魔女の涙が流れる時
第一話 「僕の魔女」
〜1500年頃、不思議な力を宿した女性が現れ、戦争を鎮め飢えに苦しんでいた者達を助けた。だが、その力を恐れた王がその女性を「魔女」と呼び、処刑することにした。そして、処刑される直前その「魔女」は自身のもつ最大限の力を使って、この世界に「魔女」の力を宿し亡くなった。
そして、この世界に住む者の中に魔女の力を宿す者が現れ、その力を悪用する者、平和のために活用する者、はたまた力があることに気が付かない者…
各「魔女」にはそれぞれの個性的な力をがあって差別化されており、「魔女の力」を宿した者は代償を支払わなければいけないのである。
たとえ、本人が「魔女の力」を欲したとした訳ではなくとも〜
この世界には大きくわけて3つの大陸があり、
アテヌビ大陸、ゴシテンハ大陸、ゼルソヤ大陸
と呼ばれている。そして、私たちが住んでいるトボレーヌ地方はゼルソヤ大陸に位置し、自然豊かな場所で住みやすい場所である。
特に夕時の光によって木々達が赤く染まってく景色はとても綺麗で、自分の中ではエインさんを除いて堂々の1位である。だが、蔵から見た今日の夕時の光は、これまでの夕時とは違って綺麗に見えなかった。
「死、死ぬかとお"も"っ"た"ぁ"」
身体をへなへなにしながら帰ってきたドーリンにエインは拍手を送った。
エイン「お疲れ様。今さっきチラッと見てきたけど、抜かりなく掃除をこなしてくれたようね」
ドーリン「当たり前ですよ!しなかったら追加で掃除やらされるんですから」
エインはふふっと笑い、優しい口調で「とりあえずそのホコリくさい身体を洗ってきなさい」とドーリンに伝えた。
無我夢中で掃除をしていて気が付かなったが、服のあちこちに埃がくっついている。
ドーリン「わ、わかりました。」
早足で風呂場に向かうドーリンを見送り、エインは優秀な下僕を捕まえられたなぁっと思っていた。
エインとドーリンの出会いは今から五年程前の事であった。実験に必要な花を摘みに森を散策していた時、怪我をしていた少年を発見した。あまり話しかける気にはならなかったが、ほっとくのも可哀想だったのでついつい声をかけてしまった。
「あなた、大丈夫かしら?」   「…!け、怪我してて歩けない、です」
そう、このもどり喋りをした少年がドーリンである。
家が近かったこともあって怪我を治療し、家に返してあげようと思った。ただ、
「僕の親は1ヶ月ほど前に姿を消してしまって、帰る場所はないです」
なんて言われてしまった。これがまたエインの心を揺らぐことになった。
この御世代、不景気が続いているので子供を捨ててしまう親がいるとは聞いてはいたが…少しだけ面倒を見てあげようと思い、家に住みつかせてからはこれである。
いやぁ、非常に優秀で使いやすい子である。あの時無視しなくて正解だったよ過去の私よ。五年前のドーリンと比べると子供っぽさが抜け、少年っぽさが出始めていた。…私の両親もこのように成長を楽しんでたのだろうか。
「さ、実験でもしようかしら」
風呂場に向かったドーリンは再びため息をついた。
ドーリン「はぁ、エインさんは本当に指示が荒いな。それが魔女っぽくてまたいいんだけどさ」
「また気持ち悪いこと言ってるな、ドーリン」
…この声は。
「だからいつまで経っても下僕みたいな扱いを受けるんだぞ」
ドーリン「うるさいわシュガー!君はペットの猫だろう!!」
そう、この声の主は猫である。
シュガー「ふん、ペットの猫で何が悪い?」
ドーリン「下僕とペットは同類だ!君だってエインさんの前では『にゃお〜』って甘える猫になるくせにさ、俺だけ気持ち悪いと言うのはおかしいぞ!!」
シュガー「はぁ、単純思考すぎる。だからいつまで経っても下僕扱いなんだ。ペットは主人に愛され、下僕は適当に指示を貰うんだ。だから同類じゃないし、この猫という特徴を活かしたやり方で『甘え』てるのさ。それに、そんなに文句言うなら君も猫になればいいだろ。」
ンググ…ドーリンは言葉を詰まらせてしまった。
シュガー「エイン様を森で見つけてから追っかけてきたなんて、そっちの方が気持ち悪いんじゃないか?」
ドーリン「そ、それは」
そう、それは親がいなくなってしまってから1週間が経ち、なにか食材を求めて森の中を散策していたら、1人の青い目をもつ綺麗な女性を見つけたのだ。これがエインさんとの出会いとなる。その美しい瞳に心を奪われ、後を追っかけたのだが姿を見失ってしまった。
それを繰り返すこと3週間後、森に出かけることが日課になっていたドーリンは意気揚々と森の中を歩いてたらつまづき、膝を擦りむいてしまった。うわ、怪我しちゃったよ、と思っていたらあの綺麗な女性が近づいてくるではないか!
