東方疑心録
心
「うえっ…ぐすっ……咲夜ぁ……」
レミリアは戻ってきてからずっとこの調子だ。どれだけのことをされたのか、あの、カリスマ(自称)の面影は全くというほど無くなり、咲夜に泣きついている。咲夜はそんなレミリアを撫でていた。
「にしても、どんなことしたらああなるんだよ?」
剣は好奇心から霊夢に尋ねるが、
「気になるの?じゃあ剣も向こうでお話しましょうか?」
「あ、いえ、ナンデモゴザイマセン。」
霊夢から発せられる殺気と、霊夢の顔が般若のようだったのでやめた。これは、今後聞かないようにしよう。
「それならいいのよ。それよりあんた大丈夫なの?」
霊夢が改めて聞いてくる。剣は、
「ああ、もうバッチリだよ。体がピンピンしてるよ。」
「さっきは動かないって言ってたくせに…」
レミリアが恨みのこもった視線を向けてくる。
「あはは……」
それを笑って誤魔化していると、部屋の扉が開いた。
「おーい、剣。大丈夫か?」
「大丈夫ですか?!剣さん!」
「お兄ちゃん、大丈夫?」
そこからやって来たのは魔理沙とさとりとこいしだった。
「うん、大丈夫だよ。心配してくれてありがと。」
剣はそう答える。それに安心したのか三人とも良かったという表情を浮かべていた。
「それと……」
「ん?」
さとりが俯いたまま呟く。剣は変なところで勘がいいのでさとりが何を言おうとしているのか大体察していた。おそらく人里でのことだろう。自分の意思ではないにしろ、剣にこんな怪我を負わせたことを謝ろうとしているのだろうと剣は考えていた。
実際、剣の予想は外れていなかった。
「人里では本当にごめんなさい!私の意思ではないにしろ、剣さんにこんな傷を負わせてしまって。」
剣は自分の予想が一部の隙もなく当たっていたことにたいし苦笑いをこぼしながらも、
「いいですよ、そんなこと。今こうして生きているんですから前のことなんて謝らなくて。」
剣はさとりが悪いなどとは少しも考えていなかった。さとりは青龍の薬の実験台にされただけで本人の意思ではないこともよく解っているし、なによりさとりも被害者だ。被害者を強く責めるほど剣は非情ではなかった。
「それでも……」
さとりはなおも食い下がる。薬のせいではあるが意識はあり、自分が何をしたのかを解っているからだろう。
「いいのよ、さとり。」
「霊夢さん…」
困った表情を浮かべるさとりに霊夢が話しかける。
「剣はこんなやつだから、後ろを振り向かないのよ。見ているのは前だけのバカだから。」
「ひどい言い草だな。」
霊夢は辛口だが、当たっていた。
「そういうことだから、気にしなくていいですよ。」
「は、はい…」
さとりは今度しっかり謝罪と助けてくれたお礼をしようと心に決めるのだった。
「そういえばどうやってさとりを助けたのよ?」
霊夢が剣に尋ねる。それはあの場にいなかった全員が気になっていることだった。
しかし、
「………///」
一人、さとりが顔を赤くしていた。何故かというと、さとりは自分のしたことを覚えている。つまり、自分がされたことも覚えているわけだ。さとりはあのとき自分を抱き締めた剣のことを思い出して赤面していたのだ。
初めての抱擁、初めての男性とのふれあい、そのどれもがさとりには刺激が強すぎたのだった。
「わ、私、何か飲み物とってきますね!///」
さとりはそう言って部屋を出ていった。
「どうしたんだ?飲み物なら咲夜に頼めばいいのに。」
剣はそう疑問を口にする。やはり剣は鈍かった。
「「「「これは…まさか…!?」」」」
部屋にいる女子達が声を揃える。
「え、どうしたの?」
剣の言葉を聞いて、女子達は、
「全く、これだから…」
「どんだけ鈍いのよ…」
「まじかよ、剣…」
「お兄ちゃん……」
それぞれが落胆したような顔をする。
「え、え、なにかした?」
「「「「はぁ~~~」」」」
剣は何がなんだかわからないまま女子達に呆れられるのだった。
レミリアは戻ってきてからずっとこの調子だ。どれだけのことをされたのか、あの、カリスマ(自称)の面影は全くというほど無くなり、咲夜に泣きついている。咲夜はそんなレミリアを撫でていた。
「にしても、どんなことしたらああなるんだよ?」
剣は好奇心から霊夢に尋ねるが、
「気になるの?じゃあ剣も向こうでお話しましょうか?」
「あ、いえ、ナンデモゴザイマセン。」
霊夢から発せられる殺気と、霊夢の顔が般若のようだったのでやめた。これは、今後聞かないようにしよう。
「それならいいのよ。それよりあんた大丈夫なの?」
霊夢が改めて聞いてくる。剣は、
「ああ、もうバッチリだよ。体がピンピンしてるよ。」
「さっきは動かないって言ってたくせに…」
レミリアが恨みのこもった視線を向けてくる。
「あはは……」
それを笑って誤魔化していると、部屋の扉が開いた。
「おーい、剣。大丈夫か?」
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そこからやって来たのは魔理沙とさとりとこいしだった。
「うん、大丈夫だよ。心配してくれてありがと。」
剣はそう答える。それに安心したのか三人とも良かったという表情を浮かべていた。
「それと……」
「ん?」
さとりが俯いたまま呟く。剣は変なところで勘がいいのでさとりが何を言おうとしているのか大体察していた。おそらく人里でのことだろう。自分の意思ではないにしろ、剣にこんな怪我を負わせたことを謝ろうとしているのだろうと剣は考えていた。
実際、剣の予想は外れていなかった。
「人里では本当にごめんなさい!私の意思ではないにしろ、剣さんにこんな傷を負わせてしまって。」
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「いいですよ、そんなこと。今こうして生きているんですから前のことなんて謝らなくて。」
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「それでも……」
さとりはなおも食い下がる。薬のせいではあるが意識はあり、自分が何をしたのかを解っているからだろう。
「いいのよ、さとり。」
「霊夢さん…」
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「剣はこんなやつだから、後ろを振り向かないのよ。見ているのは前だけのバカだから。」
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霊夢は辛口だが、当たっていた。
「そういうことだから、気にしなくていいですよ。」
「は、はい…」
さとりは今度しっかり謝罪と助けてくれたお礼をしようと心に決めるのだった。
「そういえばどうやってさとりを助けたのよ?」
霊夢が剣に尋ねる。それはあの場にいなかった全員が気になっていることだった。
しかし、
「………///」
一人、さとりが顔を赤くしていた。何故かというと、さとりは自分のしたことを覚えている。つまり、自分がされたことも覚えているわけだ。さとりはあのとき自分を抱き締めた剣のことを思い出して赤面していたのだ。
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「わ、私、何か飲み物とってきますね!///」
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