最弱最強の破壊者
体育祭 後半戦
昼食タイムになった。俺は親がいないため、適当にコンビニに行って昼食を買おうと思い、歩き始めた。その時、聞き慣れた声が後からかけられた。
「おーい、新九郎、こっちだー!」
「新九郎君ー、こっちよー。」
その声の主の方に目をやると、そこには私服姿の神童さんと、同じく私服姿の夢さんがいた。俺が2人に近づいて、
「神童さん、夢さん、ご無沙汰しております!でも、どうしてここに?」
そう訊くと、神童さんが笑いながら、
「なんだ、弟子の成長を見にきてはいけないのか?」
と言い、それに続いて夢さんが、
「新九郎君のために、お弁当作ってきたの!気に入ってくれるといいけど、まあ、座って食べて?」
と優しく言ってくれた。俺は突然のことに驚いたが、とても嬉しかったため、笑顔で、
「ありがとうございます!では、お言葉に甘えていただきます!」
と言うと、座って弁当を食べた。舞さんの作る料理はどれも絶品であり、手が止まることはなかった。それを満足そうに夢さんが微笑んで見ていた。神童さんはビールを飲んでいたが、学校でそんなもの飲んでいいのだろうか?そう思いながら見ていると、夢さんが呆れた顔で、
「新九郎君、言っても無駄よ。さっきから隊長に注意してるのに聞かないんですもの。」
と嘆息していた。それに俺が苦笑いすると神童さんが、
「別にいいじゃねぇか、今日は俺らのオフなんだしよぉ。」
と少し嬉しそうな顔で反論していた。それ対し、夢さんは、はぁと息を吐くだけだった。そのやり取りが面白くて俺は笑ったのだった。ふと疑問が浮かんだ。
「あの、お二人はいつからここに?」
そう訊くと、夢さんが、
「えーと、割と最初の方ですね。しっかりと新九郎君の二人三脚も見ましたよ!」
と楽しそうに喋っていた。へー、割と最初の方なんだなぁと思い、夢さんが注いでくれたお茶を飲んでいると、神童さんが、
「新九郎、あの炎使いの女の子、好きかぁ?」
と訊いてきたので、俺は驚いて飲んでいたお茶を吹き出してしまった。そして、
「べ、べべ、別に好きとかそう言うのじゃぁ...。な、何というか、優しい人だなぁとは...。」
と答えてしまった。まるで質問か図星みたいではないか。やらかした。そう思っていると、神童さんが、
「図星か?まあ、お前も男だしなぁ(笑)」
と言ったため、俺は、
「別にそんなんじゃ!」
といった。そしたら夢さんが、
「別に隠すようなことじゃないわよ、んで、どうなの?」
と笑いながら訊いてきたため、俺は慌てて、
「あ、もう時間だ!行かないと!じゃ、お弁当ありがとうございました!とっても美味しかったです!では、戻りますね!」
と足早にその場を立ち去ったのだった。その際後ろは見ないことにした。
陣地に戻ると、舞も戻っていた。舞が少しむすくれた顔で、文句を言ってきた。
「あんたをご飯に誘おうとしたら、いなくなっちゃうんだもの。せっかくお弁当作ってきたのに!」
「え?そうだったの?ごめん!夢さんが作ってくれたお弁当食べちゃったよ。」
「あ、あの人が来てたのね。それならいいわ、ちゃんとしたご飯食べてないんじゃないかと思って、少し心配だったわよ。」
「舞はどこで食べたんだい?」
「私は友達と食べたわよ?あなたのお弁当もみんなで分け合って食べたわ!」
そう強く言われたため、俺は申し訳なく思い、
「またいつか作ってくれよ、その時は絶対に頂くからさ!」
そう言うと、舞は少し驚いたあと、嬉しそうな顔で、
「うん!作ってあげる!」
と言っていた。機嫌を直してもらえて何よりだ。そうこうしているうちに、後半戦スタートのアナウンスが聞こえてきた。因みに、神童さんたちの方を見ると、ニヤニヤしていたので、気にしないことにした。
後半戦はクラスの代表がリレーをしたり、障害物競走をしたりと、とても楽しいものだった。因みに総合順位は5位。そして、舞の借り物競争の出番になった。舞の走る組は3組目。スタートの合図とともに、少し離れた場所にある机に全力ダッシュし、その机の上にある箱から借りるものが書いてある紙を1枚とり、それをもとに借りてくるというものだった。1組目のレースが始まる。スターターが、パンっ!と景気よく銃声を鳴らすと、一斉に走り出した。そして、クラスの女子がお題を取り、俺の方へ走ってきた。どうやら俺を借りるらしい。俺が、