胸の鼓動が高鳴り、あの青い目に全てが吸い込まれるかと思った。
「あなた、大丈夫かしら?」
…!なんて美しい声なのだろう。それに、僕の怪我を心配して姿を現してくれるなんて。怪我は大丈夫だけど心臓がヤバい…ここは嘘をつこう
「…!け、怪我してて歩けない、です。」
流石に膝を擦りむいたぐらいで歩けないのは言い過ぎたか、なんて思ったが颯爽と家に運ばれ、怪我の治療をしてもらった。
ドーリン「え、エインさんはここ1人で生活してるんですか?」
エイン「えぇ、そうよ。ずっと1人」
ドーリンは、この言葉がどこか悲しく聞こえた。
エイン「さ、貴方は親のところへおかえりなさい。心配なさるでしょう」
ドーリン「…親は1ヶ月ほど前に姿を消してしまって、帰る場所はないです。」
ダメ元で遠回しから「一緒に住ませてほしい」意思を込めた発言であった。
エイン「…なら、ここに住む?ただ、私の言うことは聞いてもらうけどね」
…そうして、今この現状に至るのだ。まとめるなら僕の心はエインさんに奪われ、この五年間尽くしてきた。ただ、確かにシュガーが言う通り関係があまり発展してない気がする。どこか壁を作られたまま…
シュガー「…い…おい!なにボケーとしてんだ!」
ドーリン「あ、」
シュガー「それにお前さんちゃんとみたら汚れてるじゃないか!はよ風呂に行ってこい」
なんだい!先に声をかけてきたのはシュガーだってのに!と吐き捨て、早足で風呂場に向かった。
夜ご飯は何を作ろうかな。
そして、この世界に住む者の中に魔女の力を宿す者が現れ、その力を悪用する者、平和のために活用する者、はたまた力があることに気が付かない者…
各「魔女」にはそれぞれの個性的な力をがあって差別化されており、「魔女の力」を宿した者は代償を支払わなければいけないのである。
たとえ、本人が「魔女の力」を欲したとした訳ではなくとも〜
この世界には大きくわけて3つの大陸があり、
アテヌビ大陸、ゴシテンハ大陸、ゼルソヤ大陸
と呼ばれている。そして、私たちが住んでいるトボレーヌ地方はゼルソヤ大陸に位置し、自然豊かな場所で住みやすい場所である。
特に夕時の光によって木々達が赤く染まってく景色はとても綺麗で、自分の中ではエインさんを除いて堂々の1位である。だが、蔵から見た今日の夕時の光は、これまでの夕時とは違って綺麗に見えなかった。
「死、死ぬかとお"も"っ"た"ぁ"」
身体をへなへなにしながら帰ってきたドーリンにエインは拍手を送った。
エイン「お疲れ様。今さっきチラッと見てきたけど、抜かりなく掃除をこなしてくれたようね」
ドーリン「当たり前ですよ!しなかったら追加で掃除やらされるんですから」
エインはふふっと笑い、優しい口調で「とりあえずそのホコリくさい身体を洗ってきなさい」とドーリンに伝えた。
無我夢中で掃除をしていて気が付かなったが、服のあちこちに埃がくっついている。
ドーリン「わ、わかりました。」
早足で風呂場に向かうドーリンを見送り、エインは優秀な下僕を捕まえられたなぁっと思っていた。
エインとドーリンの出会いは今から五年程前の事であった。実験に必要な花を摘みに森を散策していた時、怪我をしていた少年を発見した。あまり話しかける気にはならなかったが、ほっとくのも可哀想だったのでついつい声をかけてしまった。
「あなた、大丈夫かしら?」   「…!け、怪我してて歩けない、です」
そう、このもどり喋りをした少年がドーリンである。
家が近かったこともあって怪我を治療し、家に返してあげようと思った。ただ、
「僕の親は1ヶ月ほど前に姿を消してしまって、帰る場所はないです」
なんて言われてしまった。これがまたエインの心を揺らぐことになった。
