幻想支配郷
第7話〜過去を越えた先に〜
軻遇突智を掴むと俺と軻遇突智は黄色の粒子を出しながら光り始めた。光が強くなると俺は思わず目を瞑った。
目を開くと昔住んでいた町の公園に居た。
ここはなんでここに?この公園はなくなったはずだが。まさか昔なのか?そして嫌な予感がして近くのコンビニに向かった。コンビニには全身が映るほどの大きな鏡があった。それで自分の姿を見たときに俺は言葉を失った。
「嘘…だろ。なんで俺、若返っているんだ。」
そう、俺は子供に若返っていた。そしてそれは俺に忌まわしい過去を作った時の姿だった。何をするか考えるため、俺は公園に戻った。公園の入り口に着いたときに後ろから声をかけられた。
「おまたせ、待たせちゃったかな?稜駿。」
声の主はすぐにわかった。この声は昔俺が失ったこの世で1番大切な存在だった。春風歩美(はるかぜあゆみ)の声だった。すぐに振り返ろうとしたが体が動かなかった。振り向きたくない。その顔を見たらあの日のことを思い出してしまいそうだったから。だが、怪しまれてはいけないので体に喝を入れ、後ろを振り返った。そこには紫が少々混ざった黒髪でお嬢様のような服を着た少女がいた。俺はこの日のことを思い出した。俺が今いる日はあいつを・・・失った日、当日。なんでこんな日に俺はいるんだ?取り敢えず話を繋げるため、俺は口を開いた。
「いや、今来たばかりだ。あと、あいつら2人はまだなのか?」
「う〜ん。刹那(せつな)と玲那(れな)はまだ見たい。」
刹那と玲那というのは当時よく遊んでいた双子のことだ。ちなみに刹那は男子で玲那は女子だ。
歩美と話していると刹那と玲那がやってきた。そして俺たちはある場所に向かうため、駅に向かった。そうえば駅に着いたとき何かあった気がする。まぁ、大丈夫か。
5分程で駅に着いた。この駅も俺がいた時には無くなっているがな。俺たちがホームへ行こうとしたら後ろから声を掛けられた。
「お、これは意気がっている稜駿君じゃないか。なんでこんな所にいるの?ここはお前のいていいところじゃないよw」
はぁ〜思い出した。そうやぁここであいつらに会うんだった。あまり話したくないんだよな〜。俺が歩美を失う1番の原因のあいつらとわ。
だが、無視するとそっちの方がめんどそうだから話をつけることにした。
「なんのようだよクズ人くん、ゴミ夫くん?w」
後ろを向くとあの有名な青い猫型ロボットのアニメに出てくるジャ○ンとス○夫みたいな奴らがいた。ジャ○ンみたいなやつの名前は亜由人(あゆと)、ス○夫みたいなのは伸夫(のぶお)、2人とも中学生である日の出来事をきっかけで小5の俺に絡んでくる迷惑極まりない輩なのだ。ちなみに2人とも元ヤンの子供で口は悪くよく喧嘩を売ったり人から物を取り上げると噂になっている。そんなもんだからヤンキーから普通の社会人になった2人の両親はいつも大変そうだ。ちなみにこの2人は今日みたいによく俺に喧嘩を売ってくる。まぁ、その度に俺が軽くお仕置きをして2人の親に差し出しに行っている。
俺があいつらのことを思い返していたら亜由人が口を開いた。
「誰がクズ人だ。おめえ痛い目にあいてぇのか?」
と亜由人と伸夫は手をパキパキ鳴らしていた。
てか、痛い目に会いたい?何言ってんだよwいつも痛い目にあっているのはお前らじゃん。お前らが俺に勝った瞬間、今まで!1度も!見たこと!ないんだか!
