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東方疑心録

にんじん

お兄ちゃん 中編その2

「そういえばおじさん、有紗ちゃんはどうしたんですか?」

剣が店を見渡しながら尋ねる。この店に入ってからまだ有紗の姿を目にしていない。

「お兄ちゃん、有紗ってだれ?」

フランがハイライトの無くなった目で見つめてくる。その時、剣の背筋に寒いものがはしった。

「お、おじさんの娘だよ。(フランってヤンデレだったのか?)」

「そ、ならいいの」

そう言うとまた食事に取りかかるフラン。そして店主の方は、

「ああ、有紗なら材料のお使いにいってるからな」

「そうなんですか」

まだ小さいのによくやるなぁと剣は感心してしまう。

「……………」

「どしたの?」

剣が感心しているとフランにジト目を向けられる。

「……なんでもない」

「そう?ならいいけど…」

そうして剣とフランはスイーツに舌鼓をうちながら食べ進めるのだった。






「「ごちそうさまでした」」

剣とフランが同時にそう言う。

「それじゃ、他のとこいく?」

剣の問いかけにフランが頷く。そうすると剣は、

「おじさーん!お会計お願いします!!」

厨房の奥にそう声を掛けると、奥から

「おーう!」

と、返ってきた。そうして店主が出てきて会計をする。
そして店を出る直前に剣は、

「有紗ちゃんによろしくと言っておいてください」

と声を掛ける。

「伝えとくよ。またいらっしゃい!」

店主は笑顔でそう言う。
そして剣とフランは店を後にした。





「剣ー、あれなにー?」

「剣、あれは?」

「剣?」

「ねぇ!剣ってば!!!」

「うぉぉぅ?!」

至近距離でフランにそう叫ばれ思わず変な声をあげてしまう。
フランはおこったような顔で

「さっきから話しかけてるのにずっと無視するんだもん!」

と言っている。

「ごめんごめん、少し考え事をしてて」

これは嘘ではない。剣はずっと店主の話しについてかんがえていたのだ。

「(人がいなくなる。しかも次の日には戻ってくるって、どういうことだ?)」

「また考え事してる!」

「あ、あぁ…ごめん…」

フランに叱られてしまう。

「それじゃあ、罰としてあそこのアイス買ってきて!」

「え?」

そう言うフランが指差す先には、ソフトクリームを売っている店があった。少し並んでいるがすぐ買えるだろう。

「うーん、わかったよ。買ってくるけどバニラでいい?」

「うん!!」

「わかった。買ってくるからフランはここで待ってて」

「わかった!」

笑顔で言うフランを見て剣は店へ走り出す。
その時には剣の頭には先程の考え事のことは無かった。






「剣まだかなー?」

フランはそうしてベンチに座りながら剣を待っていた。

「やっぱり、剣といると楽しいな」

フランは剣といると何故か安心感を得て、一緒にいると心地よいらしい。

「剣遅いなー」

少し人が並んでいたからそんなに時間は掛からないだろうと思っていたが思ったより時間が掛かっているようだ。

「はやくこないか…ムグッ!?」

すると、後ろからフランの鼻にハンカチのようなものが当てられる。すると急にフランの意識は朦朧として睡魔に襲われる。意識が落ちる直前、フランの耳に

「今回のやつはけっこう上玉だな」

そう聞こえた気がした。







「おまたせ!いやー、前の人がお金がないって騒いでて思ったより時間が…って、あれ?」

剣がアイスを手に戻ってくるとそこにフランの姿は無かった。

「どこいったんだ?トイレか?」

そう剣が考えていると

「ん?」

剣は地面にあるものが落ちているのを見つける。それは

「これは、フランの帽子?」

そうフランがいつもつけている帽子であった。

「なんだってこんなとこに?」

そう呟いた瞬間、剣は嫌な予感がした。

「まさか…」

ここで剣は店主の言葉を思い出す。

『人が突然いなくなるんだ』

『いなくなっていた間の記憶がないらしい』

『"若い女の子"ばかりが被害に…』

「っ!!」

剣は青くなり両手に持っていたアイスを落として走り出した。

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