罪に追われた少年は異世界で英雄となる
『転生』
死にたいと思ってからは全てが上手くいった。僕には死神が背後霊でもいるのかな。そんな事考える余裕すら出てきた。今考えると頭がおかしくなっていたんだろう。紛れもなくそうだろう。
同じ留置所にいる犯罪者が憐れむ目で見てくる。どうしてなんだ?お前らだって僕を有罪と決めつけだじゃないか。同罪だ。
僕はこれで良かったのだ。本当に誰かを殺してしまったら僕は僕で無くなる。僕が僕であるために。そう合理化した。
縄はすぐに手に入った。幸いにも同じ部屋には誰もいない。昨日、刑務所へ送られた。僕はそんな所へ行くつもりは無い。その前に死んでやる。
縄を天井に設置する為に。僕は釘とハンマーを盗んだ。これも何故かバレなかった。本当に死神でも味方にいるのだろうか。
僕は釘を天井に刺した。そんな物で自分の体重が支えられる筈がないのに。僕は自分の名案にミスがあるなど考えてもいなかった。
僕は来る日も来る日も来る日も……釘を天井へと刺し続けた。そして留置所に入って一ヶ月経った頃。コンクリートの天井に釘が刺さった。
僕は歓喜のあまり震えた。すぐさま縄を釘に引っ掛けた。そしてまたもやくすねておいた足台を地面に置き首に縄を掛けて足場を蹴る────
────しかし、体重を支えきれる筈も無かった。すぐに縄は解け、僕は地面に落下した。体重は重くないが、振動が激しかった。
すぐさま警察官が駆け付けてきた。
「どうしたんだっ!!」
警察官は部屋の中を見た。そして気付いたのであろう。縄と足場と釘とハンマーと。何故今までバレなかったのかが不思議ではたまらないが。
警察官はすぐに鍵を開けて部屋に入った。僕は死ねないと焦った。
……どうする、どうする、どうする、どうする、どうするどうする、どうする、どうする、どうする、どうする、どうする、どうする、どうする、どうする、どうする、どうする、どうする、どうする、どうする……。
そして再び名案が。僕は走って警察官に駆け寄った。反射的に拳銃を構えてしまった警察官。それは失敗だった。僕はそれを奪おうとして警察官と掴み合いになるうちに発砲。
────僕の命は17歳で尽きる事となった。
◇サムルト暦1000年◇
とある予言者は言った。
『サムルト暦1000年。世界に星が振り、一人の英雄が誕生する』
全ての民はそれを信じた。その予言者────サムルトの統一国家アディムズタムト王国の始祖。〈始まりの王〉という二つ名でも呼ばれる────は、それを告げると亡くなった。
アディムズタムトの全ての民は来るべき1000年後に備えた。降るとされる星々は彗星では無い。惑星や衛星、恒星である。その星々のどれもがそのサムルトよりも大きな星ばかり。
これは〈変革の流れ星〉として後世まで語り継がれる。そして1000年が経った。
アディムズタムトの気象台で遂に星々が観測された。人々は地下シェルターへ避難した。誰もが星自体が破壊されるとは考えてもいなかった。諦めてもいなかった。全ては英雄を信じたから。
そして────〈変革の流れ星〉は始まった。勢いだけで全ては無くなった。大気中のオゾン層は全て無くなった。建物も無くなった。生物も何もかも。ただ一人の英雄の為に。英雄の始まりとして相応しい舞台となる為に。世界は作り替えられた。
サムルトの地面……そして地中が見えてきた。地下シェルターは地下一万メートルの所に百億箇所設置されている。この日の為だけに食糧も備蓄されている。全ての準備は万端だ。
大災害は数ヶ月続いた。しかし誰一人として死ななかった。そして英雄は足を地へとついた。
「ここは────?」
英雄・鏡山理人は異世界サムルトに転生した。
