罪に追われた少年は異世界で英雄となる
『未知』
「ここは────?」
罪無き少年は異世界サムルトに降り立った。転生した地点は確かに地面であった。しかし空気はとうの昔に無くなっている。オゾン層など吹き飛んだ。
「あ、空気が無い。」
理人がそう思うと同時に異世界サムルトにオゾン層が出来た。これは何なのだろう。祈るだけで全てが誕生する。それが鏡山理人のスキルだった。それは人呼んで〈チート〉。
但し、この世界では誰もこの言葉を知るものはいない。転生者など前代未聞の存在だ。地球ではジャンルとして〈転生もの〉と振り分けられていたが、現実と想像を一つにしてはいけない。
僕はここが何処か分からない。知る筈もない。僕は情報が欲しかった。……そうすれば自然と情報は手に入る。
僕の目の前に画面が現れた。瞬きする間に現れたのだ。暫く僕は呆然とした。だけど気にしない事にした。新たな人生なんだ。自由に生きたい。
目の前の画面に表示された文章を読んだ。
『ここは地球の異世界であるサムルトです。』
異世界であるというのは薄々勘づいてはいた。只、おかしい。どうしてこの世界には空気が無い。人がいない。文明が発達していない。地表が抉られている。全てが謎だった。
『この状態はこの世界で〈誕生の流れ星〉と呼ばれる現象です。文明は崩壊しましたが、人々はこれを事前に知っており地下一万メートルにあるシェルターに全ての人間が逃げています。』
そうなんだ。じゃあこれだったら僕の暮らしが大変だな。元に戻してくれる?僕はそう願った。但し……
『申し訳ございませんが不可能です。ですがスキルを用いれば可能です。画面にではなく、世界に、スキルに願って下さい。』
「世界を元の姿に戻してくれ。」
英雄は世界を瞬く間に元の姿に戻した。文明は異常に発達していた。この世界はこの一回の現象のために文明をここまで発達させたのだ。人間の限界は恐ろしい。僕はまず誰かと話したい。そう願った。そして僕は転移した。
次の瞬間。周囲が見た事の無い物質で覆われた地下シェルターにいた。そこには雑談をする沢山の人が。誰も彼も心配していないのだ。己の文明と英雄に。この世界は英雄がいなければ成り立たない特定依存する世界なのだ。
僕は近くにいる人に話した。
「あのー。」
「рохпхощшуофуох!!」
言語が理解できない。じゃあ────
「君はまさか!」
────願うだけでスキルは発動する。僕は異世界サムルトの言語を使う事が出来るようになっていた。
「外の世界は直しましたよ?」
思わず言ってしまった。人とは程々に関わりたいと前の人生を見返して思ったのに。僕はいつの間にか言ってしまっていた。失敗だ……。
「えっ!?」
青年は横の女性へ。その女性は隣の老人へ。伝言ゲームは続きに続き、他のシェルターにまで拡散していった。話は徐々に肥大して遂には僕は英雄視されていた。僕は何もしていない……はず?
「英雄様。外の世界は大丈夫なのですか?」
最初に話した青年はいつの間にか敬語になり、英雄様と呼ばれている。何故だ……。
「あーうん。空気もあるし、建物も無事だよ。」
嘘をつくのも後味が悪い。ここは素直でいこう。僕は人々と共に地上へと戻った。人々は歓喜する。誰もが全てが無くなることを渋々承知した上で避難していたのだ。かすり傷ひとつ付いていないことが嬉しいのだろう。
僕は街を見回る人々と共に歩いた。人々は僕に街を紹介してくれた。僕は様々な観光名所を歩いた。
そして僕は王宮へ案内された。
「あなたが英雄様なのですね。ありがとうございます。」
女王がそう告げると同時に全ての兵士が僕の方向を向いて膝をついた。……おいおい。
「これはせめてもの感謝の印です。何か望みはありますか?叶えられる範疇であれば幾らでも叶えます。」
「僕は自由に暮らしたいだけです。ですがこの世界について何も覚えていません……。僕に知識を貰えませんか?」
僕はこうとだけ言った。僕のスキルがあれば望みは幾らでも叶えられる。僕はどこかに家も作るつもりだ。スキルで。
僕は女王を始めとした様々な人から建国時からの歴史やこの世界の生物、料理、文明……様々なことを聞いた。それは全て覚えたい、という僕の願いを叶えたスキルによって覚えている。
僕は未知の領域へと軽く踏み入っていった。
