どうやら私は異世界の住人になったようです。

状況を確認しよう。私は昨日病院から家に帰った後、すぐにベッドにダイブして眠ってしまった。そして起きたら全く知らない花畑…。一体何がどうなっているのだろうか。辺りを見回してもずーっと花畑が続いており、人っ子一人いないのだ。
(｢夢？とか？？じゃなきゃこんな状況ありえないよね？｣)
そう思い直して思いっきり頬をつねる。
｢いったーー…！！｣
確かな痛みを頬に感じた。
｢夢じゃない…｣
これが夢じゃないのだとするなら一体何なのか。
(｢誰か私に状況を説明してーー…｣)
途方に暮れるのだった。

いろいろと考えているうちに私はいくつかの仮説を立てることにした。1つ目は私は働きすぎて死んでしまったため、ここは死後の世界だということ。2つ目はありえないとは思うが異世界に飛ばされたということ。3つ目は1つ目と似ているが死んで転生したということだ。
｢………………｣
自分で考えておきながらだが、ひどくどれも突拍子がない。
｢うーん、ひとまずなんでこの状況になったのかなんて私が1人考えても埒が明かないわ｣
そう思うと私が着の身着のままここに来たのか確かめることにした。服は…私服だったのだが、白衣になっていた。しかもいつも着ているようなものではなく、随分おしゃれな白衣だ。色を白を基調としたシンプルなデザインながらも、所々に飾りボタンやレースといったものが施され、透けていたりしている。袖や裾が長く、なんだか妖精や、どこかの民族の衣装のようだ。しかし、実用性は今までのものより格段に上だ。普通の服として着るぶんにも問題ないようだ。
(｢まぁ、服は問題なしか｣)
服の次は荷物だ。私がいる当たりを見回すと1つの旅行カバンのようなものがあった。
(｢これ、なんだろ…｣)
旅行カバンを恐る恐る手に取り、ふたをあけると…なんとその中には私の愛用の医療道具が全て入っていた。カバンはただのカバンではなく、どうやら収納ボックス的な役割を備えているらしく、大きいものから小さいものまでいくらでも入るようになっていた。
｢すごい…！｣
これには私も感動した。愛用の医療道具があるだけでいくらか私は強くなったような気がした。
(｢でもこれってこの世界でも使えるのかな…？｣)
とふと不安に思ったがカバンの中身を見る限り、簡易ベッドや、AEDなどあるのを見て、なんでもありなのだと悟った。
(｢これだけの道具があって使ってあげないのは可愛そうだよね…｣)
愛用の医療道具たちはいまも使われるのを待っているかのようにピカピカに輝いている。
そうなったらもう私のすることは1つしかない。
｢だったら、私はこの世界でもお医者さんをやろう！｣
私の1つの目的が決まった。