同じ留置所にいる犯罪者が憐れむ目で見てくる。どうしてなんだ?お前らだって僕を有罪と決めつけだじゃないか。同罪だ。
僕はこれで良かったのだ。本当に誰かを殺してしまったら僕は僕で無くなる。僕が僕であるために。そう合理化した。
縄はすぐに手に入った。幸いにも同じ部屋には誰もいない。昨日、刑務所へ送られた。僕はそんな所へ行くつもりは無い。その前に死んでやる。
縄を天井に設置する為に。僕は釘とハンマーを盗んだ。これも何故かバレなかった。本当に死神でも味方にいるのだろうか。
僕は釘を天井に刺した。そんな物で自分の体重が支えられる筈がないのに。僕は自分の名案にミスがあるなど考えてもいなかった。
僕は来る日も来る日も来る日も……釘を天井へと刺し続けた。そして留置所に入って一ヶ月経った頃。コンクリートの天井に釘が刺さった。
僕は歓喜のあまり震えた。すぐさま縄を釘に引っ掛けた。そしてまたもやくすねておいた足台を地面に置き首に縄を掛けて足場を蹴る────
────しかし、体重を支えきれる筈も無かった。すぐに縄は解け、僕は地面に落下した。体重は重くないが、振動が激しかった。
すぐさま警察官が駆け付けてきた。
「どうしたんだっ!!」
警察官は部屋の中を見た。そして気付いたのであろう。縄と足場と釘とハンマーと。何故今までバレなかったのかが不思議ではたまらないが。
警察官はすぐに鍵を開けて部屋に入った。僕は死ねないと焦った。
……どうする、どうする、どうする、どうする、どうするどうする、どうする、どうする、どうする、どうする、どうする、どうする、どうする、どうする、どうする、どうする、どうする、どうする、どうする……。
そして再び名案が。僕は走って警察官に駆け寄った。反射的に拳銃を構えてしまった警察官。それは失敗だった。僕はそれを奪おうとして警察官と掴み合いになるうちに発砲。
────僕の命は17歳で尽きる事となった。
◇サムルト暦1000年◇
とある予言者は言った。
『サムルト暦1000年。世界に星が振り、一人の英雄が誕生する』
全ての民はそれを信じた。その予言者────サムルトの統一国家アディムズタムト王国の始祖。〈始まりの王〉という二つ名でも呼ばれる────は、それを告げると亡くなった。
アディムズタムトの全ての民は来るべき1000年後に備えた。降るとされる星々は彗星では無い。惑星や衛星、恒星である。その星々のどれもがそのサムルトよりも大きな星ばかり。
これは〈変革の流れ星〉として後世まで語り継がれる。そして1000年が経った。
アディムズタムトの気象台で遂に星々が観測された。人々は地下シェルターへ避難した。誰もが星自体が破壊されるとは考えてもいなかった。諦めてもいなかった。全ては英雄を信じたから。
そして────〈変革の流れ星〉は始まった。勢いだけで全ては無くなった。大気中のオゾン層は全て無くなった。建物も無くなった。生物も何もかも。ただ一人の英雄の為に。英雄の始まりとして相応しい舞台となる為に。世界は作り替えられた。
サムルトの地面……そして地中が見えてきた。地下シェルターは地下一万メートルの所に百億箇所設置されている。この日の為だけに食糧も備蓄されている。全ての準備は万端だ。
大災害は数ヶ月続いた。しかし誰一人として死ななかった。そして英雄は足を地へとついた。
「ここは────?」
英雄・鏡山理人は異世界サムルトに転生した。
「ファンタジー」の人気作品
-
-
3万
-
4.9万
-
-
2.1万
-
7万
-
-
1.3万
-
2.2万
-
-
1.2万
-
4.8万
-
-
1万
-
2.3万
-
-
9,711
-
1.6万
-
-
9,545
-
1.1万
-
-
9,448
-
2.4万
-
-
9,173
-
2.3万
コメント