創造のスキルとともに異世界へ

エミヤ

終点

「終点、、、、!」

これが俺の最後の役目だろう。

この終点というスキルは必ず羽村を倒してくれるだろう。

なぜかって?簡単さ。

そういうスキルなんだ、これは。

『終点』このスキルは自分の守りたいもの大切なものを守るために自分の身を犠牲にして悪という存在を完全に消し去るスキルである。

このスキルを使えば対象は必ず死ぬ、そして自分も死ぬ。

しかしその代わりにこのスキルは周りからのスキル及び魔法からの影響を受けない。

そして、それは相手によるエクストラスキルも対象とされる。

このスキルを発動すれば世界全域に影響を及ぼす。

もちろん範囲は全範囲である。

清きものを救い悪しきものには天罰を。

これがこのスキルの説明だった。

そして、俺はこのスキルを使った。

後悔はない。

なぜなら仲間を守れるからだ。

さあ、今こそ決着の時、羽村と俺との戦いを終わらせる!

そういえば羽村の本気、結局見ることができずに終わってしまったな.......

もし、このファイナルスキルが発動していなかったらどうなっていただろうか.......

ステファンたちは見逃してくれるのだろうか.....いや、少なくとも殺されるだろうな.....そうしたら向こうで亮になんて言って謝ればいいのか.......

上には上がいる。

その言葉を忘れて自分の能力に溺れ、準備を怠ってしまった。

もう全てが終わってしまうが.......気をつけなければならないな........

「雄一さん!!」

「っ!」

スキルが発動し、視界が真っ白になって行く中俺は最後の最後に仲間の顔を見ることができた。

体はかなりボロボロで皆苦戦を強いられたようだが、重傷者は見当たらない。

みんな無事で安心したよ.......もう、悔いはないな。

「ありがとう......楽しかったよ。」

声が届くことはないが、俺は仲間たちに別れを告げた。

そして俺の視界は完全に白くなり......意識がなくなった。

そうだな......せっかくの最後だ.......。

最後くらいはよくある小説の終わりっぽく語って終了するとしよう。

そうだな.......

『白く暖かな優しい光が、この世界を包み込む。やがてその光は柔らかく膨らんで行き、静かに消えていった。それは、俺にとっては短く、彼らにとっては長い戦いの終結を告げる印となった.......』










「.......ん?」

意識が戻り、目を開けると俺が一度来たことのある場所だった。

そして.......「まだ一ヶ月と経たんうちにまた死におって.....新しい生を与えた意味がなかろう.....」

またあの爺さんがいた。

「悪いな死んじまった.....」

俺は清々しい笑顔でそう言った。

「はぁ....まさかあの場面で迷わず自己犠牲を選べるとは思わんかったぞ......」

「そうか?ああいう場面だからこそ死の覚悟ができたと思うけどな。」

「死の覚悟と自己犠牲の覚悟はまた別のものだ.......」

「同じだよ。少なくとも俺にとっては。」

「仲間を助けられるならどのような形でも死は死、ということかのう.....」

「まあ、そうだな。」

「そうか......だそうだぞ?」

は?誰に話しかけて......っ!?

