異世界でスペックをフル活用してみます!とりあえずお医者さん始めました!

ぴよ凛子

異世界で初めての治療

トランクの隠れたスイッチを押して吸い込まれたと思った瞬間、ふわりと体が宙に浮き、ゆっくりと落下していく。
「あら???」
パチパチと瞬きして周りを見渡せば、そこは木造の小屋の一室のよう。
「うぅぅ………なんなんだ…?」
突如、横から声がしてそちらを見れば、銀髪の髪色の若い見目麗しい青年がいた。それもなぜかベッドに。
「ここで、あなた誰!?ってなるのがお約束なんでしょうけど、それを今言うのは野暮ってものよね」
「…は?なんの話だ」
「あなた人間の姿にもなれるじゃない、はやく言って欲しかったわ」
「…?なにを言って………ん!?!?」
彼は自分の姿を眺めて驚いたように目を丸くした。
なぜならば先程のドラゴン姿から人間の姿に変わっているからだ。なぜ私が分かったかというと、腹部に痛々しい傷があったからだ。
しかし、なぜ彼が驚くのか。ドラゴンには人間の姿になる能力があるのではないのか。
「なぜこの姿に…………ぐっ…」
「考えるよりも治療が先よね、はい、麻酔打つわよー」
とりあえず彼の腕に麻酔の注射針を指す。
「なっ…なにをしたんだ」
「あなたが治療中痛くならないためのお薬よ、お薬」
「そんな怪しいものが薬なのか……………………」
「あら?」
「………………………」
「思ったよりとっても効き目が早いのね」
彼は既に深い眠りに落ちてしまったようだ。
「さ、始めますか」
患部を見ると先程刺さっていた槍はいつの間にか抜けている。人間の姿になった時に抜けたのだろうか。だが、抜けたことによって血が大量に溢れている。
「よくもまぁ、これを我慢してたもんね。相当痛いはずよ」
先程まで至って普通にしていた彼はどうやら痩せ我慢をしていたようだ。眠った今は苦しそうに汗を流している。
「………安心して、私があなたを治してあげる」

 私が治療を始めようとすると先程のトランクに入っていた医療道具は私の横にいつのまにかズラリと並んでいた。驚きはしたもののありがたく使うことにした。
大量の血が流れる患部を止血し、いつものように患部を縫って傷を塞いでいく。だが血が足りない。
「輸血が必要ね」
すると目の前に元の世界で見たことのある輸血パックが現れた。
「…あらまぁ、気の利くこと」
ありがとう、と呟き急いでそれを彼に繋げる。
これで彼はもう大丈夫だろう。
後は2週間の様子見で入院となる。
「お疲れ様」
そう言って私は治療を終えた。

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