そんなことを考えていると笑いそうになったので笑うのをこらえながら俺は口を開いた。
「やるんだったら早く来いよ。こっちは急いでるんだよ。」
蔑んだ目で見ながらそう言うと、2人は顔を真っ赤にして殴りかかってきた。俺はそれを避け、男なら誰でも特大のダメージを受けるとこを蹴り、その上、溝内に右ストレートをお見舞いしてやった。2人ともその場で踠き俺が攻撃を与えたところを抑えたりさすったりして、
「覚えてろよ。」
とベタなことを言い去って行った。後ろを向くと3人は苦笑いをしていた。それに俺は苦笑いで返すことしかできなかった。そうして俺たちは駅のホームの中へと入って行った。
〜視点は霊夢へ〜
彼、稜駿が軻遇突智を掴んで30分が経とうとしていた。私と妖夢は縁側に座ってお茶を飲んでいた。紫と幽々子はずっと立って稜駿を見ていた。さっきから2人はおかしな行動をしていた。稜駿が軻遇突智を触れようとしたら戦闘態勢に入ったり、その理由を私たちには聞こえないように小さな声で話したり、稜駿が軻遇突智を掴んでからも紫はスキマをいつでも展開できるように妖力を高め、幽々子は触れるだけで魂を吸われ死ぬと言われる死の蝶を手のひらに3匹ほど出していた。そして私はどうしても何故そうするのか分からなかった。稜駿は確かに少し変わっているけどそんなに危険な存在とは思えない。だから私は紫たちに理由を聞くことにした。
「紫、少しいいかしら?なんであなたたちは戦闘体勢をとかないの?」
紫は少し悩んでいたがすぐに口を開いた。
「この刀は神・イザナミとイザナギの子供、カグツチの子孫にしか使えないの。そして彼はその子孫なの。そしてこの刀はその子孫が触れると試練としてその者が最も恐れている物を見せてくるのそれを克服させるの。彼の場合は過去ね。そして、その試練に耐えれなかった者は力に飲み込まれ暴走するの、それはこの幻想郷を1日で滅ぼせるくらいの力を使って、だから暴走して時にすた時にすぐ、止めれるようにしていたのよ。」
なるほど、つまり稜駿はカグツチの子孫で今試練を受けているのね。
「さっき、稜駿が最も恐れているのは過去って言ったわよね。彼の過去はそんなにトラウマを植え付けるような物なの?」
そうすると紫は
「いいわ、教えてあげるわ。彼、春雨稜駿の悲しき過去を」
そうして、紫は彼の過去を話し始めた。
〜視点は稜駿へ〜
電車に乗った俺たちは軽く雑談をしていた。雑談と言ってもあっちに着いたら何をするかと言ういかにも子供らしい会話だ。
目的地の駅に着くと俺たちは真っ先にイ○ンに向かった。そこでお菓子やらなんやらを買って目的地には向かった。目的地に行く途坂道を登っていると、ずっとこうしていたいという気持ちになる。そんなことを考えているのと目的地に着いた。それは花畑と多くの木々が広がる中にある大きな大樹にできたツリーハウスだった。そうえば歩美に始めて連れてこられたのもここだったな。
1年ほど前、俺たちが集合した公園のある街にある草原で昼寝をしていると
「ねぇ、あなた1人なの?」
目を開けると目の前には歩美がいた。めんどそうだったので無視をすると
「無視はないんじゃなのかなぁ、まぁ1人なのは分かったし。」
と言い歩美は俺の手を取り、急に引っ張ってどこかへ連れて行こうとした。
「な、なんだよ。てか、お前、誰だよ。」
