堕天の英雄〜この空に想う〜

DSRD

第3話 希望の力

明らかに自分だけ怪我の具合が悪くない。何かおかしいと考えていたがすぐにその考えは飛んだ。妹達がいない。
「アスフィ!シャンフィ!おーい!どこにいる!」
何度呼びかけても返事がない。さっきの爆風でやられてしまったのか、とトラフィルディアは考えていた。
「どうする…どうすれば…」
全く何も無い荒地にただ立ち尽くすトラフィルディア。しかし、ここで立ち止まっては意味が無いと思い、
「とりあえず、どこか街へ行こう…確か、北の方にノースフィルが…」
トラフィルディアは絶望の中、ただひたすらに王国北部の街ノースフィルへと向かった。

「よォそこの兄さん」

急に誰かが現れた。
「誰だ!何者だ!」
トラフィルディアが臨戦態勢をとる。
「我が名はエルディス。貴様は王国出身か?」
エルディスと名乗る者が問いかける。
「そうだ。誇りあるマーズディア王都出身だが?」
「ならば、一つや二つ金目のものをよこせ!」
エルディスがトラフィルディアに攻撃を仕掛ける。トラフィルディアは華麗に攻撃をかわしていくが、エルディスがニヤついていることに気づいた。
「エルディスだったか…何を企んでいる!」
「喰らえ!【発火爆炎】!」
突如エルディスの拳が炎をあげた。
「なっ…!?」
「おらぁぁぁあっっっ!」
エルディスが殴りにかかる。
何とかトラフィルディアは攻撃を避け、エルディスの攻撃は不発に終わったかのように見えた。地面に殴った時いきなり爆発したのだった。
「ば、馬鹿な…!?」
「もう1発!」
エルディスの炎の拳がトラフィルディアに襲いかかる。
「避けきれな…」

ドンッ!

鈍い音と共にエルディスの炎の拳がトラフィルディアの横腹を捉えた。
「ぐっ…ぐふうっ…」
「ハッハッハ!爆裂しろ!」
トラフィルディアは死を覚悟したが、予想外のことが起きた。
「!?…何故だ……何故爆裂しない!?」
確かにトラフィルディアの横腹を捉えているのに、エルディスの謎の力が発動しない。
「まさか…貴様…」
「どうやら俺も、お前みたいな力があるようだな。」
エルディスの拳から炎が消えた。エルディスが炎を出そうにも出せない。
「貴様…もしや…能力をかき消す能力を…」
「そうらしいな…もうお前の能力も怖くない。」
「くっ…クソっ!もう一度喰らえ!【発火爆炎】!」
またエルディスの拳から炎が出た。
「じゃあ、俺も能力を…名付けて…【無帰封殺】!」
またもやエルディスの拳から炎が消え、ついには全く炎が出なくなった。
「こ、これでは…闘えぬ…」
「能力をかき消す能力か…なかなか面白い力を手に入れた。」
その後、トラフィルディアはエルディスに事情を聞いた。
「どうするつもりだ…この俺を…」
エルディスがトラフィルディアに問いかけると、
「お前の能力はとても使える。俺と一緒に来ないか?」
トラフィルディアはエルディスに妹達を探す旅の共になって欲しいと言った。
「そうかい…いいよ何でも…あんたについてく。」
諦め気味にエルディスはトラフィルディアに言った。
「よし、じゃあ進もうか。ノースフィルへと!」
トラフィルディアは、エルディスという新たな仲間を連れ、北の都市ノースフィルへと向かうのであった。

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