異世界は現実だ!
元族長なのだ!
第2章を見てない方は第2章からご覧ください。
番外編1
元族長なのだ!
これは今から三十年前。先住民族スト族六代目族長、
ロクスト 彼のお話である。
〜三十年前 ある王国郊外森の中〜
「待て待てぇ!」
元気な男がイノシシを追いかけている。
彼はスト族現族長ロクスト。年齢は三十四歳。歴代の長の中では最も早く族長になった男である。というのも五代目族長のゴストは早死にしてしまいロクストが三十二歳の時には死んでしまった。ゴストは一人しか子供を作らなかったので自動的にロクストが長となった。
ロクストは若いながらに村を束ねイノシシなどの食料を森から取ってきては村人に分ける。とても優しい人柄だ。身長は一・八メートル。体重は六十キロ。髪は長く肩まであり、服装はスト族長に伝わる服。魔法効果が付与されており何年経とうとどんなにぞんざいな扱いをしても破けないし着れなくなることはない。子供は十人いる。それぞれ個性が強く、妻もいるが子育てはかなり大変だ。
「帰ったぞ!」
「お父さん!おかえりなさい。今日は何が取れたの?」
「大きいイノシシだ!四頭も取れたからな。これから村の人にも分けに行く。ナナストお前も行くか?」
「うん!行くよ!」
今話をしていたのは長男のナナスト(後の七代目族長ワンスト)。ナナストはとても優しくてロクストも十人兄弟の中では最も話しやすい。
「ねぇお父さん。今日ね。お母さんがこれ作ってくれたの!」
「なんだそれは?」
「僕の剣だよ!これからは僕もお父さんと同じように狩をするんだ!」
「そうかそうか。それは楽しみだなぁ〜。」
そんな話をしながら村人に肉を分けて歩く。村人は皆喜ぶ。それを聞いて親子も元気になっていた。
「お父さん!今日もみんな喜んでくれたね!」
「ああ、そうだな。お前も将来は族長として尽くすんだぞ!」
「うん!僕お父さんみたいな族長になってみせるよ!」
帰るときは手を繋いで一緒に歩く。家に着くとロクストは子供の相手をしながら過ごす。ナナストも長男として兄弟の相手をしたり、お母さんの手伝いをする。
ご飯ができるとみんなで一緒に食べる。毎日ほとんど同じ料理だが少しずつ味を変えている。今日はスト族に伝わる秘伝のソースをかけたイノシシ肉だ。みんなこの味が一番好きなのだ。
そして夕食が食べ終われば家族で話しをして過ごす。そして寝る。
そう、先住民族スト族の族長家は自給自足ではあるが普通の生活を営んでいる。時々国から配布される金はあるが一度も使ったことがない。もしものために貯めてある。ずっとそうなので、もうかなりの額がたまっていた。
そんなある日、普段通りの生活をしていると王国の兵士がやってくる。それも軍を率いてだ。ただ事ではないと思ったロクストは一人で指揮官らしき兵士の元に行き、話をする。
「我は王国中将ミミットだ。お前らスト族に王国転覆の容疑がかけられた。直ちに降伏しこの地から出て行け!そうすればなんの被害もない。ただし応答に応じなかったり反抗したりすれば村を今からでも破壊しよう。ただでは済まないぞ!」
「え?そんな事……考えてもいないぞ。」
ロクストはミミットの言葉を聞いて絶望した。そんなことやってない。身に覚えにないことを言われた。完全にいちゃもんだった。そしてロクストが言った。
「だれがそんなこと。するもんか!俺たちはそんなこと考えたことない!それに王国にはここにいさせてもらってる。金ももらってる。逆に感謝してるんだ!」
「ふん!それはどうだか。こっちにはお前らが王国転覆を企んだという証拠がある。」
そうして見せてきたのは一枚の紙だった。そこには秘密事項と書かれていた。そして長々と書かれている文の下には、スト族の紋様が書かれていた。それにロクストのサインも。
「こんなの……嘘だ!嘘に決まってる!」
ロクストは大声で言うしかし、
「ではこれが嘘だと言う証拠はどこにあるんですか?しっかりとした証拠を今この場で見せろ。」
「それは……」
「ほら、ないんだろう?これが本物だから反論できないのだろう?」
ロクストは何も言えなかった。ただただ悔しかった。
「さあ、早く退け。さあ。早く!!!!」
ロクストは全速力で村に戻り村人に王国領土内から早く出るようにいい回る。何人か理由を尋ねるものはいたがただただ呼びかけると逃げてくれた。
そして家族の元に行き一緒に逃げるよう説得する。
ナナストが聞いてくる。
「なんで逃げなきゃ行けないの?」
「話は後だ。早く国から出なさい。みんないい子だからわかってくれるよね?」
「ぎゃー、助けて!だれか!助けて!」
突然叫び声が聞こえる。女性の声だ。ロクストは先に逃げるようにナナストたちに言う。ナナスト達はわかったと言ってくれて逃げてくれることになった。そしてロクストは叫び声が聞こえた方角へと走る。そして見た光景は悲惨なものだった。
逃げ惑う人々、逃げ遅れた人々は兵士達に殺されていく。