「いいから。いいから。」
「よくねーよ。」
そんな感じで半ば強引に連れてこられたのがここだった。
そのあと、刹那と玲那も混じり、4人で協力して今はツリーハウスを作った。俺たちは大樹の近くに行き、手動のエレベーターに乗った。俺と歩美が先に乗り近くにある縄を引くと段々と上に上がって行った。その間、歩美と話していた。
「歩美、お前太ったろ?」
「しつれいね。太ってなんていないわよ。」
歩美は頰を膨らませて言った。そんなことを話しているとツリーハウスに着いた。そして俺たちは菓子を食べたり、遊んだりした。こんなことをしたのは昔のこの日ぶりだ。そしていつのまにか空は赤くなりかけていたので、俺たちは帰ることにした。
電車に揺られながら街に戻ると空は暗くなっており街灯が街を照らしていた。刹那と玲那は家の用事で迎えで帰った。街を歩いていると昼間に聞いた声がした。
「よう、待ってたぜ。」
目の前には亜由人と伸夫がいた。2人の手には刃渡り10センチほどのナイフ。
「どうしたのかな?ナイフなんて持って、また昼間みたいな目にあいたいの?」
すると2人はニヤリと笑い口を開いた。
「どうしたのかな?だって?これでお前にいたぶるんだよ。安心しろよ、殺したりはしないからよ。」
そう言いながら近づいてくるやつらの前に歩美が立ちふさがった。
「なんだよ嬢ちゃん。邪魔だよどけ。」
「どかない。これ以上、稜駿に嫌な思いはさせない。」
歩美はその場を開けようとしなかった。そして、俺はこの日のことを思い出した。その瞬間俺の体は動いていた。
「早くそこをどけ歩美!」
俺が手を差し伸べた瞬間。
「邪魔だって言ってんだろうが。」
しびれを切らした亜由人が歩美を車道に突き飛ばした。その瞬間、道路に大型トラックが来た。
やめてくれ、もうやめてくれ、2度もあいつを失いたくない。そんなことを願いながら歩美の元に向かった。
俺の願いは届かずトラックは猛スピードで歩美にぶつかった。歩美は勢いよく道路に打ち付けられた。俺は歩美を抱いた。歩美は頭から血を流し、温かった体はだんだん冷たくなり、死んでいっているのがわかった。そんな状態にもかかわらず歩美は口を開いた。
「稜・・・駿。よかっ・・・た。無事・・・で。」
「よかった訳ないだろ、俺が無事でもお前が無事じゃなかったら。何もいい訳が。」
俺の頰を大量の涙が流れた。そして俺の気持ちを表すかのように雨がふりはじめた。そんな俺の頰を歩美は優しく、そして力なく触れた。
「泣か・・・ないで。大・・・丈夫。また・・・どこかで・・・会え・・・るよ。ねぇ・・・稜駿?あなたは・・・私に・・・会えて・・・よかった?そう・・・なら・・・嬉しいな。」
歩美はにっこりと微笑んだ。そして目を閉じ、俺の頰を触れていた手は力なく落ちていった。その瞬間、無力感と吐き気が同時に膨れ上がって来た。そして俺は歩美をぎゅっと抱きしめた。歩美の存在を確認するかのように優しくぎゅっと抱きしめた。その瞬間周りが真っ暗になった。そして聞いたこともない声がした。
「これはお前の弱さが招いた結果だ。お前に守る力がないから彼女は死んだ。」
それを聞いた瞬間俺は口を開いた。
「言いたいことはそれだけか?俺に守る力がないから歩美は死んだ?
そんなことをわざわざ言われなくたって分かりきってんだよ!
