いつかこの告白があなたに届きますように。

赤宮 明日花

12.本当の始まり

夢を見てから1時間ほど経つと、私の涙は止まっていた。
一時は夢が夢ではない気がしてしまって混乱してしまったが、夢は夢だと自分に言い聞かせて冷静に戻る事が出来たからだった。
今日は土曜日。
土曜日と日曜日、祝日以外は宅配の食事が届くため食事を作らなくて大丈夫なのだが今日は来ない日の為、3人分の食事を用意しなくてはならなかった。

キッチンへと向かい冷蔵庫を開くき、今日と明日の献立を考えると下ごしらえを済ませた。
リビングの壁にかけてある時計を見ると、時刻は12時45分。
そろそろ午後の小太刀の散歩の時間だと思い、支度をして家を出用とした時だった。
突然目の前が真っ白となり意識を失いかけ、その場に崩れ落ちてしまった。
足に力が入らない…。
と、思っているのもつかの間、立ち上がろうと壁に手を付こうとすると腕までも力が入らなくなってしまった。
気持ち悪い…。
怖い。
私は死んでしまうのではという恐怖で頭の中は溢れてしまった。
このままここにいたら本当に力が全部入らなくなってしまうと思った私は、力を振り絞って自分の部屋へと向かいベッドに倒れ込んだ。
吐き気に襲われるが吐けない…。
それが余計苦しかった。
誰か…。
誰か、助けて…。
涙が溢れてきた。
小さい頃から具合が悪くなると両親に叱りつけられていた。
だからいつも具合悪くても、必死に隠して生きてきた。
そのためか、どんなに具合が悪くなっても誰にも言わずに一人で絶えるのがいつもの事だった。
時間が過ぎていく度に力は入らなくなっていき、自力で体を動かす事は難しくなっていた。
それだけでも苦しいのに吐き気がプラスされ、私はいっそ死んでしまった方が楽なのではないのかと思ってしまう程の苦しみだった。
こんな苦しみ味わった事がなかった私は叱られる覚悟を決め、手元にあったスマホで父の携帯に電話をかけることにした。
父は自営業の為、それなりに都合の付く仕事をしていた。
「…っ、一葉です。その、凄く具合が悪くて自力で動けなそうもなので…、病院まで連れて行ってもらえませんか…?」
「…はぁー、一人で行きなさい。普段から家にばかりいるからそうなるんだ。」
声がとても怒っていた。
「…お願いします。…本当に、本当に自力じゃ行けそうもないので…。」
「…はぁー、…わかった。」
と、言うと父は電話をきった。
その後は意識が朦朧としていた為、覚えているのは父が家に帰ってきて、動けない私に肩を貸してくれ車に乗せられるとそのまま病院へと向った事だけだった。

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