「ありがとうございます。神様。どうして俺が死んだ後に雄一が死んだのか分かりました。」

「り.....亮.....!?」

「よう!雄一。さっきぶりだな。」

「お、おう.....」

「再会できていい事なんだが.....俺を忘れないでくれるかな?」

「っ!.....羽村!?」

「よう、今さっきぶりだな!」

「ちっ、なんでお前がここにいる?」

「死んだからだけど?」

「そうじゃない、お前みたいなやつ大抵地獄行きだろ?.....いや、お前確か神だったな.....」

「その通り!俺は神様だからここにいるのです!」

「そうか。ならもう一度終点を.......」

「ま、まてぃ!やめろ!次は本当に消えてしまうからやめろ!」

「はぁ.......茶番はそこまでじゃ。そろそろお前たちをここに読んだ理由を話したい。」

「ん?ああそうか。本来なら俺たちはここに来るはずないからな。」

「うむ。そうじゃな。本来ならばお前たちは天国か地獄に行く予定なのだが.....今回な、ある頼みごとがお前たちにあってな。」

「ほう?頼みごと?」

「お前たちに手伝って欲しいことがあるのじゃ。」

「それは内容次第だな。」

神様直々に頼みごとなんてまず面倒臭いものなのは確定だろう。

「そうじゃな。では話すとしよう.......今回お前たちに頼もうと思っているのは.....他の神たちが遊びで作った世界を救って欲しいのじゃ。」

「......は?」

「実はな?他の神たちがお前たちの戦いを見てぜひ我々の作った世界にも連れていって欲しいとうるさく言って来るのでな?.....」

「うん、わかった。行かね。」

「なぜじゃ!?」

「お前らの事情に振り回されてたまるかっての。こちとらめっちゃいい終わり方してんだよ。」

「えー?別に良いじゃん。」

「羽村さんよ.....命の価値が下がるとか思わないのかい?」

「思わないね。異世界転生ほど楽しいものはないからな!」

「そりゃそうだけど....」

「一回人生やり直してるんだし良いんだよ!二回や三回の転生なんてさして変わらないよ!」

「軽いなぁー.......」

「雄一、俺も良いと思うぞ?」

「え?亮まで.....」

「俺も楽しそうだしやってみたい。そして何より神様の頼みだから手伝ってやりたい。」

「まあ.....そうか。うん。わかった、行こう。あんたの頼み聞いてやるよ。」

「本当か!」

「ああ。んで、向こうに行って一体何すんだ?救うって言っても何を救うんだ。」

「ああ、それだがな.......わしにもわからん。なにせ他の神が作った世界だからわしに分かるわけがないのだ.....」

「まじかよ.....聴き出しとけよ.....」

「良いだろ別にゆっくり探すのも悪くないだろ?」

「俺は羽村みたいに割り切れないの。」

「なら、割り切れるように頑張んなきゃな!」

「はぁ....そうするしかないのかぁ.....」

「人助けしてればいつかは終わるだろ。」

亮さんそんな簡単な結論でいいのかい?

まあ、割り切れない俺も俺か.......

「まあ、向こうに行ってから策は考えるよ。」

「そうしてくれるとありがたいわい。」

「でも、行くにあたって条件がある。」

「む?なんじゃ。」

「いつでもここへ来られるようにしてくれ。」

「なぜじゃ?」

「特に意味はないが、強いて言うなら休憩スペース?」

「なんじゃその変な答えは......まあ、いいか。よかろういつでもここに来られるようにお主に転移のスキルを与えよう。」

「ありがとな。」

「うむ。」

「んじゃ俺も頼みいいか?」

「羽村もか?」

「ああ。凪と当麻も連れて行きたい。」

「うむ。了解した。羽村の転生後2人をそちらに送ることとしよう。」

「ありがとな。」

「俺はいいや。特に願い事もないし。」

「そうか。ならば新たな世界へ行ってもらうとしよう。このまま通路の奥にある扉をくぐってもらおう。」

「「「了解。」」」

「では行くがよい。」

こうして俺たちは新しき世界へ行く事となった。

そして、いつ出現したかわからん通路とその奥の扉を目指して俺たちは歩いた。

「向こうに着いたら何するか.......」

「まあ、その世界にもよるな。」

亮が答えてくれたことはごもっともだ。

向こうの世界の状況、例えば政治、世界地理、種族などが俺たちの観点と全く違えば対応もまた変わってくる。

当たり前のことだがもし、新しく向かった世界が俺たち人間がいない世界だとしたら色々と面倒だ。

「あ、そう言えば色々欠点が見つかったしスキルでも作っておくか。」

今回羽村の単純な攻撃でダメージを削られることが多かった。

死ぬことなどないと高をくくって即死耐性などもつけていなかったため下手に攻撃を出すこともできなかった。

だから俺は新たに即死耐性、物理無効、魔法無効、スキル無効のスキルをそれぞれ作り、ついでにSP回復、全属性無効、蘇生のスキルも作った。

これで到底倒されることはないし、死んでも復活できる。

「しっかしあの爺さん結構有能だよな。今んとこ俺らの願い全部叶えてくれてるじゃん。」

「え?まさかお前あの人が誰か知らないの?」

「な、なんだよ羽村.....そんなにすごいやつなのか?」

俺の質問に答えてくれたのは羽村ではなく亮だった。

「あのな雄一......あの方は全知全能の神ゼウス様だ。」

「え.....まじかよ....」

「まじ。」

「どうりで有能なわけだ.......」

「逆に気づかないとはなかなかだな。」

「いや、普通に創造神か誰かかなと思ってたから。」

「確かにゼウス様本人が転生の手続きしてくれるとは思わないよな.......」

「亮の時は爺さん.....ゼウス神がやってくれたのか?」

「いや、俺の転移は神がやってくれるわけじゃないからいきなりの転移かな。内容も現地の人に聞かされたし。」

「そうだったのか。」

「ああ。」

「......さて、この扉の向こうに新しい世界があるのか。」

「ああ。そうだな。」

「行くぞ!」

「おう!」

いざ、新たな世界へ!第3の人生!





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