罪無き少年は異世界サムルトに降り立った。転生した地点は確かに地面であった。しかし空気はとうの昔に無くなっている。オゾン層など吹き飛んだ。
「あ、空気が無い。」
理人がそう思うと同時に異世界サムルトにオゾン層が出来た。これは何なのだろう。祈るだけで全てが誕生する。それが鏡山理人のスキルだった。それは人呼んで〈チート〉。
但し、この世界では誰もこの言葉を知るものはいない。転生者など前代未聞の存在だ。地球ではジャンルとして〈転生もの〉と振り分けられていたが、現実と想像を一つにしてはいけない。
僕はここが何処か分からない。知る筈もない。僕は情報が欲しかった。……そうすれば自然と情報は手に入る。
僕の目の前に画面が現れた。瞬きする間に現れたのだ。暫く僕は呆然とした。だけど気にしない事にした。新たな人生なんだ。自由に生きたい。
目の前の画面に表示された文章を読んだ。
『ここは地球の異世界であるサムルトです。』
異世界であるというのは薄々勘づいてはいた。只、おかしい。どうしてこの世界には空気が無い。人がいない。文明が発達していない。地表が抉られている。全てが謎だった。
『この状態はこの世界で〈誕生の流れ星〉と呼ばれる現象です。文明は崩壊しましたが、人々はこれを事前に知っており地下一万メートルにあるシェルターに全ての人間が逃げています。』
そうなんだ。じゃあこれだったら僕の暮らしが大変だな。元に戻してくれる?僕はそう願った。但し……
『申し訳ございませんが不可能です。ですがスキルを用いれば可能です。画面にではなく、世界に、スキルに願って下さい。』
「世界を元の姿に戻してくれ。」
英雄は世界を瞬く間に元の姿に戻した。文明は異常に発達していた。この世界はこの一回の現象のために文明をここまで発達させたのだ。人間の限界は恐ろしい。僕はまず誰かと話したい。そう願った。そして僕は転移した。
次の瞬間。周囲が見た事の無い物質で覆われた地下シェルターにいた。そこには雑談をする沢山の人が。誰も彼も心配していないのだ。己の文明と英雄に。この世界は英雄がいなければ成り立たない特定依存する世界なのだ。
僕は近くにいる人に話した。
「あのー。」
「рохпхощшуофуох!!」
言語が理解できない。じゃあ────
「君はまさか!」
────願うだけでスキルは発動する。僕は異世界サムルトの言語を使う事が出来るようになっていた。
「外の世界は直しましたよ?」
思わず言ってしまった。人とは程々に関わりたいと前の人生を見返して思ったのに。僕はいつの間にか言ってしまっていた。失敗だ……。
「えっ!?」
青年は横の女性へ。その女性は隣の老人へ。伝言ゲームは続きに続き、他のシェルターにまで拡散していった。話は徐々に肥大して遂には僕は英雄視されていた。僕は何もしていない……はず?
「英雄様。外の世界は大丈夫なのですか?」
最初に話した青年はいつの間にか敬語になり、英雄様と呼ばれている。何故だ……。
「あーうん。空気もあるし、建物も無事だよ。」
嘘をつくのも後味が悪い。ここは素直でいこう。僕は人々と共に地上へと戻った。人々は歓喜する。誰もが全てが無くなることを渋々承知した上で避難していたのだ。かすり傷ひとつ付いていないことが嬉しいのだろう。
僕は街を見回る人々と共に歩いた。人々は僕に街を紹介してくれた。僕は様々な観光名所を歩いた。
そして僕は王宮へ案内された。
「あなたが英雄様なのですね。ありがとうございます。」
女王がそう告げると同時に全ての兵士が僕の方向を向いて膝をついた。……おいおい。
「これはせめてもの感謝の印です。何か望みはありますか?叶えられる範疇であれば幾らでも叶えます。」
「僕は自由に暮らしたいだけです。ですがこの世界について何も覚えていません……。僕に知識を貰えませんか?」
僕はこうとだけ言った。僕のスキルがあれば望みは幾らでも叶えられる。僕はどこかに家も作るつもりだ。スキルで。
僕は女王を始めとした様々な人から建国時からの歴史やこの世界の生物、料理、文明……様々なことを聞いた。それは全て覚えたい、という僕の願いを叶えたスキルによって覚えている。
僕は未知の領域へと軽く踏み入っていった。
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