最弱最強の破壊者

うらら

魔術真王祭校内予選Part2

第1演習場にて、俺たち5人は模擬戦を行なっている。次は舞と吉田葵との試合を行う。審判は俺。舞と葵が演習場に入り、対面すると、2人は、
「よろしく、舞さん!」
「こちらこそよろしく、葵さん!」
と挨拶していた。それを確認した俺は、
「試合開始っ!」
と告げた。その途端両者とも魔力を手にこめ、手を前方に向けた。その途端、ほぼ同時に舞からは火柱、葵からは水柱が飛び出した。本来なら能力的に不利なのは舞だが、炎と水はぶつかると、水が打ち消され、炎が葵に向かっていく。葵は素早く足元に水の魔法を展開。水圧で自分を後方へ移動させ、火柱を躱した。
「流石に強いわね、舞さん!でも、これならどう?」
そう言い放った葵は、両手に魔力を込めて、
「喰らい尽くせ、リヴァイアサン!」
そういうとともに、巨大な水の龍が手から放たれた。それを見た舞は、両手に2つの業火を生み出し、
「サラマンダーイグニスっ!」
という掛け声とともに、業火を前方へ発射。2つの業火は渦を巻き、水龍<リヴァイアサン>と正面から衝突。2人の攻撃が相殺される。しかし、その瞬間に舞の姿は元の位置にはなく、炎で作り出した剣を2本両手に持ち、葵の目の前まで迫っていた。それに気づいた葵は迎撃しようと水の球をいくつも投げるが、それを全て舞の剣で切られてしまう。葵の魔法操作もすごいが、能力的に不利な相手に一方的に攻撃する舞もよっぽどだ。そして、全ての迎撃を斬り伏せ、葵の前に来た舞が剣で攻撃しようとした時だった。舞の足元から水柱が発生。それに気づいた舞はバックステップで下がろうとするが、下がった所にも水柱が発生。舞は水圧で後方に大きく吹き飛んだ。舞は上手く着地すると、
「なるほど、近距離戦は苦手だから、トラップを自分の周りにいくつも作っていたのね。よくもそんなに多段展開できるものね!」
そう言った。それは俺も思った。開始と同時に葵は舞に攻撃していたのだ。それなのに2つも罠をはり、それを舞に気づかせなかった。その魔法操作は生半可な努力では出来ないものである。だが、それは舞も同じことだった。舞もまた、炎の球を体の周りに展開。それを巧みに操り、葵を翻弄し始めた。そして、対応しきれなくなってきて、スタミナが切れて始めた葵は両手を上げて、
「降参します、、、。」
と、悲しそうな顔で負けを認めた。そして俺に、自分の問題点を訊いてきた。
「ねえ、新九郎君、私は何がダメだった?」
「そうだなぁ、魔法の使い方は群を抜いていたし、対応力も半端なかった。でも、やはり、スタミナ管理が重要だと思うよ。一気に魔法を使うもんだから、尋常じゃない魔力を使うはずだし。」
そういうと葵は納得した顔をして、
「ありがとう!やってみる!」
そう目を輝かせて言った。俺は疑問が浮かんで、
「君のリヴァイアサンは独学?」
「違うよ、新九郎君のウロボロスを模したやつだよ。」
そう言われて少し恥ずかしくなった。それを見ていた舞が、
「ねえ、新九郎、私は?」
と少し不満げな顔で言った。
「えーと、、、。舞は上手く技使えれてたからいいんじゃないかなぁ。」
そういうと、舞は、
「ばーか」
というと、演習場を後にした。なぜ俺はdisられたのか、よくわからなかったが、他の3人は、
「新九郎君、もっと他の言い方があるでしょー」
と言ってた。俺はなんといえばよかったのかなぁ。そんなこと今更舞には訊けるわけもなく、俺は凹んだのだった。もともと女子と話したことはあまりないわけなので、この手の問題は得手ではない。後で夢さんにでも訊いてみるかぁと俺は思ったのだった。
今度は俺と黒沢智との模擬戦が行われる。審判は不満げな顔をした舞。俺と智が対面して立つと、舞が、
「試合開始っ!」
と告げた。その瞬間、目の前から智の姿が消えたのだ。俺はあたりの気配を探したが見当たらなかった。その時、俺の影から智が現れた。そして、俺の影が俺の足を掴み、智は俺が教えた格闘術で背中から打撃を与えようとした。俺は魔力を背中にため、闘気を作り防ごうとしたが、なんと、左右に2人の智がいた。その2人が同時に打撃。俺は防ぐ暇なく顔に直撃した。脳が揺れる感覚。俺は片膝をつき、なんとか倒れるのを防いだ。だが、さらに分身した智は5人で肉弾戦に持ち込んできた。
「どうだい、新九郎君、僕の技は?」
俺はすんでのところで打撃を捌きながら、
「俺の能力と相性悪くて困ってるよ、正直めっちゃ強いっ!でもっ!」
そういうと、後方に大きく下がり、右手に魔力を込めて闘気に変換。
「穿て!ウロボロスっ!」
その声とともに5人の智はウロボロスに巻き込まれて、消滅した。てことは、本体がどこかに潜んでいる。そう思った俺は、体内に闘気をため、一気に炸裂させ、周りに闘気の波動を飛ばした。すると、
「ガハッ!」
という声とともに、審判の舞の影から飛び出した智がいた。ちなみに舞は試合中、障壁を常に作っているためダメージはない。そして、膝をついて、少量の吐血をした智は両手を上げて、
「降参です。」
と呟いた。そして、智に俺は、
「智くんの幻術は正直言って、わからなかったよ!でも、やはり範囲攻撃を対策するべきだよ!そうすればもっと強くなる!」
そう言って、手を差し出すと、智はその手を握り、
「ありがとう、新九郎君!もっと対策を考えてみるよ!」
と、目を輝かせていた。こうして、俺らは予選まで模擬戦をし、校内予選当日を迎えるのだった。

〜Part3へ続く〜

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いつもご愛読ありがとうございます!
コメントにて、落第騎士の英雄譚に最初の方が似てるとおっしゃって下さった方がおりましたが、私自身、真似しているつもりなどは微塵もなく、オリジナルの作品として作っております。しかしながら、このようなライトノベルものは数が多く、似てしまうこともあります。そのため、そこは何卒ご了承のほどよろしくお願いいたします。今後とも、最弱最強の破壊者をよろしくお願いいたします。

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