異世界は現実だ!

竹華 彗美

用水路完成で浄水なのだ!

 第六章
 第140話、用水路完成で浄水なのだ!


 翌日は朝から用水路作りをする。昨日の作業とは違い、ミーナさんの顔は一層明るいものとなっていた。そのおかげか昼前には用水路作りも大抵終わり、休憩となった。

「今日はえらい作業が早かったですね!」
「それはもうミーナさんが精霊さん達まで使ってくれたおかげですよ!ありがとうございます!」
「そう言ってくださると精霊達も喜んでいると思います。」

 ミーナさんの加工魔法の早さにも驚いていたが、一番は精霊達による補助にあったのだと思う。一番は地精霊の存在である。
 地精霊達はまず土を掘りやすくするために土質を柔らかく軽いものにしてくれた。そのため土を掘るのも楽に進んだというわけだ。
 そしてミーナさんの加工魔法で次々と用水路が完成していった。残りは貯水のためのため池作りだが、ここにも石を使い泥水にならないようする。
 しかし石がなくなってしまったので、これから買いに行き午後で用水路作りを終了させるつもりだ。
 また水の調節の為の石の板を作らなければならないのでその分も考え、十キロ銀貨十枚で購入した。僕が採石場に行っている間にみんなは穴を掘り終え後は加工するだけの準備ができていた。ミーナさんが加工魔法でため池用の深さ五十センチ、幅一メートルの直方体を作る。それをその穴にはめ、隙間に土を入れれば完成した。
 ため池と用水路をつなぎ合わせ早速川から水を流してみる。水調整のための石を取り、水を流し入れる。すると川からの水圧によりぐんぐんと水が流れていき、川から約二百メートルのため池には約五分で到達した。全員で完成を喜んだ。水漏れなどもなく順調に流れるので大成功である。
 ため池に八割水が溜まったところで水調整石で流水を防ぐ。言い忘れていたがこの調整石の場所にはゲートをしっかり張ってありそれを使う。ミーナさんはゲートをいちいち開かなくても永久的に開いてられることもできるそうで、拠点の外に開いてある。
 ため池の水は浄水してから使うことになるなのだが、浄水の仕方というのはミーナさんがこれまた活躍し上位の水精霊達にため池の管理を任せ浄水するように頼む。そして精霊に浄水される水は非常に綺麗で飲水としてもすぐに使用できるものだった。
 これがあればもしかすると風呂やトイレも作れるのではないか、と思ったがそれには下水整備もやらなければいけないので今回は見送りである。
 
 その日は作業は終わりにし、拠点でくつろぐ。サファは僕達の用水路づくりの間、辺りを細かい部分まで見回ってくれていた。それは既にサファと僕の脳内とで共有できており、食べ物やゴブリンなどの巣、危険地帯など確認できていた。木の実なども所々あるようでゴブリンの巣もあちらこちらにある。危険地帯はクルルさんの最初からの偵察にもあったところが主に挙げられていた。
 帰ってきたサファにできた用水の浄水を飲ませると尻尾を大きく振り飲む。たしかにこの水は美味しい。精霊にはこんな力もあるのか、ととても関心してしまった。
 その夜は浄水を使った木の実のスープなどを女性陣が作ってくれてそれらを食べる。サファも含め全員の顔がにこりとなった。

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