異世界は現実だ!

竹華 彗美

脱出でデスキラーなのだ!

 第六章
 第135話、脱出でデスキラーなのだ!


「あ、来た来た!おーい!こっちこっち!そっちじゃなくて反対!!!」
「ごめん、カルナ〜。」
「いいよ。もう遅刻と方向音痴は治らないんだから、あとその荷物の量何?」
「これは、最低必要な分だよ〜。」
「それが…ね…。」

 カルナの友達で冒険者をしている女の子は初対面で思いっきり個性を振り撒く方である。この中の女性陣の中ではおっとりめの喋り方だ。馬を四頭引き連れ、そこには大きな荷物の袋が六つ高く積み上がる。そして本人も片手に一つずつ袋を持ち歩いて来た。これはどうなのやら、喋りかたに似合わず意外とガチガチ系の性格なのだろうか。茶髪、瞳も茶色っぽい、垂れ目でむ、胸は……カルナとクルルさんには申し訳ないが……かなりでかい。あとは赤いペンダントにエメラルドグリーンのワンピース。これも女性陣には申し訳ないないが…一番おしゃれでもある。

「はじめまして〜!私はカルナの冒険者時代からの付き合いで魔族狩りをしております。ミーナと申します〜。あきらさん。今日からお世話になれるということで来たのですが間違いは?」
「ないです。ご参加してくださるならお願いしたいところです!ミーナさん。はじめまして。ギルドマスターのかわごえ あきらと申します。よろしくお願いします。」
「こちらこそよろしくお願いしますね〜。じゃあ早い所行ってしまいましょう。」
「なんでですか?」
「うーんと…」

 ミーナさんが何かいいかけると遠くからドタドタと大人数でこちらに向かってくる影が見える。

「ミーナさん!お待ちください!僕達も連れて行って〜!」
「次って言いましたよね?まだ行かないでください〜!」
「俺のところの仕事やってくださいよ!もう待って〜!」
「ミーナさん!」
「ミーナさん!」 
「ミーナちゃーん!」

「ミーナ?またなんかしたの?」
「いや?何にもしてないわ。ただあいつらが追いかけてくるのよ。私は悪くない。」
「あれはなんですか?」
「うーん。それは後で説明するけど、あれに捕まると大変なことになるから早めに撤収して!早く!」

 僕はそう言われ慌てて走り出す。検問所を出たところでゲートを作り拠点へと戻る。後ろには男たちがたくさんいたがギリギリのところでゲートを閉められた。

「あー良かった〜!あれに捕まったら後一年はあそこにいなきゃダメだったかも。死にそう〜!」
「ミーナさん、あれは?」
「あれはね。私の色仕掛けに引っかかって金を取られ、まあ金だけ取られる可愛い奴だったら良かったんだけど、仕事を依頼されてね。それで今の今までその仕事をこなして完了したって言ったんだけど、次から次へと依頼して来てうざくて、お金だけ前払いで受け取って逃げて来ちゃった!だって飲ませてあげて依頼もこなしてそのツケがあの金額じゃ納得できなくて、しかもその金の分で依頼して来て!私は仕事はやったのに!だから奪って逃げて来たの!しょうがないでしょ!てへ♡」
「うわー。ミーナらしいとはミーナらしいけど。ーで?その今の今までやってたのはなんなの?」
「デスキラーの討伐。」
「はっ?」
「えっ?」
「んっ?」
「へっ?」
「なんですか?デスキラーって。カルナもクルルさんもストジネートくんもダニー兄さんも固まっちゃって?」
「え?ちょっと待ってください?デスキラーですよね?あの。まさか一人ではないですよね?パーティで行ったとか。」
「ひとりだよ。」

 しばらく沈黙が流れた後、僕とミーナさん以外全員で叫び出す。目が飛び出るのではないかと思ったぐらい驚いていた。

「あ、あ、あの!デスキラーを一人で!ありえません!無理ですって!」
「でも一人で…」
「ミーナ!それは冗談って言っても信じられないぐらいだよ?」
「え?冗談なんかじゃ…」
「もう怪物ですね。」
「確かに怪物だったけど…」
「俺、ちょっと驚きすぎて具合悪い。」
「大丈夫ですか?」
「なんの話してるんですか?まず、デスキラーって何?」
「何って言われ……」
「あきら!!!あのデスキラーをお前は知らないのか!あれはだな!ある伝説に出てくるんだ!勇者が魔王城にたどり着き、魔王が最後に出したモンスターがデスキラーなんだ!勇者軍は百人でそいつに立ち向かうが即死。パーティは壊滅し!魔王の最終番人とも言われるようになった災厄の怪物だ!それを知らないとは!何事だ!!!」
「あ、なんか、すみません…」
「謝ることではないと思うよ〜。みなさん何か勘違いしているようだけど…デスキラーと言ってもあの伝説に出てくるようなやつじゃないですよ〜!まあ確かに姿的には似ていますがあれはデスキラーの中でもまだ子供の方。幼虫です。幼虫はそこまで強くないため、一回の産卵で二十万匹ほど生まれてもその中で成虫まで生き残るのはほぼ皆無。あの伝説出てくるのは成虫なので今この世界でいるデスキラーが成虫になっているのはたったの五体。私が倒したのは幼虫。普通は熊とかに食べられて死んでいくんですが何故か今回はミルガバードの農園に大発生したため、私が駆除してあげたんです。まあ、それでも大変でしたけど!」
「なんだ〜そうなんだ〜!ミーナ驚かさないでよ。」
「で、これがその幼虫。」

 ミーナさんがポケットから出したのは高さ二メートルぐらいのゴキブリのような虫。

「私の僕にしたの。それで十年後は私の愛しい守護者として成虫になるんだよ!」
「気持ち悪〜!!!!!!ミーナ早くそいつ殺して!気持ち悪い!こんなの!!!
捨てろ〜〜〜〜〜!!!!!!!!!」

 こうしてミーナさんはギルドに加入したのであった。

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