僕が恋したのはセミでした?

ノベルバユーザー173668

告白

 僕と、セミちゃんがセミちゃんの家を出ると、もう空が赤かった。そこで、今夜はホテルに泊まることにした。ホテルに着くやディナーが出てきたが、セミちゃんは一口食べて、
「美味しい!」
と言ったが、その後食べることはなかった。部屋に戻ると、僕は、布団に入った。すると、セミちゃんは、僕の布団の中に入ってきた。そして、
「私、遊園地のキャストになりたいんだ。キャストになってみんなを幸せにしたいの。人を幸せにすることって自分も幸せになれると思うの。先生なれると思う?」
と言った。僕は、
「絶対、なれるよ。」
と言った。生きていればと思うと僕の胸がチクリと痛む。すると、セミちゃんは、
「先生の夢は何?」
と言った。僕は、
「僕を救ってくれた、カウンセラーの人みたいに立派なカウンセラーになりたい。」
と言った。すると、セミちゃんは、
「そう言えば先生はなんで、カウンセラーに?」
と言った。その後セミちゃんに、弟のことと、先生に助けられた話をした。すると、セミちゃんは、
「素敵な夢ね。弟さんも応援していると思うよ。もちろん私もね。」
と言った。その後しばらく会話が止まる。セミちゃんはとても寂しそうな顔をしていた。そして、
「私は、妹に何もできなかった。だから私のことをあまり好きじゃないかもしれない。」
と言った。僕は、セミちゃんを軽く抱き締めた。そして、
「そんなことはない。絶対、セミちゃんのことを愛しているよ。」
と耳元でいった。僕は、入院している弟のことを愛していた。だから、セミちゃんの妹をみていれば分かるんだ。セミちゃんの妹がセミちゃんを愛していることくらい。愛していない人のためにあんなに怒ることはできないから。セミちゃんの背中はもうあまり、肉の感触がなかった。すると、セミちゃんが、僕に弱々しい声でこう言った。
「私はね、もう余命は過ぎてるの。お医者さんにはいつ死ぬか分からないって言われているわ。」
僕は、どう答えたら分からなくて、
「そうか。」
としか言えなかった。すると、セミちゃんは泣始めた。
「私だって、本当は長生きしたい!先生や家族ともっと長くいたかった!もっといろいろなことをやって!
恋もしたかった!私だって!」
それは、駄々っ子のようだった。僕は、なんて言葉を掛ければよいか分からない。だから、僕は、そんなセミちゃんの口を封じるようにキスをした。セミちゃんが驚きの表情で見てくるが抵抗しなかった。セミちゃんの唇はとても温かかった。僕は、キスをやめて、セミちゃんにこう言った。
「僕の恋人になってくれないか。咲!」

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