東方疑心録

にんじん

霊夢との出会い

「すみません、誰かいませんかー。」
僕は神社に向かって呼びかけた。だが返事がない。誰も居ないのかと思いつつもう一度呼びかけた。
「すみませーん、誰かいませんかー!」
すると、
「うるさいわね、そんなに大声出さなくても聞こえてるわよ。」
女性の声が聞こえて神社から人が出てきた。
「あ、はい、すみません。」
「まったく、こんな昼間っから大声出さないでよ。」
その女性は、脇を大きく露出した巫女服を着て頭に大きなリボンをつけた黒髪の女性だった。また、その顔はとても整っていて、儚ささえ覚えるほどの美人だった。
「それで、あんたはここに何しにきたの?参拝客ってわけでもなさそうだし。」
「それが…」
僕はここに至るまでの経緯を話した。途中から女性の顔に苛立ちが見えたのは気のせいだろうか。
「なるほどね、だいたい話は分かったわ。まったく、暇潰しで神隠しするなって言ってるのに、次会ったら殴っておく必要があるようね。」
最後のほうで怖いこと言ってた気がするが聞かなかったことにした。
「僕はどうすれば?」
「言っておくけど、ここには泊められないわよ。」
「そんなぁ…」
僕が落胆していると、
「霊夢ー!」
という声がした。すると、箒に乗った金髪の女の子がすぐそばにやってきた。
「どうしたのよ、魔理沙。」
魔理沙と呼ばれる女の子は、
「こいつは誰だぜ?って、そんなこと話してる場合じゃないんだぜ!また人里であの怪物が暴れまわっているんだぜ!」
「そういうことは早くいいなさいよ!」
すると女性は空を飛んでどこかにいってしまった。
「待ってくれだぜ~、霊夢~!」
魔理沙も、箒にまたがって空を飛んでいった。それを見ながら僕は、
「人って空を飛べたっけ?」
と思いつつ彼女達のあとを追うのだった。

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