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異世界は現実だ!

竹華 彗美

恩恵で壁作りなのだ!

 第六章
 第121話、恩恵で壁作りなのだ!


 ギルド発足から三日目。まだ三日しか経ってないというのにかなり充実している気がしていた。それはみんなも同じことである。今日からはカルナさんも拠点作りに参加する。サファは今日何もすることがないので壁の影で休んでもらっている。サファとは御察しの通り僕のセンス無しのトラの名前である。"シンプルイズベスト"を心の中で念じながらつけた。サファは名前を与えた時嬉しいようで尻尾を扇風機のように振っていたので決定となった。ダニー兄さんからは"そのままだな。あきららしい!"と言われ少しムカついたが自分のネーミングセンスの無さは重々承知だったので大人しく認めておいた。
 壁は正面の一面は門を建てるため後の事も考えると来訪者の客間にするのが理想だったため、まずは片方の四メートルの壁を先に完成させることにした。後ろと前の八メートルの壁は窓と障子をつけたいため窓や障子の部分は後で加工魔法で切り取るとして四メートルの壁の次に八メートルの壁も作ることにした。障子は難しいとは思うのだがまずは木枠だけでも作り、木から紙でも作ってみても面白いかもしれない。どうやって作るかはわからないが。言い忘れていたがクルルさんはダークエルフでエルフというのは恩恵がもともと備わっているらしい。それは周囲のものを風化させない、腐らせない、壊れないなどで即ち、家なども劣化はせずそのままの状態に留めておくことができるみたいだ。永遠というわけではないが数千年は持つらしい。それはエルフの血をかけることで起こる恩恵でこの拠点の床の下の土にはクルルさんの血が染み込んでいる。それによって半径二百メートルの範囲の植物は恩恵を受けるみたいだ。雑草などはしっかり抜ける。どういう仕組みかは分からないが凄いことだ。
 壁はカルナも加わったことで作業の速さも速くなった。釘が終わりそうになった時は僕は変装して町に買いに行った。何人かには気づかれそうにはなったが先日のような大騒ぎにはならずに済んだ。そして拠点作りを始めてからつくづく思うのだがみんな覚えが速い。どんどん効率の良い作業となり昨日の四メートル壁は四時間かかったのに対し(まあ四時間も初心者の割には早いが)今日は四時間経った昼食には八メートルの壁一枚があとは取り付けるだけとなっていた。日本の大工さんの技術には劣るがみんなが本気でこの職業に回ったら日本の名工とかに選ばれるのではないかと本気で思ったりもした。昼食は軽く木の実のスープに非常食であるすいとんのようなものを入れたものである。カルナの作るご飯はどれもこれも美味しく料理に関してはこの中では圧倒的に上手だった。サファにもスープを分けて飲ませてやる。本当に賢く僕達が作業している間には静かにしていた。スープも僕が「飲んでいいよ!」というまではじっと待っており食べ方も溢さずに綺麗だ。
 昼食が終わるとまた作業に戻る。八メートルの壁を取り付け終わり、もう一枚も夕方までには全て完成していた。


 

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