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異世界は現実だ!

竹華 彗美

宝物でミルガバードなのだ!

 第六章
 第127話、宝物でミルガバードなのだ!


 なんとなくこう一人で砂漠を歩くのは久しぶりだ。ここに来た時あの絶望感。あの時は笑えたなぁ。プロフィール画面開いたら初期設定過ぎて。
 あとはあれだ。スト族の時、あれは確か乾燥ゴブリンにやられて訪れたんだっけ?自分ながら間抜けだと思う。でもあいつがいなければスト族の皆さんを救うことも会うことも仲良くなることもできなかったんだなぁ。スト族の皆さん、元気かな?たまには会いに行ってみようかな?
 色々な思い出が浮かび上がってくる。そこからいろんなことがあって大変だったことも楽しかったことも、悲しかったことも、嬉しかったことも。こう振り返るといい思い出だ。そういうのを乗り越えて今僕はこの地に立ち砂漠の中を歩く。今では大切な仲間もいる。全てが宝物なのだ。
 最初の頃とは断然歩くスピードが早くなり、二十キロの道のりもたったの二時間。ゆっくり来たような気がししたがこのペースなら今日中に着いてしまいそうだ。ミルガバードにはトミル王都から南西に約八十キロ。単純計算であと六時間。足もそこまで疲れていない。というか全く疲れを感じない。まだ歩けそうだ。ミルガバードは川沿いにあるらしく大河に沿って歩けばまずたどり着くみたいだ。余談だが大河の最終終着点は"ワーギギ"という町の真ん中を通り"ワーギギビーチ"を通り海に注がれるらしいがなんとなく聞いたことのある名前だ。
 そして歩くこと五時間。ペースアップもしたことから既に小さくだがミルガバードの姿を捉えていた。少し前から雨が降り始め、ところどころ緑の木が生えていた。雨は多分この世界に来てから初めてだ。僕が起きている間にはなかったこと。新鮮さを感じる。そしてミルガバードのさらに奥には青々としている山々が見える。そしてミルガバードを目指しそこから歩くこと三十分。五時間三十分、ミルガバード王都に着く。お昼過ぎには着いてしまったので予定が合えばこれから面談にすることにした。
 検問所より少し離れた所に岩かあったのでそこにゲートを作る。その後検問所に行った。

「旅人さん〜、こんにちは〜、入国料は〜銅貨二十枚で〜す!あと証明書も〜みせてね〜!」

 検問官は女性だ。ほんわかした感じで軍人ではなさそう、というのは顔だけの判断だ。顔より下を見るとトミルとメンメルとは格が違う銀の鎧。剣を腰につけガッチガチの軍人だ。前の人の検問が終わる。

「はい〜、次の人〜、あら?お若い冒険者さんね〜。こちらへどうぞ〜!」
「はい。銅貨二十枚と証明書、あと紹介で来たんですがそれもみせた方がいいのですか?」
「はい〜、では最初に入国料と〜証明書お願いします〜!……ふんふん、ふんふ!?
……これは失礼致しました〜!あきら様、ですか。あの有名な〜、それではその紹介は……」
「トミル王国国王様です。」
「はいはい〜、わかりました〜!」

 そう言うと女性は検問所の奥へと入っていった。少しするとまたこちらへ戻ってきた。

「もうすぐ、迎えの者が来ますのでこちらでお待ちください〜!」

 そう女性は言うと検問所の中に通してくれた。そして奥の扉を開けると待合室のような場所でここで待つように言われた。そこは大理石でできたピカピカの床と壁が広がり、椅子や机も綺麗な大理石でできたものだった。椅子にはそこにふわふわのクッションが引かれ座り心地は最高だった。そしてしばらく待つと小さい男の子が僕が入ってきた方とは反対の方の扉から入ってきた。

「かわごえ あきら様ですか?えっと、王城にお連れいたしますね!」
「はい、お願いしますね!」

 可愛い声で言うので僕も少しニコッとしてしまった。そして男の子が入ってきた扉から外に出ると、馬車が一台ありそこに乗る。こんな感じ、一度あったような〜?
 馬車は小さく人二人が丁度だ。そこに男の子と二人で向かい合って座る。男の子は何も言わずただ窓の外を見ていた。僕は何か話題になりそうなことはないかと思ったのだが思いつかないので静かに外を見ていた。ストジネートくんが言っていたようにトミルやメンメルよりも人が輝いてみえるようなそんな感じだった。商店街の前も通るのだが、野菜や果物も豊富にあり地球にあったものや見たことのないものまで取り揃えていた。そして十分間ぐらいの乗車で王城に着く。トミルやメンメルの王城とは違い屋敷のような外見だった。そしてさほど他の建物と比べても大きさは変わらないものだった。

「着きました!ここから王城に入ります!えっと、ちゅういじこう、ひとーつ!走らない。ふたーつ!騒がない。みーっつ!魔法を発動させない。よーっつ!武器を抜かない。いつーつ!ものを壊さない。以上のいつつはぜったいのぜーったい!守ってください!これをまもらないとこわーいこわーいおじさんたちが怒ってしまいます!怒るととにかくこわいので、これはまもりましょう!」
「わかりましたよ!」
「はーい!じゃあはいりまーす!」

 そうして僕はミルガバードの国王に会うこととなった。

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