だから、自分は強いと思いたかった。でも、それでも、無力で無意味な自分がどこかにいて呼ぶんだよ。こっちにおいでと、昔のようになりなよと。だが、もう決めた。俺はあいつを歩美のことを忘れるよ。」
「ほう、つまり彼女のことを忘れるのか。」
「いや、忘れない。ただ単にあいつへの愛を忘れるだけだ。あんな奴のことを忘れられる訳ないからな。」
なぁ、歩美。俺たちのほぼ恋愛関係に近かった関係を友達にすることはできるのかな?そしてこの手でも抱えきれないお前にもらった愛と俺のお前への愛はどこに捨てよう?このどうしようもない愛は誰に譲ろう。ありがとうな。
その瞬間、暗闇に包まれていた空間はガラスが割れるように砕け散った。そして強い光に包まれた。そして目を瞑った。
第7話 END
目を開くと昔住んでいた町の公園に居た。
ここはなんでここに?この公園はなくなったはずだが。まさか昔なのか?そして嫌な予感がして近くのコンビニに向かった。コンビニには全身が映るほどの大きな鏡があった。それで自分の姿を見たときに俺は言葉を失った。
「嘘…だろ。なんで俺、若返っているんだ。」
そう、俺は子供に若返っていた。そしてそれは俺に忌まわしい過去を作った時の姿だった。何をするか考えるため、俺は公園に戻った。公園の入り口に着いたときに後ろから声をかけられた。
「おまたせ、待たせちゃったかな?稜駿。」
声の主はすぐにわかった。この声は昔俺が失ったこの世で1番大切な存在だった。春風歩美(はるかぜあゆみ)の声だった。すぐに振り返ろうとしたが体が動かなかった。振り向きたくない。その顔を見たらあの日のことを思い出してしまいそうだったから。だが、怪しまれてはいけないので体に喝を入れ、後ろを振り返った。そこには紫が少々混ざった黒髪でお嬢様のような服を着た少女がいた。俺はこの日のことを思い出した。俺が今いる日はあいつを・・・失った日、当日。なんでこんな日に俺はいるんだ?取り敢えず話を繋げるため、俺は口を開いた。
「いや、今来たばかりだ。あと、あいつら2人はまだなのか?」
「う〜ん。刹那(せつな)と玲那(れな)はまだ見たい。」
刹那と玲那というのは当時よく遊んでいた双子のことだ。ちなみに刹那は男子で玲那は女子だ。
歩美と話していると刹那と玲那がやってきた。そして俺たちはある場所に向かうため、駅に向かった。そうえば駅に着いたとき何かあった気がする。まぁ、大丈夫か。
5分程で駅に着いた。この駅も俺がいた時には無くなっているがな。俺たちがホームへ行こうとしたら後ろから声を掛けられた。
「お、これは意気がっている稜駿君じゃないか。なんでこんな所にいるの?ここはお前のいていいところじゃないよw」
はぁ〜思い出した。そうやぁここであいつらに会うんだった。あまり話したくないんだよな〜。俺が歩美を失う1番の原因のあいつらとわ。
だが、無視するとそっちの方がめんどそうだから話をつけることにした。
「なんのようだよクズ人くん、ゴミ夫くん?w」
後ろを向くとあの有名な青い猫型ロボットのアニメに出てくるジャ○ンとス○夫みたいな奴らがいた。ジャ○ンみたいなやつの名前は亜由人(あゆと)、ス○夫みたいなのは伸夫(のぶお)、2人とも中学生である日の出来事をきっかけで小5の俺に絡んでくる迷惑極まりない輩なのだ。ちなみに2人とも元ヤンの子供で口は悪くよく喧嘩を売ったり人から物を取り上げると噂になっている。そんなもんだからヤンキーから普通の社会人になった2人の両親はいつも大変そうだ。ちなみにこの2人は今日みたいによく俺に喧嘩を売ってくる。まぁ、その度に俺が軽くお仕置きをして2人の親に差し出しに行っている。
俺があいつらのことを思い返していたら亜由人が口を開いた。
「誰がクズ人だ。おめえ痛い目にあいてぇのか?」
と亜由人と伸夫は手をパキパキ鳴らしていた。
てか、痛い目に会いたい?何言ってんだよwいつも痛い目にあっているのはお前らじゃん。お前らが俺に勝った瞬間、今まで!1度も!見たこと!ないんだか!
