タイム is ライフ 〜命よりも大切なもの〜

Funny face

第1話:生と死

…キーンコーンカーンコーン……


「…と言う訳で今日はここまでだ。みんな宿題を忘れるな……23ページの……わかったか!?…」




やっと学校が終わった。
ようやく帰れる。


僕は時輪怜司(トキワ レイジ)。
どこにでもいる普通の高校生。
・・・でもないか。

入学してから半年が経つが、友達という友達は1人もいない。ましてや彼女なんて・・・
内向的な僕に両親は自分勝手に理想を押し付け、家さえも居心地が悪い。
一体自分は何の為に生きているのだろうと思う日々である。
部活も小学校から続けていた野球部に入部するも、人間関係が原因で1ヶ月あまりで退部した。

やはりこんな自分が普通の高校生を謳うのは少し違っている。

今日も家に帰り、唯一の居場所であるネットでもするか。

そんな帰り道の河原で、3年の蛭野正吾(ヒルノ ショウゴ)達、先輩グループに出くわす。

「おい、怜司じゃねーかよ!?へっへっへ…偶然だな…偶然と言えば、俺達また偶然に金がねーんだよな~。」


「…お金は払いますから暴力はやめてください…本当に……お願いします…」


こいつらは僕が入部した野球部の元先輩である。
1度、金銭を貸した事から狙われるようになり、イジメが始まった。
もちろんこいつらも野球部をもう退部している。

「おい怜司、てめーなんだ?この中身は?」

この日は運が良いのか悪いのか、所持金は500円程だった。


…案の定…ボコボコにされた……左目が開かない…鼻が折れるほど痛い…顔中痣だらけだ……帰ったら親に何て言って怪我をごまかそう……いっその事このまま死ぬか!?………もう限界かもしれない……耐えられない……

半年ほど続いているイジメに僕は限界を感じていた。

何の楽しみも希望もなく、ただ毎日耐えるだけの日々・・僕は一体何の為に・・・

今まで何度も自殺を考えたが実行に移す勇気はなかった。
だが、今日の僕は違う。

部活帰り、まだ下校中の生徒達で賑わう人通りの多い小さな交差点。
そこで乗用車が通り過ぎる瞬間・・・僕は飛び出した。
迷いは無かった。






「おい、おいお前。目を覚ませ!」

う・・・ん・・?
その瞬間だった。
「うわーーーっっっ!!!!」

あまりの出来事に僕は腰を抜かした。
「あ・・あんたは・・・だ、誰・・・・」

僕の目の前にいたのは、人間というに相応しくない風貌をした生き物だった。

「大声を出しても何にもならないぞ!失礼な奴め。」

その生き物は全身をまるでブドウの如く紫色に染め、瞳に精魂は無く、ただ白目を剥き、口は大きく裂けたまるで怪物だった。
そんな怪物が言葉を話すのだから驚くのも無理はない。

「お前がここにいるという事は、どういう事かわかるか?」

その怪物が僕に問う。

そしてこの後、僕はこの怪物に信じられない選択を迫られる事になる。


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