噂の殺戮者に出会ったので死刑執行しますby死神
61 壱月の修行
《最目》のイタズラの件の後、落ち着きを取り戻した壱月と巴音は、《最善》達がいる部屋に戻っていた。入ったとき一瞬、皆一様にビクついていたようだが、そこはもうスルーする。
すると今度は、自然と《最善》に視線が集まる。この時、皆の気持ちは統一されていた。
(((((この空気を何とかしてくれ!!)))))
その雰囲気を感じ取ったのか、《最善》は軽く咳払いし、本題へ入ることを促す。
「で、ではこれよりクレト君に試験を始めて貰う。
流石にここパルミラで行うわけにはいかんので、ここから北に数キロのところにある小さなオアシスで行う。
各自、一時間後に集合!」
どうやら、試験はここではなく、もう使われていないオアシスでやるようなので、一旦クレトの緊張が緩んだ。
壱月も同じように肩の力を抜こうとするが、そのとたん《最剣》に肩をたたかれ、驚きのあまり少し飛び上がる。幸い声までは出ていないので、《最剣》以外にバレることはなかった。
「い、いきなり驚かせんなよ!おかげで心拍数がヤバいことになってるぞ!!」
「そりゃ失敬。今から、修行の内容について説明するからよく聞け」
《最剣》が修行内容を話すと言ったとたん、今までのふざけた雰囲気をなくし、真剣な表情になる壱月。その顔は剣士のそれだ。壱月もいつまでも遊んでる訳ではないということだろう。
「いいか、お前は今回それを使うな」
「なっ!?」
そう言って《最剣》が指さしたものは、【死雨】だった。壱月は少し取り乱すが、世界調停機関でこの剣の特性を知っているのは、今のところ千里眼を持つ《最目》だけで、《最剣》は知らないはずと、自分を納得させ落ち着かせる。
「お前は、その剣に頼りすぎている節が多々あるからな。
拙者は、その剣が死神達にとってどんな意味があるかは知らん。
だが、これだけは確実に言える。お前はそれを使いこなせていない!」
「……」
《最剣》の指摘に対し、壱月は沈黙で返す。
「沈黙は是なり、だ。馬鹿者!」
「ウゲッ!」
すると《最剣》の右手から強烈なデコピンが放たれ、壱月の額に襲いかかり、吹っ飛ばした!
「いっっってぇぇぇぇ!いてぇぞ、この野郎!」
額をさすりながら、おずおずと立ち上がる壱月。なかなかに痛かったらしく、目は少し潤んでいる。
「はぁ…そんなんでお前、殺戮者に勝とうと思ってたのか?」
「う、うるせぇ」
溜め息を吐く《最剣》。それを見て話は終わったと思い、壱月は部屋から出て行こうとするが…
「待て、まだ終わってねぇぞ」
肩をガシッと力強く掴まれ、引き戻される。
「なんだよ~まだあんのかよ~グスッ」
「おいおい…」
何故かそのとき、壱月は半泣き状態だった。やけっぱちって感じだ…
どうやら壱月自身、【死雨】に頼りすぎていることを自覚していたらしく、そこを《最剣》に言い当てられたのが悔しいようだ。
「俺だってわかってたんだよ~グスッでも何も思いつかなくて~グスッ」
「わかったわかった。
そんなお前にもう一つの修行だ。
お前、確か『牙○』とかいう、得意技あっただろ?」
「ああ、ある…」
「その技、今回は一回しか使うな」
「はぁぁぁぁ!?」
《最剣》の言った修行内容に素っ頓狂な声を上げる壱月。
だが、壱月にとって『○突』とは、得意技にして必殺技だ。少年時代、あの漫画と出会い、斎藤一と出会い、あの技と出会った。それから一生懸命練習し、度重なる実践を経て、自分なりの技にまで昇華させた。それ故に、この技に制限をかけられたときのショックは大きい。
「今のお前は、あの技を初っ端に使うあまり、終盤での決め手に欠けている!」
「うっ!!」
またもや図星。まあ彼は剣聖なので仕方ないのだが…
「だけど、それは新撰組の戦い方で…」
「はぁ…拙者にもお前が憧れている人物はわかる。拙者も昔読んだからなぁ」
「!?」
ここで《最剣》の衝撃の事実!これには壱月も驚きを隠せない!
「だが、あの戦い方は数多の修羅場を潜り抜けてきた者にしかできん。
到底、今のお前が真似ていいものではない。ましてやお前の『○突』では、初見殺しでさえも運がいい方だろう。
今お前がする事は、絶対の必殺技を作り上げることより、手数を増やしてあらゆる敵への対抗策をたてることだ!」
「ッ!………はい!」
《最剣》に論破された壱月は自身の過ちを認め、その悔しさから握り拳を作りグッと力を入れる。そして、改めて何のために修行をするかをじっくり考えて、壱月と《最剣》はオアシスへと向かった。
いつもお読みいただき誠にありがとうございます。
夏休みに入り、どんどん投稿していきたいところなのですが、熱中症にかかってしまい、あまり書けないかもしれません。読者の皆様もお体にはお気をつけください。
これからもよろしくお願い致します。
すると今度は、自然と《最善》に視線が集まる。この時、皆の気持ちは統一されていた。
(((((この空気を何とかしてくれ!!)))))
