異世界は現実だ!

竹華 彗美

ある洞窟内なのだ!

 第3章幕間 ある洞窟内なのだ!

 ーある洞窟内ー


「貴様、いい加減起きろ!!」

 低い声が洞窟の中に響き渡る。

「ん?ここは……どこじゃ?わしはいったい……」
「じじー。やっと起きたか?」
「ん?はっ!お主は!!」

 二人の声が洞窟内で響き合う。そしてその二人の奥から足音が聞こえた。

「フルカスくん。君は何をして来たんだい?」
「……!!!」

 フルカスはその声を聞き固まった。姿が見えなくとも声を聞くだけで気迫に圧倒されていた。

「もう一回聞いたほうがいいのかな?」
「いや、……さ、んに……っぱい、し、た。」
「はっきり言いたまえ、フルカスくん。あまり僕を不機嫌にさせないでくれたまえ。」
「申し訳ございません!トルマ様!!!作戦に失敗しました。」
「……そうなのかそうなのか。」
「申し訳ございません!本当に……、」
「そうかそうか。まあいい。魔族だって失敗はあるからなぁ。」
「え?」
「しょうがないな。他人の失敗を責めるのは良くないと偉大なお方も言ってらしたしな〜。」
「では?」
「ああ、その件については許そう。だが!!!」

 そうトルマは言うとフルカスの頭を掴みまるで卵のように握りつぶした。

「失敗したなら失敗したと!最初からはっきり言えや!このクソジジーが!!!」

 頭を潰されたフルカスは倒れもうすでに動かなかった。そのフルカスに向けてトルマはそう怒号を放った。そしてしばらくしてトルマは怒りを抑え人形と話し始めた。

「クソジジーが作戦に失敗したと我が主人に連絡してくれ。」
「わかった。連絡しておこう。……なあお前さん、少しみないうちに短気になったな〜。」
「うるさいな。お前は随分魔力が落ちているようではないか?」
「ふん。よく口を利くようになったわ!先輩には優しく振る舞うのが礼儀ではないのか?」
「人間みてーなこと言ってんじゃねーよ!というか120歳しか変わらないだろう?」
「まあそうだが、私の方が彼の方にお仕えしている時間は長いぞ。お前と私とでは才能が違う!」
「うるさい!!このババーが!」

 トルマは顔を真っ赤にして人形に向かって言った。そして勢い良く人形に殴りかかった。その拳は見事人形にヒットし跡形もなくなくなった、が、

「ドン!!!!」

「だから短気だと言っておるのだ。それに攻撃してから反応が鈍る。そのくせ早く直した方がいいのではないか?」
「てめー!!!!いてーじゃねーか!!!」

 トルマの腹には大きな穴が空いていた。まるでミサイルが突き抜けたように。そしてトルマの真上には粉々に粉砕された筈の人形が何事もなかったようにぶら下がっていた。そしてトルマの体もみるみる治っていき20秒経てば完全に回復していた。

「お前の回復力は驚きだよ。回復だけは精度を上げたようだ。」
「お前に言われたくはない。どうせさっきのは幻影だったんだろ?そして今のも幻影。お前は今どこにいるんだ?」
「それは秘密だよ。お前の知らないところさ。」
「そうか。……まぁそんなことよりもあの人間はどんな感じだった?」
「そっちの方が本題だったな。いい男だったよ。私の人形にしてみたいと思った。だから少しからかってみようと思う。」
「お前は人間が好きなんだな!」
「いや違う、人間で遊ぶのが好きなんだよ。とてもね、」

 そう人形は言うと笑い出す。そして洞窟の奥から突然風が吹いたと思うと人形の姿はもうなかった。トルマは自分で頭を潰したフルカスを見てニヤっと笑った。

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