「なぜこんなことになっている。ちゃんと言われた通り逃げているではないか!」
そして後ろから現れた中将はこう言う。
「ちゃんと逃げている?それはどうだか。さっきな。村の一人が俺たちに刃向かったんだ。それで俺の可愛い部下が一人致命傷を負っちまったんだぞ!お前の監督責任でこんなことになっているんだ!」
「そんなこと、だって俺はまだ村のみんなには逃げることになった理由を伝えてないのに。そんなことになるはずない!」
「だからその村人は王国転覆の計画を立てていた人の一人じゃないのか?それで王国兵士にバレたと思ってすぐに抵抗しにきた。そうじゃないのか!」
「いや、でも、そんな……」
「これ以上抵抗するようならば逃げたやつも皆殺しにするぞ!」
「いや、待ってくれ。わかった。すぐ逃げる。だから許してくれ。」
「ああ待とう。早く去れ!」
ミミットは大きな声でいう。ロクストも早く逃げるようにと言い回る。そして全員が逃げ終わったことを確認しロクストも逃げようとすると、
「待て!貴様は監獄行きだ。なぜなら王国転覆を図り、村人の管理不足で今回我の部下に手を出した。族長の無責任さで今回の件が大きくなってしまったのだ。ならばお前は処罰を受けねばならん。連れて行け。」
「は!」
何も言えず連れて行かれる。その時ロクストの目には確かに見えた。ミミットが笑っているのを。そしてロクストは確信した。はめられたことを。なぜこんなことをする必要があるのかは分からない。ただはめられた。そう思った。
ナナスト達は村人達と共に逃げた。そしてたどり着いた先が砂漠地下の古代都市遺跡だった。ここならだれにも見つからない。そう思った、ナナスト達はそこで生活を送ることにした。
その後ロクストは処刑された。死ぬ間際まで無実を訴え続けたが結局証明することはできなかった。その事実を知ったのはロクストがなくなってから三ヶ月後。ナナストがいつまでも帰ってこない父親を気にして王国に出向いた時だった。それを知ったナナストの母親は体を壊し、最後にこう言い残し死んでいった。
「ナナスト達。王国を恨まないで。お父さんを恨まないで。お父さんも王国も何も悪くないの。でも運が悪かったの。ただそれだけ。だから何にも悪くないの。わかった?それとナナストあなたの名前はこれからワンスト。この地で新たに兄弟達と共にスト族を反映させて行きなさい。私は天国であなた達を見守っているから。」
これがワンスト達の族長としての始まり。
ロクストとの物語である。
次回からは三章です。引き続きよろしくお願いします。
番外編1
元族長なのだ!
これは今から三十年前。先住民族スト族六代目族長、
ロクスト 彼のお話である。
〜三十年前 ある王国郊外森の中〜
「待て待てぇ!」
元気な男がイノシシを追いかけている。
彼はスト族現族長ロクスト。年齢は三十四歳。歴代の長の中では最も早く族長になった男である。というのも五代目族長のゴストは早死にしてしまいロクストが三十二歳の時には死んでしまった。ゴストは一人しか子供を作らなかったので自動的にロクストが長となった。
ロクストは若いながらに村を束ねイノシシなどの食料を森から取ってきては村人に分ける。とても優しい人柄だ。身長は一・八メートル。体重は六十キロ。髪は長く肩まであり、服装はスト族長に伝わる服。魔法効果が付与されており何年経とうとどんなにぞんざいな扱いをしても破けないし着れなくなることはない。子供は十人いる。それぞれ個性が強く、妻もいるが子育てはかなり大変だ。
「帰ったぞ!」
「お父さん!おかえりなさい。今日は何が取れたの?」
「大きいイノシシだ!四頭も取れたからな。これから村の人にも分けに行く。ナナストお前も行くか?」
「うん!行くよ!」
今話をしていたのは長男のナナスト(後の七代目族長ワンスト)。ナナストはとても優しくてロクストも十人兄弟の中では最も話しやすい。
「ねぇお父さん。今日ね。お母さんがこれ作ってくれたの!」
「なんだそれは?」
「僕の剣だよ!これからは僕もお父さんと同じように狩をするんだ!」
「そうかそうか。それは楽しみだなぁ〜。」
そんな話をしながら村人に肉を分けて歩く。村人は皆喜ぶ。それを聞いて親子も元気になっていた。
「お父さん!今日もみんな喜んでくれたね!」
「ああ、そうだな。お前も将来は族長として尽くすんだぞ!」
「うん!僕お父さんみたいな族長になってみせるよ!」
帰るときは手を繋いで一緒に歩く。家に着くとロクストは子供の相手をしながら過ごす。ナナストも長男として兄弟の相手をしたり、お母さんの手伝いをする。
ご飯ができるとみんなで一緒に食べる。毎日ほとんど同じ料理だが少しずつ味を変えている。今日はスト族に伝わる秘伝のソースをかけたイノシシ肉だ。みんなこの味が一番好きなのだ。
そして夕食が食べ終われば家族で話しをして過ごす。そして寝る。
そう、先住民族スト族の族長家は自給自足ではあるが普通の生活を営んでいる。時々国から配布される金はあるが一度も使ったことがない。もしものために貯めてある。ずっとそうなので、もうかなりの額がたまっていた。