その雰囲気を感じ取ったのか、《最善》は軽く咳払いし、本題へ入ることを促す。
「で、ではこれよりクレト君に試験を始めて貰う。
流石にここパルミラで行うわけにはいかんので、ここから北に数キロのところにある小さなオアシスで行う。
各自、一時間後に集合!」
どうやら、試験はここではなく、もう使われていないオアシスでやるようなので、一旦クレトの緊張が緩んだ。
壱月も同じように肩の力を抜こうとするが、そのとたん《最剣》に肩をたたかれ、驚きのあまり少し飛び上がる。幸い声までは出ていないので、《最剣》以外にバレることはなかった。
「い、いきなり驚かせんなよ!おかげで心拍数がヤバいことになってるぞ!!」
「そりゃ失敬。今から、修行の内容について説明するからよく聞け」
《最剣》が修行内容を話すと言ったとたん、今までのふざけた雰囲気をなくし、真剣な表情になる壱月。その顔は剣士のそれだ。壱月もいつまでも遊んでる訳ではないということだろう。
「いいか、お前は今回それを使うな」
「なっ!?」
そう言って《最剣》が指さしたものは、【死雨】だった。壱月は少し取り乱すが、世界調停機関でこの剣の特性を知っているのは、今のところ千里眼を持つ《最目》だけで、《最剣》は知らないはずと、自分を納得させ落ち着かせる。
「お前は、その剣に頼りすぎている節が多々あるからな。
拙者は、その剣が死神達にとってどんな意味があるかは知らん。
だが、これだけは確実に言える。お前はそれを使いこなせていない!」
「……」
《最剣》の指摘に対し、壱月は沈黙で返す。
「沈黙は是なり、だ。馬鹿者!」
「ウゲッ!」
すると《最剣》の右手から強烈なデコピンが放たれ、壱月の額に襲いかかり、吹っ飛ばした!
「いっっってぇぇぇぇ!いてぇぞ、この野郎!」
額をさすりながら、おずおずと立ち上がる壱月。なかなかに痛かったらしく、目は少し潤んでいる。
「はぁ…そんなんでお前、殺戮者に勝とうと思ってたのか?」
「う、うるせぇ」
溜め息を吐く《最剣》。それを見て話は終わったと思い、壱月は部屋から出て行こうとするが…
「待て、まだ終わってねぇぞ」
肩をガシッと力強く掴まれ、引き戻される。
「なんだよ~まだあんのかよ~グスッ」
「おいおい…」
何故かそのとき、壱月は半泣き状態だった。やけっぱちって感じだ…
どうやら壱月自身、【死雨】に頼りすぎていることを自覚していたらしく、そこを《最剣》に言い当てられたのが悔しいようだ。
「俺だってわかってたんだよ~グスッでも何も思いつかなくて~グスッ」
「わかったわかった。
そんなお前にもう一つの修行だ。
お前、確か『牙○』とかいう、得意技あっただろ?」
「ああ、ある…」
「その技、今回は一回しか使うな」
「はぁぁぁぁ!?」
《最剣》の言った修行内容に素っ頓狂な声を上げる壱月。
だが、壱月にとって『○突』とは、得意技にして必殺技だ。少年時代、あの漫画と出会い、斎藤一と出会い、あの技と出会った。それから一生懸命練習し、度重なる実践を経て、自分なりの技にまで昇華させた。それ故に、この技に制限をかけられたときのショックは大きい。
「今のお前は、あの技を初っ端に使うあまり、終盤での決め手に欠けている!」
「うっ!!」
またもや図星。まあ彼は剣聖なので仕方ないのだが…
「だけど、それは新撰組の戦い方で…」
「はぁ…拙者にもお前が憧れている人物はわかる。拙者も昔読んだからなぁ」
「!?」
ここで《最剣》の衝撃の事実!これには壱月も驚きを隠せない!
「だが、あの戦い方は数多の修羅場を潜り抜けてきた者にしかできん。
到底、今のお前が真似ていいものではない。ましてやお前の『○突』では、初見殺しでさえも運がいい方だろう。
今お前がする事は、絶対の必殺技を作り上げることより、手数を増やしてあらゆる敵への対抗策をたてることだ!」
「ッ!………はい!」
《最剣》に論破された壱月は自身の過ちを認め、その悔しさから握り拳を作りグッと力を入れる。そして、改めて何のために修行をするかをじっくり考えて、壱月と《最剣》はオアシスへと向かった。
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コメント
鬼崎
15、16、17話をかなり書き換えました。時間があればお読みください。