噂の殺戮者に出会ったので死刑執行しますby死神
73 開戦阻止その1
五大将二人の自己紹介も終わり、ついに殺戮者がここに来た目的を語り始める。が、その前に…
「はぁ、やっと本題に入れるな……」
「………」
ため息をつく。そして少し落ち着いてから殺戮者が口を開く。
「既に宣戦布告しているお前等には悪いが、このまま戦争を始めさせる訳にはいかねぇ。引いてくれねぇか?」
「ははっもったいぶって何を言うのかと思って聞いてみればそんな事?無理に決まってるでしょ!」
殺戮者のいきなりの要求に、雪姫は腕を組みながら冷たく返す。
「大体、止めようとしたって、もう両勢力とも収まりがつかないわよ。あんた、そんな事もわからないの?」
「それぐらい理解している…」
「なら、なんで…」
雪姫は真っ直ぐな目で殺戮者を睨みつつ、観察する。目の動きや、表情、顔色を見て相手の真意を探るために。
また、殺戮者もその視線を返すようにただ真っ直ぐに雪姫を見ながら、言葉を発する。
「もう地球を傷つけないでくれ…」
「あ、あんた、何言って…」
殺戮者の言葉は言い繕ったにしては馬鹿げ過ぎていて嘘という可能性は低く、その目は泳ぐ気配が無く、顔色や表情もまったく変化しない。
それ故に、雪姫は彼が本心から言っていると理解し、言葉を失う。
「ハハハハハッあんまり笑わせてくれるなよ……」
「………」
信長も口では笑っているが、目は少しも笑っていない。彼も先程からずっと殺戮者の様子を見てはいるが、彼の目にも殺戮者が嘘を言っている様には映らなかった。
「なぁ殺戮者……お主、ここに乗り込んできたとき、何と言っとった?」
「えーっと『人類の新たな繁栄の時代だーてめぇらそれが何を意味するのかわかってんのかー』か?それとも『人類なんぞさっさと滅べばいいー』の方か?どっちだ?」
信長が最初に引っかかっていた部分を聞き出すが、当の殺戮者は棒読みで少々シリアスさに欠ける。欠けるというか、ぶち壊しだ。
「………ぜ、前半の方だ」
(こいつ、やりにく!)
場の空気が壊されすぎて、だんまり状態になってしまうかと思われたが、そこは流石城主というべきか、なんとか信長が答えた。恐らく武器商人が普段思っている気持ちと一緒に。
「そうか、なら信長。お前、人類はどうやって進んできたと思う?」
「…それは、あれか?『人類の歴史は戦いの歴史だ』的なやつか?」
殺戮者の問いに対し、信長はどこかで聞いたことのあるようなフレーズを出す。
「そうだ、その通りだと俺は思う。昔から常に人類は、自然と、獣と、他者と戦い、争い、競争し、自らの力を磨き、知恵を磨き、次に託してきた。そこまでなら、まだましだった」
「……」
「現代行われている戦争は、その延長線だ。人々は互いにグループを形成して、兵器を作り、戦術や戦略を練る。それらの優れたものは、勝利を収め、劣ったものは敗北を知る」
「……」
「そしてそれは何度も繰り返され、どんどん人類は発展していく。だが…」
「………だが…なんだ?」
自身の意見を述べていた殺戮者は、そこでふと言葉を切り、この場にいる全員を順に見る。
そして続きが気になり、しびれを切らした信長は殺戮者に聞き返す。
「だが、人類が発展すればするほど、失われていくものがある」
「それが、地球というわけか」
信長は殺戮者を見ながら、彼の言わんとしていることを先に言う。それを聞いた殺戮者は静かに頷き返した。
いつもお読みいただき、ありがとうございます!
フォロー数、いいね数が増えてきて、かなり嬉しいです。ありがとうございます!
これからも頑張りますので、よろしくお願いします!
「はぁ、やっと本題に入れるな……」
「………」
ため息をつく。そして少し落ち着いてから殺戮者が口を開く。
「既に宣戦布告しているお前等には悪いが、このまま戦争を始めさせる訳にはいかねぇ。引いてくれねぇか?」
「ははっもったいぶって何を言うのかと思って聞いてみればそんな事?無理に決まってるでしょ!」
殺戮者のいきなりの要求に、雪姫は腕を組みながら冷たく返す。
「大体、止めようとしたって、もう両勢力とも収まりがつかないわよ。あんた、そんな事もわからないの?」
「それぐらい理解している…」
「なら、なんで…」
雪姫は真っ直ぐな目で殺戮者を睨みつつ、観察する。目の動きや、表情、顔色を見て相手の真意を探るために。
また、殺戮者もその視線を返すようにただ真っ直ぐに雪姫を見ながら、言葉を発する。
「もう地球を傷つけないでくれ…」
「あ、あんた、何言って…」
殺戮者の言葉は言い繕ったにしては馬鹿げ過ぎていて嘘という可能性は低く、その目は泳ぐ気配が無く、顔色や表情もまったく変化しない。
それ故に、雪姫は彼が本心から言っていると理解し、言葉を失う。
「ハハハハハッあんまり笑わせてくれるなよ……」
「………」
信長も口では笑っているが、目は少しも笑っていない。彼も先程からずっと殺戮者の様子を見てはいるが、彼の目にも殺戮者が嘘を言っている様には映らなかった。
「なぁ殺戮者……お主、ここに乗り込んできたとき、何と言っとった?」
「えーっと『人類の新たな繁栄の時代だーてめぇらそれが何を意味するのかわかってんのかー』か?それとも『人類なんぞさっさと滅べばいいー』の方か?どっちだ?」
信長が最初に引っかかっていた部分を聞き出すが、当の殺戮者は棒読みで少々シリアスさに欠ける。欠けるというか、ぶち壊しだ。
「………ぜ、前半の方だ」
(こいつ、やりにく!)
場の空気が壊されすぎて、だんまり状態になってしまうかと思われたが、そこは流石城主というべきか、なんとか信長が答えた。恐らく武器商人が普段思っている気持ちと一緒に。
「そうか、なら信長。お前、人類はどうやって進んできたと思う?」
「…それは、あれか?『人類の歴史は戦いの歴史だ』的なやつか?」
殺戮者の問いに対し、信長はどこかで聞いたことのあるようなフレーズを出す。
「そうだ、その通りだと俺は思う。昔から常に人類は、自然と、獣と、他者と戦い、争い、競争し、自らの力を磨き、知恵を磨き、次に託してきた。そこまでなら、まだましだった」
「……」
「現代行われている戦争は、その延長線だ。人々は互いにグループを形成して、兵器を作り、戦術や戦略を練る。それらの優れたものは、勝利を収め、劣ったものは敗北を知る」
「……」
「そしてそれは何度も繰り返され、どんどん人類は発展していく。だが…」
「………だが…なんだ?」
自身の意見を述べていた殺戮者は、そこでふと言葉を切り、この場にいる全員を順に見る。
そして続きが気になり、しびれを切らした信長は殺戮者に聞き返す。
「だが、人類が発展すればするほど、失われていくものがある」
「それが、地球というわけか」
信長は殺戮者を見ながら、彼の言わんとしていることを先に言う。それを聞いた殺戮者は静かに頷き返した。
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コメント
鬼崎
なんか、ここだけ「いいね」がバグってるような……