そんなある日、普段通りの生活をしていると王国の兵士がやってくる。それも軍を率いてだ。ただ事ではないと思ったロクストは一人で指揮官らしき兵士の元に行き、話をする。
「我は王国中将ミミットだ。お前らスト族に王国転覆の容疑がかけられた。直ちに降伏しこの地から出て行け!そうすればなんの被害もない。ただし応答に応じなかったり反抗したりすれば村を今からでも破壊しよう。ただでは済まないぞ!」
「え?そんな事……考えてもいないぞ。」
ロクストはミミットの言葉を聞いて絶望した。そんなことやってない。身に覚えにないことを言われた。完全にいちゃもんだった。そしてロクストが言った。
「だれがそんなこと。するもんか!俺たちはそんなこと考えたことない!それに王国にはここにいさせてもらってる。金ももらってる。逆に感謝してるんだ!」
「ふん!それはどうだか。こっちにはお前らが王国転覆を企んだという証拠がある。」
そうして見せてきたのは一枚の紙だった。そこには秘密事項と書かれていた。そして長々と書かれている文の下には、スト族の紋様が書かれていた。それにロクストのサインも。
「こんなの……嘘だ!嘘に決まってる!」
ロクストは大声で言うしかし、
「ではこれが嘘だと言う証拠はどこにあるんですか?しっかりとした証拠を今この場で見せろ。」
「それは……」
「ほら、ないんだろう?これが本物だから反論できないのだろう?」
ロクストは何も言えなかった。ただただ悔しかった。
「さあ、早く退け。さあ。早く!!!!」
ロクストは全速力で村に戻り村人に王国領土内から早く出るようにいい回る。何人か理由を尋ねるものはいたがただただ呼びかけると逃げてくれた。
そして家族の元に行き一緒に逃げるよう説得する。
ナナストが聞いてくる。
「なんで逃げなきゃ行けないの?」
「話は後だ。早く国から出なさい。みんないい子だからわかってくれるよね?」
「ぎゃー、助けて!だれか!助けて!」
突然叫び声が聞こえる。女性の声だ。ロクストは先に逃げるようにナナストたちに言う。ナナスト達はわかったと言ってくれて逃げてくれることになった。そしてロクストは叫び声が聞こえた方角へと走る。そして見た光景は悲惨なものだった。
逃げ惑う人々、逃げ遅れた人々は兵士達に殺されていく。
「なぜこんなことになっている。ちゃんと言われた通り逃げているではないか!」
そして後ろから現れた中将はこう言う。
「ちゃんと逃げている?それはどうだか。さっきな。村の一人が俺たちに刃向かったんだ。それで俺の可愛い部下が一人致命傷を負っちまったんだぞ!お前の監督責任でこんなことになっているんだ!」
「そんなこと、だって俺はまだ村のみんなには逃げることになった理由を伝えてないのに。そんなことになるはずない!」
「だからその村人は王国転覆の計画を立てていた人の一人じゃないのか?それで王国兵士にバレたと思ってすぐに抵抗しにきた。そうじゃないのか!」
「いや、でも、そんな……」
「これ以上抵抗するようならば逃げたやつも皆殺しにするぞ!」
「いや、待ってくれ。わかった。すぐ逃げる。だから許してくれ。」
「ああ待とう。早く去れ!」
ミミットは大きな声でいう。ロクストも早く逃げるようにと言い回る。そして全員が逃げ終わったことを確認しロクストも逃げようとすると、
「待て!貴様は監獄行きだ。なぜなら王国転覆を図り、村人の管理不足で今回我の部下に手を出した。族長の無責任さで今回の件が大きくなってしまったのだ。ならばお前は処罰を受けねばならん。連れて行け。」
「は!」
何も言えず連れて行かれる。その時ロクストの目には確かに見えた。ミミットが笑っているのを。そしてロクストは確信した。はめられたことを。なぜこんなことをする必要があるのかは分からない。ただはめられた。そう思った。
ナナスト達は村人達と共に逃げた。そしてたどり着いた先が砂漠地下の古代都市遺跡だった。ここならだれにも見つからない。そう思った、ナナスト達はそこで生活を送ることにした。
その後ロクストは処刑された。死ぬ間際まで無実を訴え続けたが結局証明することはできなかった。その事実を知ったのはロクストがなくなってから三ヶ月後。ナナストがいつまでも帰ってこない父親を気にして王国に出向いた時だった。それを知ったナナストの母親は体を壊し、最後にこう言い残し死んでいった。
「ナナスト達。王国を恨まないで。お父さんを恨まないで。お父さんも王国も何も悪くないの。でも運が悪かったの。ただそれだけ。だから何にも悪くないの。わかった?それとナナストあなたの名前はこれからワンスト。この地で新たに兄弟達と共にスト族を反映させて行きなさい。私は天国であなた達を見守っているから。」
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