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東方疑心録

にんじん

最大のピンチ

「ぶほぉぉぉ!?」

剣はおもわず吹き出してしまう。前回は霊夢の入っている風呂に突入してしまったが、まさか突入されるとは思っていなかったようだ。
幸いにも、霊夢達は気づかなかったようだ。

「なに?レミリア、また泣かされたいの?」

「いや、そういうわけじゃ…」

霊夢の圧力にレミリアがタジタジである。まあ、剣のあの様子を見て、なおかつ経験していることを鑑みたら当然である。

「(あれはマジで一生消えないトラウマだよなぁ…って、そんなこと考えている場合じゃない!もし見つかって、覗きの疑惑が掛けられたら。霊夢にバレたら…)」

ゴクッと、剣の喉が鳴る。

「(半殺しじゃ済まないよなぁ…)」

剣はどうやってこの状況を切り抜けるか必死に考える。今、霊夢達は身体を洗っているため、湯船に浸かっている剣に気づく気配はない。

「(逃げ出すか、このままやり過ごすか…)」

この選択によっては剣の命が掛かっているかもしれない。剣は冷静にどちらがリスクが低いか天秤にかける。

「(逃げ出そうとしても、咲夜や霊夢、特に霊夢はそういった気配には敏感だから気付かれる可能性が高い。そうなると…)」

そうして剣が導き出した答えは、

「(このまま隠れてやり過ごそう。湯気もあるし、これだけ広い風呂なら隅っこで隠れていれば大丈夫だろ)」

隠れることだった。








「お風呂ってやっぱ気持ちいいわよね~~」

霊夢がそう言う。霊夢達は身体を洗い終えて湯船に浸かっていた。

「そうね~」

レミリアも目を閉じながらに言う。  
そんな霊夢達の後方、湯船の隅っこで息を潜めている者がいた。剣だ。

「(頼むから早く上がってくれ!)」

剣には重いプレッシャーが掛かっていた。
そんな剣の願いとは裏腹に一人とても元気な子がいた。

フランだった。

「アハハ!楽しいー!」

フランは皆がゆっくりしているなか、風呂を泳いでいた。そんなフランに咲夜が、

「妹様、お風呂で泳いではいけません。」

と注意するが、

「いいのよ咲夜。楽しそうだしね」

と、レミリア。その言葉を聞いた咲夜もおとなしくまたゆっくりと風呂に浸かる。

「(頼むからこっちにこないでくれよ、フラン…)」

しかし、剣の思いは届かずフランはこちらまで泳いでくる。
ヤバいと思った剣は動かずに黙っている。
しかし、

「アハハハハ…ん?」

不幸にも、フランは剣に気づいたのか、フランと目が合ってしまった。

「どうしたのー?フランー?」

急に静かになったフランにレミリアが声を掛ける。
剣は必死になって身振り手振りでフランに訴える。

「………」

フランはそんな剣の様子を見てぼーっとしていたが、剣の意志が伝わったのか、少し笑って頷くと、無言でレミリア達の所へ戻っていく。

「お姉様ー、お腹空いたー!」

「あら、そう?」

「まぁ、いい時間だしね」

「そうね、じゃあもう上がりましょうか。咲夜、朝食の準備をお願い」

「かしこまりました」

そうして咲夜は姿を消し、レミリア達も風呂場から出ていく。
それを見ていた剣は、ホッと安心して息をつくと共に、

「やっぱフランまじ天使だな…」

と思うのだった。

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