この御世代、不景気が続いているので子供を捨ててしまう親がいるとは聞いてはいたが…少しだけ面倒を見てあげようと思い、家に住みつかせてからはこれである。
いやぁ、非常に優秀で使いやすい子である。あの時無視しなくて正解だったよ過去の私よ。五年前のドーリンと比べると子供っぽさが抜け、少年っぽさが出始めていた。…私の両親もこのように成長を楽しんでたのだろうか。
「さ、実験でもしようかしら」
風呂場に向かったドーリンは再びため息をついた。
ドーリン「はぁ、エインさんは本当に指示が荒いな。それが魔女っぽくてまたいいんだけどさ」
「また気持ち悪いこと言ってるな、ドーリン」
…この声は。
「だからいつまで経っても下僕みたいな扱いを受けるんだぞ」
ドーリン「うるさいわシュガー!君はペットの猫だろう!!」
そう、この声の主は猫である。
シュガー「ふん、ペットの猫で何が悪い?」
ドーリン「下僕とペットは同類だ!君だってエインさんの前では『にゃお〜』って甘える猫になるくせにさ、俺だけ気持ち悪いと言うのはおかしいぞ!!」
シュガー「はぁ、単純思考すぎる。だからいつまで経っても下僕扱いなんだ。ペットは主人に愛され、下僕は適当に指示を貰うんだ。だから同類じゃないし、この猫という特徴を活かしたやり方で『甘え』てるのさ。それに、そんなに文句言うなら君も猫になればいいだろ。」
ンググ…ドーリンは言葉を詰まらせてしまった。
シュガー「エイン様を森で見つけてから追っかけてきたなんて、そっちの方が気持ち悪いんじゃないか?」
ドーリン「そ、それは」
そう、それは親がいなくなってしまってから1週間が経ち、なにか食材を求めて森の中を散策していたら、1人の青い目をもつ綺麗な女性を見つけたのだ。これがエインさんとの出会いとなる。その美しい瞳に心を奪われ、後を追っかけたのだが姿を見失ってしまった。
それを繰り返すこと3週間後、森に出かけることが日課になっていたドーリンは意気揚々と森の中を歩いてたらつまづき、膝を擦りむいてしまった。うわ、怪我しちゃったよ、と思っていたらあの綺麗な女性が近づいてくるではないか!
胸の鼓動が高鳴り、あの青い目に全てが吸い込まれるかと思った。
「あなた、大丈夫かしら?」
…!なんて美しい声なのだろう。それに、僕の怪我を心配して姿を現してくれるなんて。怪我は大丈夫だけど心臓がヤバい…ここは嘘をつこう
「…!け、怪我してて歩けない、です。」
流石に膝を擦りむいたぐらいで歩けないのは言い過ぎたか、なんて思ったが颯爽と家に運ばれ、怪我の治療をしてもらった。
ドーリン「え、エインさんはここ1人で生活してるんですか?」
エイン「えぇ、そうよ。ずっと1人」
ドーリンは、この言葉がどこか悲しく聞こえた。
エイン「さ、貴方は親のところへおかえりなさい。心配なさるでしょう」
ドーリン「…親は1ヶ月ほど前に姿を消してしまって、帰る場所はないです。」
ダメ元で遠回しから「一緒に住ませてほしい」意思を込めた発言であった。
エイン「…なら、ここに住む?ただ、私の言うことは聞いてもらうけどね」
…そうして、今この現状に至るのだ。まとめるなら僕の心はエインさんに奪われ、この五年間尽くしてきた。ただ、確かにシュガーが言う通り関係があまり発展してない気がする。どこか壁を作られたまま…
シュガー「…い…おい!なにボケーとしてんだ!」
ドーリン「あ、」
シュガー「それにお前さんちゃんとみたら汚れてるじゃないか!はよ風呂に行ってこい」
なんだい!先に声をかけてきたのはシュガーだってのに!と吐き捨て、早足で風呂場に向かった。
夜ご飯は何を作ろうかな。
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