そんなことを考えていると笑いそうになったので笑うのをこらえながら俺は口を開いた。
「やるんだったら早く来いよ。こっちは急いでるんだよ。」
蔑んだ目で見ながらそう言うと、2人は顔を真っ赤にして殴りかかってきた。俺はそれを避け、男なら誰でも特大のダメージを受けるとこを蹴り、その上、溝内に右ストレートをお見舞いしてやった。2人ともその場で踠き俺が攻撃を与えたところを抑えたりさすったりして、
「覚えてろよ。」
とベタなことを言い去って行った。後ろを向くと3人は苦笑いをしていた。それに俺は苦笑いで返すことしかできなかった。そうして俺たちは駅のホームの中へと入って行った。
〜視点は霊夢へ〜
彼、稜駿が軻遇突智を掴んで30分が経とうとしていた。私と妖夢は縁側に座ってお茶を飲んでいた。紫と幽々子はずっと立って稜駿を見ていた。さっきから2人はおかしな行動をしていた。稜駿が軻遇突智を触れようとしたら戦闘態勢に入ったり、その理由を私たちには聞こえないように小さな声で話したり、稜駿が軻遇突智を掴んでからも紫はスキマをいつでも展開できるように妖力を高め、幽々子は触れるだけで魂を吸われ死ぬと言われる死の蝶を手のひらに3匹ほど出していた。そして私はどうしても何故そうするのか分からなかった。稜駿は確かに少し変わっているけどそんなに危険な存在とは思えない。だから私は紫たちに理由を聞くことにした。
「紫、少しいいかしら?なんであなたたちは戦闘体勢をとかないの?」
紫は少し悩んでいたがすぐに口を開いた。
「この刀は神・イザナミとイザナギの子供、カグツチの子孫にしか使えないの。そして彼はその子孫なの。そしてこの刀はその子孫が触れると試練としてその者が最も恐れている物を見せてくるのそれを克服させるの。彼の場合は過去ね。そして、その試練に耐えれなかった者は力に飲み込まれ暴走するの、それはこの幻想郷を1日で滅ぼせるくらいの力を使って、だから暴走して時にすた時にすぐ、止めれるようにしていたのよ。」
なるほど、つまり稜駿はカグツチの子孫で今試練を受けているのね。
「さっき、稜駿が最も恐れているのは過去って言ったわよね。彼の過去はそんなにトラウマを植え付けるような物なの?」
そうすると紫は
「いいわ、教えてあげるわ。彼、春雨稜駿の悲しき過去を」
そうして、紫は彼の過去を話し始めた。
〜視点は稜駿へ〜
電車に乗った俺たちは軽く雑談をしていた。雑談と言ってもあっちに着いたら何をするかと言ういかにも子供らしい会話だ。
目的地の駅に着くと俺たちは真っ先にイ○ンに向かった。そこでお菓子やらなんやらを買って目的地には向かった。目的地に行く途坂道を登っていると、ずっとこうしていたいという気持ちになる。そんなことを考えているのと目的地に着いた。それは花畑と多くの木々が広がる中にある大きな大樹にできたツリーハウスだった。そうえば歩美に始めて連れてこられたのもここだったな。
1年ほど前、俺たちが集合した公園のある街にある草原で昼寝をしていると
「ねぇ、あなた1人なの?」
目を開けると目の前には歩美がいた。めんどそうだったので無視をすると
「無視はないんじゃなのかなぁ、まぁ1人なのは分かったし。」
と言い歩美は俺の手を取り、急に引っ張ってどこかへ連れて行こうとした。
「な、なんだよ。てか、お前、誰だよ。」
「いいから。いいから。」
「よくねーよ。」
そんな感じで半ば強引に連れてこられたのがここだった。
そのあと、刹那と玲那も混じり、4人で協力して今はツリーハウスを作った。俺たちは大樹の近くに行き、手動のエレベーターに乗った。俺と歩美が先に乗り近くにある縄を引くと段々と上に上がって行った。その間、歩美と話していた。
「歩美、お前太ったろ?」
「しつれいね。太ってなんていないわよ。」
