幻想支配郷

ゆっくり春咲

第6話〜2人目の稜駿〜

 博麗との弾幕ごっこを終えた日の夜、俺は疲れがたまりすぐに寝付くことができた。
 暗い。
 俺は博麗とあった日に見た夢をまた見ていた。
「やぁ、久しぶりだね。」
 声のした方向を向くとそこには紅と戦ったあとに見た夢に出て来た俺そっくりのシルエットがいた。今回は黒ではなく白だが。
「なんのようだ?」
俺がそう聞くと
「準備が整ったのでね。前言った通り君の体をもらいに来たよ。」
 とシルエットはクスクス笑いながらそう言った。すると俺の周りに赤黒い靄が発生した。そしてそれはシルエットの体から出ていた。そしてその靄は吸い込まれるように俺の体の中へと入っていった。そして全ての靄が入ると強力な頭痛が起き脳内へシルエットが話しかけて来た。
「うまくいったね。今は頭痛がすると思うが君がこの痛みに耐えきれなかった時が最後さ。君の体は僕のものとなる。はは、楽しみで笑いが抑えられないよ。あはははははははははは!」
 その言葉を聞いた後、俺はニヤリと笑い。
「悪いが俺はたしかに死ぬことを望んでいるが他人に自分の体を乗っ取られて死ぬのはごめんだな。」
 と言い俺は能力を発動した。俺の能力は色々な物の使用権などを全て自分の物とし、支配する物だ。これには弱点が少々ある。1つは自分を中心に半径500メートルしか完璧に支配できないということこれは自分に近ければ近いほど支配出来る。2つ目は1度に5種類の物しか支配できないということ、3つ目は自分以外の人を支配できないということ。3つ目は裏を返せば自分の中にあるものは支配できるということである。そしてシルエットは今俺の中にいる、これは自分になっているのと同じことである。だから俺は自分を自分で支配した。そして俺とシルエットを分離させた。すると俺は目が覚めた。その時はなぜか立っていた。そして目の前にはシルエットと思われる髪が白くて目が赤い俺のような奴が立っていた。
「さて、分離したわけだしさっさとボコって消えてもらうか。」
 俺がそう言うと
「作戦とは違うが体が手に入ったから今回は引かせてもらうよ。」
 そう言いシルエットは姿を消した。そして俺は心の中にある暗い感情が少し軽くなったように感じていた。
 次の日、俺は博麗に連れられ白玉楼というところに行っていた。すると俺たちの前に俺がここに来るときに見た目のようなものが沢山ある空間が現れた。その中から八雲が出てきた。
「紫じゃないどうしたの?
 博麗がそう聞くと八雲は
「あなたたち今から白玉楼に行くんでしょ。私も幽々子(ゆゆこ)に用があるからついでに連れて行ってあげようと思ったね。」
 そうして俺たちは八雲もスキマというものを使い白玉楼の前に着いた。だが、着いたのはいいが俺たちの目の前には気の遠くなるほどの長さがある階段があった。なんでも2キロあるとの事博麗と八雲は空が飛べるから前のように博麗に手を握ってもらっていこうとしたのだが八雲が嫌がったため俺だけ歩いて行くことにした。博麗たちが飛んでいくのを見送ったあと俺は能力を発動した。支配するものを俺の位置とする事で確実に行くために500メートルだけだが移動することができる。そしてここから白玉楼の入り口までは2キロあるらしいから、
2km=2000m 2000÷500=4
という計算になるから位置の支配を4回繰り返せば白玉楼の入り口に着く。魔力の消費が激しいが自分の魔力を使わなくとも八意にもらった腕輪をつけて使う魔力を自分のものではなく空気中にあるものにすれば自分の魔力は1ミリも消費しないで済む。そうして俺は博麗たちが来る前に白玉楼の入り口に着いた。入り口の門の前では白髪の刀を2本下げた少女がいた。
「お待ちしておりました。そしてお初をお目にかかります。春雨稜駿様。私はここ、白玉楼で庭師をしております、魂魄妖夢(こんぱくようむ)と申します。」
「ああ、よろしくな魂魄。あと俺のことは様付けなしで呼びやすいように呼んでくれ。様付けされるのは昔から嫌いだから。」
そんな感じで魂魄との挨拶を終えると博麗たちがきた。2人とも俺が先に来たことに驚いていたが方法を話すと2人とも納得した。そうして俺たちは魂魄に案内してもらいながら庭へと向かった。入り口にいくまでの道でもそうであったがここには沢山の桜が咲いていた。魂魄に聞くとこれは年中無休で咲いているとの事。庭へと着くと桃色の髪をした八雲と同じ雰囲気がする女性が縁側に座ってお茶を飲んでいた。その女性はこちらに気づくと歩いてこちらに来た。
「あなたが春雨稜駿ね〜。私は西行寺幽々子(さいぎょうじゆゆこ)よ、よろしくね♪」
そう言いながら手を差し出されたので俺を手を出し手を握った。そのあと縁側に座らせてもらい魂魄が入れたお茶を飲んでいた。そうして庭の景色を見ていると周りにある桜の中でもひときわ目立つ大きく謎の気配を放つ桜とその前に鎖で固定された刀が目に入った。そしていつのまにか俺の体はその方向へと動いていた。そして刀に触れそうになった瞬間両肩を誰かに掴まれ意識が元に戻った。後ろを向くと西行寺と八雲がいた。その表情はとても青ざめていた。
「あなた、何しようとしてたの?」
そう八雲は言いながらいくつかのスキマを展開し、西行寺も戦闘の構えとなっていた。
「しらねぇよ気づいたらここにいて、そしてそこの刀に触れかけてたんだよ。」
俺がそう言うと2人とも戦闘体勢を解いた。
「それに今でも語りかけて来るだよ。我に触れろ、そして来る敵に立ち向かえって。」
すると2人は顔を見合わせそして俺に話し始めた。
「その刀は【神刀・軻遇突智】(しんとう・かぐつち)、神・イザナミと神・イザナギによって作られた刀よ。そしてそれは2人の遺伝子を持った者つまり2人の子供であるカグツチの子孫にしか使えないと言われている。そしてその人間は刀に導かれると言われているわ。そしてその者に力を与えると言われているわ。でもそうでない者がふれると最悪が起きると言われており実際に起きたわだからあんなに焦っていたの。」
 なるほどな要するに俺はカグツチの子孫なわけか。そして俺は導かれたのか。なら俺がやることは決まってるよな。
「なら、俺にあの封印を解かせろ。祖先に導かれているんなら俺はそれに従う。」
 そう言うと八雲たちは刀の鎖を外した。刀は力なく地面へと突き刺さった。そしてそれを俺は掴んだ。

第6話 END

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