毒親
最悪な夜
名古屋に来て5カ月が過ぎた。
生活が落ち着いても私は一切実家への連絡はしなかった。
ある夜、真琴の部屋で同僚達と鍋パーティーを開いた。
恋の話、学校の話、仕事の話で盛り上がり楽しい時間だった。
そんな時間に水を差すかのように
母親からの電話が鳴った。
スマートフォンの画面を見つめたまましばらく固まった。
しつこく鳴り響く着信音にひとつ小さくため息をついてから画面を押した。
「はい…」
消えそうな声で私は電話に出た。
「あんた、連絡ひとつもせんけど、元気にしとっと?」
母親の低く冷たい声。
「うん」
私は同僚に聞かれたくなくて廊下に出た。
「連絡もせんで、こっちのことは心配じゃなかとね?目が届かんからってお母さんに、無断で男作っちょらんやろね?」
「ごめんなさい。大丈夫…」
その後も私にとってはどうでもいい話が続いた。
高校生の時に幼馴染の男の子と一緒に帰っているところを母親に見られ、叱られた。
不純だと。
クラスの男の子からの電話も全て拒否。
取り次いでくれることもなかった。
そのうち母親のことが学校で噂になり、友達も私と距離を置くようになった。
母親と話してる間、昔のことが蘇ってきた。
母親の声が耳障りで、途中で廊下に座り込み電話も床に置いた。
「ちょっと聞いとるの?」
電話から漏れる母親の声に
「ごめん、友達待たせてるからまたかけます。」
と強引に電話を切った。
何度も鳴り響く着信音に両手で耳を塞いだ。
「大丈夫?」
顔を上げると真琴がいた。
「電話誰?」
「母親…」
私の答えに真琴は目を丸くして言った。
「え、お母さんと話してるようには見えなかった。なんか気使ってるっていうか、怯えてるというか。お母さんと何かあったの?」
また、盗み聞き?プライベートに土足で上がり込んでくるような真琴の行動に以前から不信感を抱いていた。
私は真琴を睨んで言った。
「真琴には関係ない!なんでいつもいつも真琴はこんな時だけ現れるの?なんなの?」
そんな私に真琴は一言。
「あんたが嫌いだから。」
真琴の冷たい声にショックを隠しきれなかった。
私は寮を飛び出した。
私も真琴のこと好きになれなかった。
真琴も同じだった。
でも、こんなにストレートに言われると辛い。
こんな時に頼れるのは…
気が付けば、永田さんの自宅の玄関前にいた。
連絡もせずに、迷惑だよね。
そう思ったが、思い切ってインターホンを押した。
応答がない。
留守みたいだ。
私は行く宛もなく歩き出した。
どこかで会えるかもしれないと、永田さんの行きつけのお店を何軒か回った。
彼にこんなに会いたいと思ったのは初めてだった。
いつもリードしてくれる彼に甘えてた。
愛が重たいと
贅沢にも好きかどうかわからないとまで思った。
でも今、気が付いた永田さんが好き。
会いたい。
ネオンが涙で滲んで見えた。
想いが通じたのか、
その先に永田さんに似た背中が…
横顔が…
やっぱり永田さんだ!
「なが…」
呼び止めようとしたその時
視界に綺麗な女性が…
そして永田さんの腕に抱きついた。
私は目の前で起きている事が信じられなかった。
真琴が腕を組んだ時とは全然違う。
嫉妬の感情が爆発しそうだった。
目の前の二人が腕を組んだままこちらに向かって歩き出した。
私は金縛りにあったかのように足が動かない。
永田さんが私に気付いて、慌てて女性の腕を振り払った。
「友ちゃん…」
走り寄ってきた永田さんの顔が涙で歪んで見えた。
何が起きているのか頭の整理が追いつかない。
私はその場に腰を抜かして座り込んでしまった。
生活が落ち着いても私は一切実家への連絡はしなかった。
ある夜、真琴の部屋で同僚達と鍋パーティーを開いた。
恋の話、学校の話、仕事の話で盛り上がり楽しい時間だった。
そんな時間に水を差すかのように
母親からの電話が鳴った。
スマートフォンの画面を見つめたまましばらく固まった。
しつこく鳴り響く着信音にひとつ小さくため息をついてから画面を押した。
「はい…」
消えそうな声で私は電話に出た。
「あんた、連絡ひとつもせんけど、元気にしとっと?」
母親の低く冷たい声。
「うん」
私は同僚に聞かれたくなくて廊下に出た。
「連絡もせんで、こっちのことは心配じゃなかとね?目が届かんからってお母さんに、無断で男作っちょらんやろね?」
「ごめんなさい。大丈夫…」
その後も私にとってはどうでもいい話が続いた。
高校生の時に幼馴染の男の子と一緒に帰っているところを母親に見られ、叱られた。
不純だと。
クラスの男の子からの電話も全て拒否。
取り次いでくれることもなかった。
そのうち母親のことが学校で噂になり、友達も私と距離を置くようになった。
母親と話してる間、昔のことが蘇ってきた。
母親の声が耳障りで、途中で廊下に座り込み電話も床に置いた。
「ちょっと聞いとるの?」
電話から漏れる母親の声に
「ごめん、友達待たせてるからまたかけます。」
と強引に電話を切った。
何度も鳴り響く着信音に両手で耳を塞いだ。
「大丈夫?」
顔を上げると真琴がいた。
「電話誰?」
「母親…」
私の答えに真琴は目を丸くして言った。
「え、お母さんと話してるようには見えなかった。なんか気使ってるっていうか、怯えてるというか。お母さんと何かあったの?」
また、盗み聞き?プライベートに土足で上がり込んでくるような真琴の行動に以前から不信感を抱いていた。
私は真琴を睨んで言った。
「真琴には関係ない!なんでいつもいつも真琴はこんな時だけ現れるの?なんなの?」
そんな私に真琴は一言。
「あんたが嫌いだから。」
真琴の冷たい声にショックを隠しきれなかった。
私は寮を飛び出した。
私も真琴のこと好きになれなかった。
真琴も同じだった。
でも、こんなにストレートに言われると辛い。
こんな時に頼れるのは…
気が付けば、永田さんの自宅の玄関前にいた。
連絡もせずに、迷惑だよね。
そう思ったが、思い切ってインターホンを押した。
応答がない。
留守みたいだ。
私は行く宛もなく歩き出した。
どこかで会えるかもしれないと、永田さんの行きつけのお店を何軒か回った。
彼にこんなに会いたいと思ったのは初めてだった。
いつもリードしてくれる彼に甘えてた。
愛が重たいと
贅沢にも好きかどうかわからないとまで思った。
でも今、気が付いた永田さんが好き。
会いたい。
ネオンが涙で滲んで見えた。
想いが通じたのか、
その先に永田さんに似た背中が…
横顔が…
やっぱり永田さんだ!
「なが…」
呼び止めようとしたその時
視界に綺麗な女性が…
そして永田さんの腕に抱きついた。
私は目の前で起きている事が信じられなかった。
真琴が腕を組んだ時とは全然違う。
嫉妬の感情が爆発しそうだった。
目の前の二人が腕を組んだままこちらに向かって歩き出した。
私は金縛りにあったかのように足が動かない。
永田さんが私に気付いて、慌てて女性の腕を振り払った。
「友ちゃん…」
走り寄ってきた永田さんの顔が涙で歪んで見えた。
何が起きているのか頭の整理が追いつかない。
私はその場に腰を抜かして座り込んでしまった。
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