歩美は頰を膨らませて言った。そんなことを話しているとツリーハウスに着いた。そして俺たちは菓子を食べたり、遊んだりした。こんなことをしたのは昔のこの日ぶりだ。そしていつのまにか空は赤くなりかけていたので、俺たちは帰ることにした。
電車に揺られながら街に戻ると空は暗くなっており街灯が街を照らしていた。刹那と玲那は家の用事で迎えで帰った。街を歩いていると昼間に聞いた声がした。
「よう、待ってたぜ。」
目の前には亜由人と伸夫がいた。2人の手には刃渡り10センチほどのナイフ。
「どうしたのかな?ナイフなんて持って、また昼間みたいな目にあいたいの?」
すると2人はニヤリと笑い口を開いた。
「どうしたのかな?だって?これでお前にいたぶるんだよ。安心しろよ、殺したりはしないからよ。」
そう言いながら近づいてくるやつらの前に歩美が立ちふさがった。
「なんだよ嬢ちゃん。邪魔だよどけ。」
「どかない。これ以上、稜駿に嫌な思いはさせない。」
歩美はその場を開けようとしなかった。そして、俺はこの日のことを思い出した。その瞬間俺の体は動いていた。
「早くそこをどけ歩美!」
俺が手を差し伸べた瞬間。
「邪魔だって言ってんだろうが。」
しびれを切らした亜由人が歩美を車道に突き飛ばした。その瞬間、道路に大型トラックが来た。
やめてくれ、もうやめてくれ、2度もあいつを失いたくない。そんなことを願いながら歩美の元に向かった。
俺の願いは届かずトラックは猛スピードで歩美にぶつかった。歩美は勢いよく道路に打ち付けられた。俺は歩美を抱いた。歩美は頭から血を流し、温かった体はだんだん冷たくなり、死んでいっているのがわかった。そんな状態にもかかわらず歩美は口を開いた。
「稜・・・駿。よかっ・・・た。無事・・・で。」
「よかった訳ないだろ、俺が無事でもお前が無事じゃなかったら。何もいい訳が。」
俺の頰を大量の涙が流れた。そして俺の気持ちを表すかのように雨がふりはじめた。そんな俺の頰を歩美は優しく、そして力なく触れた。
「泣か・・・ないで。大・・・丈夫。また・・・どこかで・・・会え・・・るよ。ねぇ・・・稜駿?あなたは・・・私に・・・会えて・・・よかった?そう・・・なら・・・嬉しいな。」
歩美はにっこりと微笑んだ。そして目を閉じ、俺の頰を触れていた手は力なく落ちていった。その瞬間、無力感と吐き気が同時に膨れ上がって来た。そして俺は歩美をぎゅっと抱きしめた。歩美の存在を確認するかのように優しくぎゅっと抱きしめた。その瞬間周りが真っ暗になった。そして聞いたこともない声がした。
「これはお前の弱さが招いた結果だ。お前に守る力がないから彼女は死んだ。」
それを聞いた瞬間俺は口を開いた。
「言いたいことはそれだけか?俺に守る力がないから歩美は死んだ?
そんなことをわざわざ言われなくたって分かりきってんだよ!
だから、自分は強いと思いたかった。でも、それでも、無力で無意味な自分がどこかにいて呼ぶんだよ。こっちにおいでと、昔のようになりなよと。だが、もう決めた。俺はあいつを歩美のことを忘れるよ。」
「ほう、つまり彼女のことを忘れるのか。」
「いや、忘れない。ただ単にあいつへの愛を忘れるだけだ。あんな奴のことを忘れられる訳ないからな。」
なぁ、歩美。俺たちのほぼ恋愛関係に近かった関係を友達にすることはできるのかな?そしてこの手でも抱えきれないお前にもらった愛と俺のお前への愛はどこに捨てよう?このどうしようもない愛は誰に譲ろう。ありがとうな。
その瞬間、暗闇に包まれていた空間はガラスが割れるように砕け散った。そして強い光に包まれた。そして目を瞑った。
第7話 END
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