「お題は何?」
と、訊くと、その子は笑って、
「クラスで1番強い人っ!」
と言った。そんなことないと思うが、俺は全力で走り、その子とともに1位になった。そして2組目がスタート。お題を取ったクラスの男子が俺の方へ走ってきた。
「お題は?」
そう訊くと、
「クラスで1番努力している人!」
そういった。俺はとても嬉しくて、
「ありがとう!んじゃ、1位貰いますか!」
そう言って、2人で全力ダッシュ。やはり1位になった。そして舞の番。舞はお題を見ると、少したじろいだように見えた。しかし、またもや俺の方に来て、頬を赤らめながら、
「し、新九郎を借りに来たわっ。早く行きましょ!」
とモジモジしながら言っていたため、俺は疑問に思い、
「お題は何だったの?」
と訊くと、舞は今までにないくらい顔を赤くして、
「し、知らない!」
と言った。俺は不思議に思ったが、舞と手を繋いで1位でゴールした。舞はゴールすると、すぐに選手団の方に行ってしまった。俺は不思議に思ったが陣地に戻ったのだった。何と、借り物競争は全部借りられるのは俺だった。残りのふたつのお題は、「クラスで1番教えるのがうまい人」と、「クラスで1番人を助けてると思う人」だった。俺は疲れたが、全部1位でゴール。しかし、舞のお題だけは分から無かった。
そして、すべての競技が終わり、体育祭が終了した。閉会式時に結果発表があり、俺らは総合3位(1位は氷麻里先輩の3ーA)だった。表彰が終わり、閉会式が幕を閉じた。その後、舞にお題を訊いたが、やはり答えてくれなかったのだった。そのあと舞が、話しかけてきた。
「新九郎、体育祭楽しかった?」
「ああ、凄く楽しかった!特に二人三脚で勝てたのが、嬉しかったよ!」
そう言うと舞は嬉しそうに笑っていた。この学園にきて本当によかったと思える1日だった。
☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆
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「おーい、新九郎、こっちだー!」
「新九郎君ー、こっちよー。」
その声の主の方に目をやると、そこには私服姿の神童さんと、同じく私服姿の夢さんがいた。俺が2人に近づいて、
「神童さん、夢さん、ご無沙汰しております!でも、どうしてここに?」
そう訊くと、神童さんが笑いながら、
「なんだ、弟子の成長を見にきてはいけないのか?」
と言い、それに続いて夢さんが、
「新九郎君のために、お弁当作ってきたの!気に入ってくれるといいけど、まあ、座って食べて?」
と優しく言ってくれた。俺は突然のことに驚いたが、とても嬉しかったため、笑顔で、
「ありがとうございます!では、お言葉に甘えていただきます!」
と言うと、座って弁当を食べた。舞さんの作る料理はどれも絶品であり、手が止まることはなかった。それを満足そうに夢さんが微笑んで見ていた。神童さんはビールを飲んでいたが、学校でそんなもの飲んでいいのだろうか?そう思いながら見ていると、夢さんが呆れた顔で、
「新九郎君、言っても無駄よ。さっきから隊長に注意してるのに聞かないんですもの。」
と嘆息していた。それに俺が苦笑いすると神童さんが、
「別にいいじゃねぇか、今日は俺らのオフなんだしよぉ。」
と少し嬉しそうな顔で反論していた。それ対し、夢さんは、はぁと息を吐くだけだった。そのやり取りが面白くて俺は笑ったのだった。ふと疑問が浮かんだ。
「あの、お二人はいつからここに?」
そう訊くと、夢さんが、
「えーと、割と最初の方ですね。しっかりと新九郎君の二人三脚も見ましたよ!」
と楽しそうに喋っていた。へー、割と最初の方なんだなぁと思い、夢さんが注いでくれたお茶を飲んでいると、神童さんが、
「新九郎、あの炎使いの女の子、好きかぁ?」
と訊いてきたので、俺は驚いて飲んでいたお茶を吹き出してしまった。そして、
「べ、べべ、別に好きとかそう言うのじゃぁ...。な、何というか、優しい人だなぁとは...。」
