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異世界は現実だ!

竹華 彗美

散歩で喧嘩なのだ!

 第六章
 第123話、散歩で喧嘩なのだ!


 朝起きたのは九時ぐらいのことだった。サファの背中の上にうつ伏せになり抱きついていたのでとても寝心地が良かったみたいだ。サファは僕の寝た時の記憶からして姿勢が変わっていないような…。申し訳なくなって飛び起き頭を下げてお辞儀する。サファはにこやかな笑顔を浮かべ、立ち上がった。

「あきら!起きたか!よく寝てたな〜、サファに抱きついて、グフフフフ〜!」

 笑われてサファに対しては申し訳なく思い、ダニー兄さんに対しては冷やかしを食らって少しイラっとしたが事実なのでそのままにしておいた。

「ダニー兄さん、おはよう!昨日はサファと一緒に寝てしまった!探検行きます?」
「おう!その前にカルナちゃんが朝食作ってくれてあるから食べるぞ!」

 そうして朝食を食べ、サファにも木の実を食べさせて探検に出かける。流石にサファの背中に乗って行くのは申し訳ない気がしたが、サファは乗って欲しいらしくそれを聞いた。ダニー兄さんも一緒に乗りストジネートさんも一緒に行くのだが歩いた方が運動になるらしく歩いていく。探検とはいうもののそこまで拠点からは離れず近くになった。サファには危険な獣臭がしたら逃げるように指示しておいた。まあ僕も一応称号により視力アップ、聴力アップがあるので大体の危険は分かっているつもりだが。

「あきらくんはすごいなぁ〜。」
「なんですか?ストジネートくん。」
「だってこの三日間でここまでのことができるんだから。やっぱり天才は違うってことかな?」
「いやいや天才なんて、ストジネートくんだって真面目にやってくれてるじゃないのかな?やり方覚えるのも早いし、一番効率のいい方法を探したりさ。すごいと思うけどな〜。」
「だってその若さでギルドマスターだろ?まぁ年齢なんてあんまり関係ないけど、やっぱりすごいと思うよ?その才能は認めないと!」
「そうかもな〜。この歳でギルドマスターか。自分でも依頼が来た時から驚きと不安でいっぱいで、今だってできているかわかんないし……それに年上の人に"くん"とか敬語なしで言うのもどうかと……」
「あきら、それを言うと発足会の話とは随分矛盾が生じてるぞ?年齢なんですかどうでもいいじゃねぇのか?あきらは上に立つ才能を持ってたってことだ!勿論、俺はあきらと初めて会った時から大物になるって言うのはわかってたけどな!」
「わたしも!思ってたよ?目を見ただけで自分より強いなと実感したんだから!」
「ありがとう。マスターになったんだから腹括らないとね!頑張る!」

ーー……
「ーまぁそんなことはいいとして……あきら〜!カルナさんのことどう思ってるんだよ!」
「え!?」
「せっかく男だけになったんだから!こういう話はつきものだろ?」
「べ、別に。普通にかわいいな〜とは思うけど……そ、そんなに深く考えたこと…」
「その言い方だと少しは考えたことがあるということでいいんだな?」
「い、いや!そんなことは断じてない!初めて会った時だってそんなに気にしてないし!それにカルナとは冒険者という名目で知り合ったわけだし!そんな気にしたことないから!」
「え〜?本当か?あきら〜!隠さなくてもいい…」
「ダニーくん!趣味が悪いよ!君だってどうなのさ!クルルさんをずっと見つめてるくせに!」
「はぁ?わかってないな〜!クルルさんがな?もしもだぞ?釘で怪我をしちまったらどうするんだ?その時はそっと手を伸ばしてあげるのが男っていうものじゃねぇのか?」
「クルルさんの場合、自分で治しちゃうと思うけどね。ダニーくんが出る前に。」
「はあ?それが分かってても手を差し伸べてやるのが男っていう生き物の流儀なんだぞ!だからストジネートくんは一人ぼっち感が満点なんだと思うけどなー?」
「な、何を!?わたしには帝都に好きな子がいて!」
「まあまあまあ!ダニー兄さん、煽るのはやめて、ストジネートくんもそれに乗っからない!平和に行きましょう、平和に!」

 この二人はよく分からない。兄弟のような争いをすることがよくある。まぁ最も僕は兄弟も学校にもほとんど行ってなかったため兄弟喧嘩など見たことはないんだが、こういう喧嘩なら一回はやってみたいな〜という気持ちがこの二人を見ていると思う。父と母の暴力的な喧嘩でもなく多人数での集団対一のいじめのような喧嘩でもない。こういう喧嘩なら良かったのにと思っていた。なんとなくほんわりした喧嘩である。

 僕達はそんなこんなでお昼まで散歩兼探検を続けた。探検の成果はそこまでなかったが楽しかった。サファも体を動かしその後木の実で腹ごしらえをしたので一段と元気になっていた。いい休憩になったと思う。少なくとも男性陣は。女性陣も昨日の作業の終わりよりもずっと清々しい顔をしていたので良い休憩になったのだろう。
 昼食を食べ作業に戻る。僕達は屋根作りに取り掛かった。
 

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