噂の殺戮者に出会ったので死刑執行しますby死神
75 正倉院にて その1
信長と殺戮者が安土城天守で、話し合っている真っ只中。
奈良県奈良市の東大寺大仏殿の北北西に位置している正倉院。そこに桜夜とその師匠であるスサノオが訪れていた。
「なぁ師匠、ここに何かあるのか?」
「知らねぇのか桜夜、この正倉院にはな数々の歴史的宝物が保管されてたんだよ。小中学校の社会科の授業で習わなかったのか?」
まぁ現在、宝物は別のところに移されてるがな、と付け足すスサノオ。
問われた桜夜は、苦笑いとともに首を傾げた。どうやら覚えていないらしい。
その姿を見て、スサノオはため息。呆れるほかないようだ。
「まぁいい。今回は俺と姉貴が預けた剣を取りに来ただけだ、さっさと済ましちまおうぜ」
「剣?」
「ほら、ぼさっと突っ立ってないで行くぞ!」
桜夜の質問はスルーされ、スサノオは正倉院の中倉へと向かう。そしてそれを追いかけていく桜夜。出会って以来、二人の師弟関係は良好のようだ。
「ん?師匠、この紙切れなんだ?」
そう言って桜夜は、扉の鍵に巻き付けられた紙を指差した。
「はぁ……めんどくせぇ……」
それに対しため息と悪態で答える師匠。顔を見ただけでも滅茶苦茶面倒そうなのが察せられる。
まぁ話が進まないので答えるしかないのだが。
「これは、勅封だ。ああ…簡単に説明するとだな、天皇の名の入った紙を鍵に巻きつけて施錠することで、勅使以外この扉を開けれなくするんだよ」
「え?破けばいいじゃん」
「………」
スサノオは懇切丁寧に説明するが、桜夜は割と…いやガチで言ってはいけないことを言う。しばらくの間、スサノオは頬を引き吊らせていたが、やがて諦めたかのようにため息。
「ないわ~お前それはないわ~幾ら何でもないわ~」
「おい、いきなりどうした師匠!?」
急に「ないわ~」を連呼する師匠に、弟子は慌てふためく。
「もう俺、辞めたい。師匠、辞めたい。神も、辞めたい…平穏な暮らしを…」
「し、師匠!?」
どんどん目のハイライトが失われていく師匠。ああ視えて結構疲れていた様だ。主に桜夜に。修業の時はそうでもなかったのだが、任務に就くようになってから、どうにも桜夜のペースに持って行かれるスサノオ。
「それに俺、別に脳筋になるような鍛え方してないんだが…どうしてこうなった!?」と苦悩する今日この頃。
桜夜は、スサノオの身体をガクガクと揺さぶり、正気に戻そうとするが全然戻らない師匠にしびれを切らし、頭でも叩いてみるかと、右腕を振りかぶる。
「!?」
すると流石にそれは不味いと思ったスサノオは、すぐさま正気に戻ったアピール。
「よ、よし!じゃあ勅封を解くぞ!」
「良かった。元に戻った…」
両者、それぞれ別の意味で安堵し、笑みを浮かべる…片方は引き吊っていたが……まぁそんなこんなで勅封を解き、二人は中倉の中へと入っていく。
いつもお読みいただき、ありがとうございます!
殺戮者側を離れ、日本神話、桜夜側へ来ましたがあと2、3話したら、次に移る予定です。
これからもよろしくお願いします!
奈良県奈良市の東大寺大仏殿の北北西に位置している正倉院。そこに桜夜とその師匠であるスサノオが訪れていた。
「なぁ師匠、ここに何かあるのか?」
「知らねぇのか桜夜、この正倉院にはな数々の歴史的宝物が保管されてたんだよ。小中学校の社会科の授業で習わなかったのか?」
まぁ現在、宝物は別のところに移されてるがな、と付け足すスサノオ。
問われた桜夜は、苦笑いとともに首を傾げた。どうやら覚えていないらしい。
その姿を見て、スサノオはため息。呆れるほかないようだ。
「まぁいい。今回は俺と姉貴が預けた剣を取りに来ただけだ、さっさと済ましちまおうぜ」
「剣?」
「ほら、ぼさっと突っ立ってないで行くぞ!」
桜夜の質問はスルーされ、スサノオは正倉院の中倉へと向かう。そしてそれを追いかけていく桜夜。出会って以来、二人の師弟関係は良好のようだ。
「ん?師匠、この紙切れなんだ?」
そう言って桜夜は、扉の鍵に巻き付けられた紙を指差した。
「はぁ……めんどくせぇ……」
それに対しため息と悪態で答える師匠。顔を見ただけでも滅茶苦茶面倒そうなのが察せられる。
まぁ話が進まないので答えるしかないのだが。
「これは、勅封だ。ああ…簡単に説明するとだな、天皇の名の入った紙を鍵に巻きつけて施錠することで、勅使以外この扉を開けれなくするんだよ」
「え?破けばいいじゃん」
「………」
スサノオは懇切丁寧に説明するが、桜夜は割と…いやガチで言ってはいけないことを言う。しばらくの間、スサノオは頬を引き吊らせていたが、やがて諦めたかのようにため息。
「ないわ~お前それはないわ~幾ら何でもないわ~」
「おい、いきなりどうした師匠!?」
急に「ないわ~」を連呼する師匠に、弟子は慌てふためく。
「もう俺、辞めたい。師匠、辞めたい。神も、辞めたい…平穏な暮らしを…」
「し、師匠!?」
どんどん目のハイライトが失われていく師匠。ああ視えて結構疲れていた様だ。主に桜夜に。修業の時はそうでもなかったのだが、任務に就くようになってから、どうにも桜夜のペースに持って行かれるスサノオ。
「それに俺、別に脳筋になるような鍛え方してないんだが…どうしてこうなった!?」と苦悩する今日この頃。
桜夜は、スサノオの身体をガクガクと揺さぶり、正気に戻そうとするが全然戻らない師匠にしびれを切らし、頭でも叩いてみるかと、右腕を振りかぶる。
「!?」
すると流石にそれは不味いと思ったスサノオは、すぐさま正気に戻ったアピール。
「よ、よし!じゃあ勅封を解くぞ!」
「良かった。元に戻った…」
両者、それぞれ別の意味で安堵し、笑みを浮かべる…片方は引き吊っていたが……まぁそんなこんなで勅封を解き、二人は中倉の中へと入っていく。
いつもお読みいただき、ありがとうございます!
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