異世界は現実だ!

竹華 彗美

客人で依頼なのだ!

 第四章
 第71話、客人で依頼なのだ!


 僕はメンメル帝王から依頼されていたギルド建立の件について2日経ったがまだ考えていた。カルナさんは承認するしかないと押してきたが一旦自分でもう一度考えてみると言った。カルナさんはこのことを承諾し一人にしてくれた。
 が、考えても考えても分からない。これでいいと言っていいのか、僕に務まるのか……。全く分からない。"考える前に行動しろ!"などというセリフが何かのアニメで出てきた気がするがいざこうなるとそれがどれくらい難しいことなのかが分かる。
 申請を受けるのか断るのか全く決まらない時間が過ぎていた時検問所の扉が開きガガさんが入ってきた。

「あきら、客人だ。」
「え?どなたですか?」

 その言葉を聞いた時少しビクッとした。帝都の使者が来てギルド建立について結論を聞きに来たのかと思ったからだった。が、

「帝都から来たお前がもしギルドを建立した時の帝王から指名された人だ。すぐそこで待ってくれている。中に入ってもらうから少し話してみろ。」

 そう言うとガガさんは一度扉を閉めた。突然の訪問で緊張している。
 そしてしばらく経った後検問所の扉をノックをして開け中に入って来たのは2人の男女だった。そしてそのうち男性と方は見たことのある顔だった。そして扉を静かに閉めた後、2人はたったまま息ピッタリにお辞儀をした。僕は慌てて立ち上がりお辞儀をする。そして顔を上げると女性の方から話し始めた。

「お初にお目にかかります。あきら様。私は今回あきら様のギルド建立の際ギルドの一員として派遣されましたメンメル帝国特別秘密部隊三隊副隊長クルルと申します。帝王陛下からこのような名誉ある指名を頂き光栄なことです。どうぞよろしくお願い致します。」

 第一印象は完璧だ。外見も美しい。耳が尖っていることからエルフなのだろう。エルフ3人目だな。
 そう思っていると男性の方も話し始める。

「先日は帝都にお越しいただきありがとうございました。今一度紹介させて頂きます。わたしは帝国兵士第三軍隊長ストジネートと申します。あきら様のその後のご活躍よく聞いております。わたしからも今一度帝国を救って頂き心から感謝致します。そして帝王陛下からあきら様のギルドの一員となれる機会を与えて頂いたことに至極の感謝を覚えております。どうぞ、その時はよろしくお願い致します。」

 やっぱり、帝宮に向かう馬車の時の彼か。        
 堂々としている。馬車の時とは違って左腰に大きな剣を携えていた。両手剣だろうか。

 僕はそう思った後自分のことも少し話した。今の現状や過去の話し(もちろん元の世界の話はしていない。一応僕はここではトミル王国の小さな国で生まれていることになっているから!)、他には戦歴やらギルドを建立するのは迷っていると言う話まで。2人は真っ直ぐ僕の目を見て聞いていた。目を逸らしたい気持ちにもなったが2人の堂々たる姿勢を見習い僕も真っ直ぐ2人の目を見て話した。
 僕が話し終わるとクルルさんが少し間をおいて話し始めた。

「噂通りのお方のようです。いくら私達が軍の端くれだとしても普通の人ならばおどおどしたような姿を見せます。ですがあきら様は私たちから目を逸らさず堂々たる姿勢でお話しされる。強者の態度でございます。もしギルドを建立すると仰せられればこの身を投じて励んでいくと覚悟しました。
突然ですが私たちからあきら様に依頼があります。これは陛下から特別秘密部隊三隊に命令された案件なのですが現在私達は先日起きたある事件でとても忙しいのです。私達の部隊はほぼそちらの方へ出払っており他の部隊から人を借りるにしても私の立場ではもし死人が出てしまった場合責任がかかりすぎてしまう。そしてこの案件の処理期限はあと七日しかないのです。少しめんどくさい案件なので現地に行ってからも実行するまでに時間がかかるかもしれない。そのことを考えると少なくとも明日、明後日には現地につかねばならない。そうなると人員も最小限にとどめる必要がある。安全性も考慮しなければならない。そのようなことを考えていた時あきら様のギルド建立の一員としての派遣のお話が私の元に舞い降りて参りました。そこでストジネートさんの元を訪ね、このことをお話しすると"わたしたちの実力を見てもらう機会として利用して見てはどうですか。"という提案があり、私も同じ考えであったので今こうして依頼させてもらっているです。あきら様も私達の実力がわからないのに一緒にと言われても判断できないと思います。なのでその手助けということにもさせて頂き、かつ任務もこなそうと思います。ガガさんと渡り合える方ならば一万力となることでしょう。いかがですか?」

 なるほどね。確かにどういう性格なのかもわかっておく必要がある。陛下の書状が信じられない訳ではないが一応こういうのもやって見て損はないだろう。

「いいですよ。こちらこそよろしくお願いします。」

 そう返事をした。

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