あぁ、いや。ちょっと考えことを・・・」
まさかそのまま言うわけにもいかないレインは、適当にはぐらかす。
「ごほん。では、試合を始める・・・始め!」
気まずい雰囲気を破るように国王が試合の開始を宣言した。
(さて、おそらくこの国の守りの中で最強だろう人物は、一体どれほど強いんだろうかなぁ・・・)
レインは試合が始まってもいまだのんきに考え事をする。
(勇者であるカイル殿が認めるほどの実力者らしいが・・・どこから見ても子供にしか見えないな。それに黒服に長いつばのついたとんがり帽・・・見たことのない衣装だ・・・)
反対に甲冑の女性はしっかりと分析する。
「・・・一応名乗っておこう。国衛兵団及び国王親衛兵団団長、シャリア・リスト・マーリアだ」
「・・・あ、レイン・グレスティアです」
ごくりと、誰かが唾をのむ音が聞こえる。
(・・・攻めてこないな、まずは様子見というわけか?ならば!)
ついにシャリアが間合いを詰め、上段から全力で振り下ろす。
「はぁっ!」
レインはそれを横に身を引いて躱した。
「まだっ!」
しかし相手も兵団の長を務める人物。勢いをそのままに木刀はレインを追う。
「おぉ」
少し驚きながらもレインは今度は後ろに身を引き、また躱す。
「「・・・」」
再び距離を取り無言になる二人。
「・・・えっと。じゃあ、今度は僕の番かな?」
レインはさっき見た速度ぐらいで踏み込み、同じく上段から振り下ろす。・・・少し早かったかもしれないが。
「くっ」
シャリアはぎりぎりだがレインの攻撃をよける。そればかりか、シャリアは反撃とばかりに木刀を横に振るう。
(ふむふむ。まぁこのくらいの速さならやりすぎることはないかな。じゃ、終わらせよう)
レインは自分に迫ってくる木刀を見ながら考える。
(とった!)
シャリアはもう一瞬でレインの横腹に届くだろう得物を見て、自身の勝利を確信する。が・・・
「・・・なっ!?」
そう驚く声を上げたのはシャリアだった。
「ん~・・・やっぱり見えないな。二度目だし、横から見てれば見えるかと思ったんだけどな・・・」
二人の戦いを遠い目で観戦するカイルは呟く。
「・・・お、おかしい・・・今のは確実に間に合うはずがない・・・」
迫っていた木刀はレインによって掴まれ、逆にレインの木刀はシャリアの面前に突き付けられている。
「残念ながら、間に合ってしまいました」
「くっ」
被る兜の上からでも分かるほどの驚愕と悔恨が感じられた。
「・・・あっ。し、勝者レイン・グレスティア!」
一瞬呆けていた国王が宣言し、勝負が終了する。
「・・・で、国王様。昨日の話はカイルからしてもらうとして、今日僕がここに来た理由なんですけど。ご褒美をください」
レインは驚くほどの速度で話を切り替える。
「う、うむ?ご、ご褒美?・・・あぁなるほど、報酬ということか。確かにお主はこの国を救ってくれた英雄・・・何でも言うがよい、できうる限りだが用意しよう」
レインのあまりの唐突さに国王も動揺を隠せなかった。
「じゃあ、学校に行きたい」
「うむ、すぐに手配し・・・え?が、学校?」
まさかそんなことを要求されるとは思ってもいなかった国王である。
「そう。見ての通り僕ってさ、この世界ではちょっと強すぎると思うんだよ。だから、冒険者の学校に行くことで力の制御とか、上手くできるようになるかなーって」
「う、ううむ・・・」
しかし国王は困ったような顔をする。
「難しいの?」
「うむ。知っての通り、あれは大陸全土でも唯一の教育機関でな。さらに厄介なのが国や都市で管理しない、所謂独立機関なのだ。それゆえ、国王といえども独断で入学させることは難しい・・・特に私のような名ばかりの国王ではな・・・」
国王はその顔に少しばかりの影を見せる。
「ん~そうかぁ・・・じゃあしょうがないのかな・・・」
その時、衛兵の一人が国王に耳打ちする。
「・・・うむ、そうか。朗報だ、グレスティア殿よ。冒険者学校への入学ができるかもしれない」
「お、本当?」
「うむ。実は以前から、スラグディアの学園の内部に何かしら不穏な動きがあるらしい。そこでだが、お主が諜報員としてであったなら、入学させることができるぞ?もちろん、お主に何か調査を願うというわけでもないし、本物の諜報員は別につけるつもりだ」
「うん。僕としては入学できればいいんだけど、じゃあそれでいいよ」
思いがけない提案に、レインはすぐに乗る。
「では、この方向で手配し、それを今回の報酬とするがいいか?」
「りょーかい。あ、細かいことはカイルが伝えに来て頂戴ね。じゃあ、僕は用事も済んだのでこれで」
そう言ってレインはすぐに踵を返す。
「え?お、俺!?」
「僕はだいたいあの宿にいるから、よろしく」
そう言ってレインはドアの近くにいた衛兵に木刀を渡し、部屋を後にする。メア達もそれに続いた。
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