異世界は現実だ!

竹華 彗美

到着で作戦確認①なのだ!

 第四章
 第75話、到着で作戦確認①なのだ!


 ストジネートさんと離れてから一時間。クルルさんは先導をしてくれていた。カルナさんが酔っていることに気づいたクルルさんは休憩を挟んでくれていた。かなり僕にとってもありがたい。

「カルナさん、大丈夫ですか?」
「は…い。だ、だいひょうぶて、す。」
「大丈夫ではなさそうですね。一回休みましょうか。」

 僕は"ウォーター"で水を飲んでもらったり"ヒール"で回復魔法をかけてあげたりしていた。クルルさんも回復魔法が使えるので使っていた。

「私も最初の頃は馬に乗ったら具合悪くなってしまって皆さんに迷惑かけました。やっと慣れてきたところなんです。」
「そうなんですか。僕も慣れていると思ったら結構揺れて少し具合悪いですね。」
「すみません、気づけなくて。」
「ああ、いえ大丈夫です。あと三十分くらいですかね。」
「はい。川の流れる音が聞こえてきたのでもうすぐだと思います。では行きましょうか。」
「あともう少しなら歩いて行った方がいいですかね?」
「いえ。多分この状態だとカルナ様が歩けませんね。」
「ご、ごめいふぁく…おか、ゲホゲホ、けひます。(ご迷惑おかけします)」
「いえいえ大丈夫ですよ。」

 そうクルルさんは言うとカルナさんを虎に乗せるのを補助し歩き始めた。森はだんだん明るくなってきて川の流れる音が近くなってきた。
 ーそしてしばらく歩くと森が開け、大きな川が流れていた。そして右を見ると大きな橋が架けてありその真ん中に人影が見えた。

「ストジネートさんですね。行きましょう。」

 クルルさんはそう言うと先導する。それにしてもあそこまで大体まだ五百メートルぐらいあるのに目いいなーと密かに思った。

 橋に近づくとストジネートさんと思しき人物はこちらに向かって歩き始め僕たちが橋の前に着くときには彼も僕たちのもとに着いた。

「ストジネートさん、ご無事でなによりです。」
「そちらもご無事で。ん?カルナ様のご様子が。」
「カルナ様はトラ酔いです。」
「なるほど。承知いたしました。」

 そう言葉を交わすと橋を進んだ。橋を渡り終えると検問所が見えてきて先にストジネートさんが交渉に向かった。

「どうぞ、検問には引っかかりませんでしたので。」
「ありがとうございます。では行きましょう。私の部隊の仲間が待っている建物があるのでそこで今一度説明を。」
「わかりました。」
「わはひました。」

 そう言うと門の前でトラ達とは別れ入った。町というよりは村という感じで木の家のようなものが多い。石の家もあるがこの町では少し裕福な家なのだろう。そして正面通りをまっすぐ向かい三番目の十字路を右に、小道に入った。ふと思ったが町の人はあまり道を歩いておらず数人いたがかなり警戒した様子でよそ者の僕たちを見ていた。そして小道を少し行くとさらにYの字分岐がありそれを左斜めに進む。そしてその曲がった道のすぐ右にある木の家のドアを特殊なノックのリズムでクルルさんが叩くと一人の男性が出てきた。

「クルル副隊長!ご無事でなによりです。どうぞお入りください。」

 そう言われ中に入った。中は木の板を雑にネジで止めてあるだけの空間だった。家具のようなものはなくただいるだけの部屋という感じがした。そこに男性が二人。一人は何か紙に書いている。もう一人は僕たちを向かい入れた。そして全員が入りドアを閉めたところで接客係の男性が話し始めた。

「ここは今回の拠点です。 結界を張ってあるので音が漏れることも監視されることもありません。僕が今まで指揮をとっていましたがクルル副隊長がいらしたので僕も潜入の方に向かいます。」
「いや、あなたはここにいてくれ。今作戦では私とこの方々全員で潜入・討伐を行う。あなたはここでもしも仲間が負傷したりした時のため残ってくれ。」
「わかりました。」
「全員で作戦を確認する。バナック、全員に通達準備を!用意が出来たら話を始める。
ーあきら様、カルナ様少々お待ちを。」

 バナックとは紙に何か書いている男性らしい。クルルさんの指示があると小さく頷き何かブツブツと言っている。
 準備が出来ると腕真っ直ぐ上にあげ指でサインした。それを見たクルルさんは、

「ではこれから作戦の最終確認に移る。全員注意して聞くように!」

 クルルさんは真面目な顔になり作戦を伝え始めた。
 


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