と答えてしまった。まるで質問か図星みたいではないか。やらかした。そう思っていると、神童さんが、
「図星か?まあ、お前も男だしなぁ(笑)」
と言ったため、俺は、
「別にそんなんじゃ!」
といった。そしたら夢さんが、
「別に隠すようなことじゃないわよ、んで、どうなの?」
と笑いながら訊いてきたため、俺は慌てて、
「あ、もう時間だ!行かないと!じゃ、お弁当ありがとうございました!とっても美味しかったです!では、戻りますね!」
と足早にその場を立ち去ったのだった。その際後ろは見ないことにした。
陣地に戻ると、舞も戻っていた。舞が少しむすくれた顔で、文句を言ってきた。
「あんたをご飯に誘おうとしたら、いなくなっちゃうんだもの。せっかくお弁当作ってきたのに!」
「え?そうだったの?ごめん!夢さんが作ってくれたお弁当食べちゃったよ。」
「あ、あの人が来てたのね。それならいいわ、ちゃんとしたご飯食べてないんじゃないかと思って、少し心配だったわよ。」
「舞はどこで食べたんだい?」
「私は友達と食べたわよ?あなたのお弁当もみんなで分け合って食べたわ!」
そう強く言われたため、俺は申し訳なく思い、
「またいつか作ってくれよ、その時は絶対に頂くからさ!」
そう言うと、舞は少し驚いたあと、嬉しそうな顔で、
「うん!作ってあげる!」
と言っていた。機嫌を直してもらえて何よりだ。そうこうしているうちに、後半戦スタートのアナウンスが聞こえてきた。因みに、神童さんたちの方を見ると、ニヤニヤしていたので、気にしないことにした。
後半戦はクラスの代表がリレーをしたり、障害物競走をしたりと、とても楽しいものだった。因みに総合順位は5位。そして、舞の借り物競争の出番になった。舞の走る組は3組目。スタートの合図とともに、少し離れた場所にある机に全力ダッシュし、その机の上にある箱から借りるものが書いてある紙を1枚とり、それをもとに借りてくるというものだった。1組目のレースが始まる。スターターが、パンっ!と景気よく銃声を鳴らすと、一斉に走り出した。そして、クラスの女子がお題を取り、俺の方へ走ってきた。どうやら俺を借りるらしい。俺が、
「お題は何?」
と、訊くと、その子は笑って、
「クラスで1番強い人っ!」
と言った。そんなことないと思うが、俺は全力で走り、その子とともに1位になった。そして2組目がスタート。お題を取ったクラスの男子が俺の方へ走ってきた。
「お題は?」
そう訊くと、
「クラスで1番努力している人!」
そういった。俺はとても嬉しくて、
「ありがとう!んじゃ、1位貰いますか!」
そう言って、2人で全力ダッシュ。やはり1位になった。そして舞の番。舞はお題を見ると、少したじろいだように見えた。しかし、またもや俺の方に来て、頬を赤らめながら、
「し、新九郎を借りに来たわっ。早く行きましょ!」
とモジモジしながら言っていたため、俺は疑問に思い、
「お題は何だったの?」
と訊くと、舞は今までにないくらい顔を赤くして、
「し、知らない!」
と言った。俺は不思議に思ったが、舞と手を繋いで1位でゴールした。舞はゴールすると、すぐに選手団の方に行ってしまった。俺は不思議に思ったが陣地に戻ったのだった。何と、借り物競争は全部借りられるのは俺だった。残りのふたつのお題は、「クラスで1番教えるのがうまい人」と、「クラスで1番人を助けてると思う人」だった。俺は疲れたが、全部1位でゴール。しかし、舞のお題だけは分から無かった。
そして、すべての競技が終わり、体育祭が終了した。閉会式時に結果発表があり、俺らは総合3位(1位は氷麻里先輩の3ーA)だった。表彰が終わり、閉会式が幕を閉じた。その後、舞にお題を訊いたが、やはり答えてくれなかったのだった。そのあと舞が、話しかけてきた。
「新九郎、体育祭楽しかった?」
「ああ、凄く楽しかった!特に二人三脚で勝てたのが、嬉しかったよ!」
そう言うと舞は嬉しそうに笑っていた。この学園にきて本当によかったと思える1日だった。
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