異世界でスペックをフル活用してみます!とりあえずお医者さん始めました!

ぴよ凛子

シグレ

「長って私をこの世界に連れてきた人?」
「ああ。長は僕ら癒し手の中でもずば抜けた霊力の持ち主だからな。その霊力の強さで僕ら妖精の王になったお方だ」
「ぇ、ちょっと待って、癒し手って妖精なの?」
「?あぁそうだが。大方妖精だ」
「ちょっと待て、キイテナイ。ん?大方って…」
私がそう言うと彼は少し気まずげな顔をした。
「………あー。すまない。僕は実は純妖精ではないんだ。」
と言って少し俯いたあと、間を置いてシグレは話し始める。
「僕は人間と妖精のハーフなんだ。最初に言っておけば良かったな。すまない、騙したようになって。もし、僕が嫌ならいまからでも長にいって君の癒し手を変えてもらうこともできるが…」
そこまで言い終えると彼は暗い表情になった。彼はどうやら自分の生まれを気にしているらしい。
「………シグレ」
私が名を呼ぶと彼は恐る恐る顔をあげる。
「シグレ。私にとってあなたはあなたよ。生まれとかは関係ない。」
「君……」
「それにあなたはこの世界に来たばかりの私をこんなにも受け入れて家族になろうとまで言ってくるんですもの、そんな人をなぜ嫌だと思うの笑」
私はそこまで言って彼の手を握る。
「お互いを深く理解するんでしょ?笑」
私がそう言って彼を見つめると、彼はどこか安心したように
「ああ。僕らは"対"。運命共同体だ」
と言って、私の手を握り返した。


「すまない、取り乱してしまって。話の続きをしよう」
「ええ。それで長の力を借りるって言うのは?」
「先程も言ったが、長はずば抜けた霊力の持ち主だ。霊力と言うのはこの世界でのエネルギーで、霊力が強いものほど出来ることが増える。僕ら癒し手達のヒエラルキーは霊力の量と言っても過言ではないからな。」
「その癒し手の長の方はすごい人なのね…」
私が感心したように言うとシグレは満足気に頷く。
「もちろんさ!僕ら癒し手が最も尊敬するお方だ。長は今は絶対不可侵の神域にいらっしゃるんだが、そこに行って僕らの契約を完了してもらうんだ。」
「そんなことができるの?」
「言っただろう?長はすごい方なんだ。出来るさ」
「でもそんなことしてもらえるかしら…」
いくら霊力が強い癒し手の長と言えどそんな姑息な手段に力を貸して貰うのはなんだか気が引ける。それに怒りを買ってしまわないかも心配だ。
私の心配を感じ取ったのだろう。シグレは優しく私に微笑む。
「大丈夫だ。このことを言い出したのは実は長なんだ。君に会って仮契約を結んだら私のところに来なさい。とそう仰っていたんだ」
「え、そうなの?」
「そうさ。だから安心してくれ」
その言葉を聞いて私はほっと息を吐く。
「分かったわ、いつ頃行けば良いのかしら。私手土産も持っていきたいのだけれど…」
「君は律儀だな笑。でもいらないよ。会うのは僕だけだからね」
「??私は会えないの?」
「会えないというか、意識がないな。神域は名前の通り神の領域。神の子供である僕ら妖精は入れるんだが、人間には霊気が強すぎてとても耐えられない場所なんだ。だから本当は君は行くことができないんだが、君はこの世界では異質の存在。魂を新しい体に移されたもの。君の体は神域で造られている。つまり、体だけは神域の霊気に耐えられるんだ。だが魂は無理だ。だが意識のない状態ならギリギリいける。それでも長時間は無理だがな。まぁ、そこは僕が君の意識をコントロールする。だから君は意識がないまま神域に行き、長に契約完了してもらうんだ。わかったか?」
「意識がなかったらその場所には行けないわ」
「僕が連れていくさ」
彼は任せとけと言って軽く胸を叩く。
「…分かったわ。でも残念ね、ぜひお会いしてみたかったわ」
「今回は残念だったがいずれ会うことになるさ」
「そうなのかしら。まぁ、次会うときは手土産持っていきましょ」
「…君は本当に律儀だな…」
シグレは私を見て苦笑いしていた。

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