東方疑心録

にんじん

魔理沙とのデート(後編)

「それじゃあそろそろ帰る?日も暮れてきたし。」

僕達は寺子屋を後にした後、食べ歩きをしながら人里をぶらついていて気づけば日が沈もうとしていた。

「そうだな、じゃあ私はここで。」

「ちょっと待って魔理沙。」

僕は魔理沙を呼び止める。

「どうしたんだぜ、剣?」

「いや、ただ、魔理沙を一人で帰らせるのは男としてどうかと思って。」

剣もこれでも一応男の端くれだ。魔理沙を家まで送らないといたたまれないものがある。

「だから家まで送るよ魔理沙。」

「その気遣いは嬉しいが、送るのは私だろ…」

その通り、これまでずっと移動は魔理沙の箒でしていたので送るといっても僕が魔理沙に着いていくだけだ。

「まあまあ、細かい事はきにすんなって。」

「わかったんだぜ。それじゃあ私の箒に…って、あれ?」

「どうしたんだ魔理沙?」

「私の箒がない。」

「嘘だろ!?」

「多分どっかに置き忘れたんだろうな。」

「どうすんだよ…」

「箒自体は家にもあるからいいけど、帰りは歩きかな…」

「そ、そんな…」

僕はその言葉に愕然とする。

「まあまあ、話しながら歩けばすぐ着くだろうからいいだろ。」

「なんで魔理沙はそんなに気楽なんだよ…」

そんな言葉を交わしながら僕達は魔理沙の家に向かうのだった。

※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※

「ねえ、魔理沙。」

「なんだぜ?」

「なんでこんな森の中を歩いているの?」

「なんでってそりゃあ、私の家が森の中にあるからだぜ。」

「なんでだよ!?」

僕は今薄暗い森の中を歩いていた。歩いているうちにすっかり日も暮れあたりは暗くなっていた。

「だって、魔法の実験をするのに近くに人里があったら困るだろ?」

「まあそれもそうか。」

僕は追及するのを諦めて歩いた。

「それにしてもこの森気味が悪いな…幽霊でもでそうだな…」

僕の言葉に魔理沙がビクッとして、

「そ、そんな、幽霊なんて、いないんだぜ。」

あからさまに汗をかいて顔も青白くなっている。

「(あっ、魔理沙って幽霊とか苦手なんだ。)」

僕はそう思ったが魔理沙本人は絶対認めないだろうから口には出さなかった。

「魔理沙の家にはまだ着かないの?」

「あと少しだぜ。」

その言葉に僕はやる気を入れ直したその時、

『ガサガサッ』

僕達の前方の茂みが音をたてて揺れた。

「な、なんだぜ?」

「もしかして本当に幽霊が出てきたとか?」

「そんなこと言うなだぜ!」

『ガサガサッ』

また茂みが揺れて、そこからウサギが出てきた。

「なんだ、ただのウサギじゃないか。」

「びっくりして損したんだぜ。」

「それじゃあ行こうか………」

僕はそこまで言いかけて目を見開いた。

「どうしたんだぜ?剣?」

そんな僕に魔理沙が不思議そうにしていた。

「あ、あれ…」

僕は森の奥を指差す。そこには遠目では分からないが女性がいた。こんな時間にこんな場所にいるなんて、普通の女性ではない。とすると、

「あれって、え…」

僕の指差した方を見て魔理沙が固まる。そして、

「きゃあぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」

叫びながらその場にへたりこんでしまう。

「魔理沙?!」

僕が魔理沙の方に目を向け、視線を戻したときには女性はいなかった。

「なんだったんだ一体?それにしても魔理沙、大丈夫?」

見れば魔理沙は地面に座りこんでこちらを見上げている。その目にはうっすらと涙が浮かんでいた。

「………腰が抜けたんだぜ。」

「まったく、しょうがないなあ。」

僕はため息まじりに魔理沙に背を向けてしゃがむ。

「何してるんだぜ?」

「何って、魔理沙をおぶらないと帰れないでしょ。だから、ほら。」

「そ、そんなの悪いんだぜ!」

「まったく…」

僕はまたため息をつくと立ち上がり魔理沙の後ろにまわる。

「剣?いったいなにを…って、うわぁ///!」

僕は魔理沙の肩と膝にてをまわし魔理沙を持ち上げた。俗に言うお姫さまだっこというやつだ。

「な、なにをしているんだぜ!剣///!」

「魔理沙がおぶるのをしぶるからこうするしかないじゃん。」

「それでもいきなりこんなこと…///」

魔理沙は顔を真っ赤にして俯いていた。

「じゃあ行くよ。」

僕は魔理沙を抱えて歩き出す。すると魔理沙が、

「剣、重くないか?」

と、聞いてくる。

「いや、重くないよ?女の子ってこのくらいかなって思うし。」

「剣は、私のことを女の子として見ているのか?」

「?当たり前じゃん。」

「ーーっ、そういうことを平気で言うから///」

「どうしたの?」

「なんでもないんだぜ!」

そうやって僕らは魔理沙の家に向かうのだった。

「東方疑心録」を読んでいる人はこの作品も読んでいます

「ファンタジー」の人気作品

コメント

  • ko-suke

    とても面白いし、主人公の能力もいいですね!僕も東方Project2次創作作品を投稿している身なのですが、全然人気が出なくて・・・。どうしたらそんな面白い作品が書けるのですか?
    これからも頑張ってください!応援しています!

    0
コメントを書く