諦めず天国なのだ！

　第ニ章
　第28話、諦めず天国なのだ！

「ああああああああああーー！！！！」
　痛い。体の中が熱い。耳鳴りがひどい。視界も霞む。体が動かない。何もできない。

「ああ〜、いい声で泣くわね〜。それにあなたすごいわ！わらわの足をニ本も切り裂くなんて。下等種族で強魔族に傷を負わせたのは私はたった一人しか見たことがない。あなたが二人目よ！素晴らしい！でもあと一手、詰めがあま〜い。このまま死なせるってのも悪くないけど、少しいたぶってから殺してあげる！」

　痛い。ただただ痛い。全身が痙攣する。

　僕はこの世界に転移されてきた。それは前の世界でさんざん苦しい思いをして死のうとしたから。
　そう、どうせ転移されてなかったら死んでたんだ。この世界に来てからだって苦しいことは多かった。でもこの世界では嬉しい、楽しいことの方が多かった。守るべきものも恋する相手も見つけられた。だから

「こんなところでくたばってたまるか！」

僕は全身の痙攣を止め、めまいで視界が見えなくても。耳鳴りがひどく頭が痛くても、全力で立った。そして

「まだだ！シチホダ！まだ戦う！た、戦わなきゃいけないんだ！」

　僕は大声で言う。ボーとしてシチホダの姿が霞む。音声もあまり聞き取れない。だが驚いているようだ。こんな姿でも戦おうとしているからだろうか。
　僕は魔力を振り絞りサンダーソードを発動させる。シチホダが来る。鞭で叩いて来る。受け止めれずに吹き飛ばされる。

　痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い！
　でも戦う勝つんだ！
　また剣を構える。吹き飛ばされる。
　どんなに痛くてもどんなに辛くても戦い続ける。僕は決して諦めなかった。

　何回吹き飛ばされただろうか。もう立てない。それでも立ち上がろうとする。でも叩きのめされる。

「ああ〜もう、まだ頑張るの？もういいんじゃない？あなたは勝てないの！わかる？この状況下であなたが勝てる可能性はないの！」
「ま……だ……かて……る……。」
「ああ〜もう！うざい！」
　また立とうとしたら鞭で叩かれる。僕はとうとう力を使い果たしてしまい、立ち上がることはできない。

「やっと静かにしてくれた？」

　全身が痺れ動くことさえできない。

「はい！じゃあトドメを刺しま……」

「………！！！？？？」

　
　その時僕は確かに見えた。光がシチホダを貫くのを。そしてシチホダは血を流しながらその場に倒れたのを。　　　　　　　　
　
　それを最後に僕は意識を失った。

ーーー

　ワンストさんと誰かが話している。ここはどこなんだ？死後の世界なのか……？

「あなた村長さんですね？」
「ああ、そうだが君は？」
「そんなことはどうでもいいです。この人を布団に寝かせてあげてください。」
「え？あきら？大丈夫なのか？これは？」
「大丈夫だと思います。私が回復魔法を……」
「ありがとう。感……る。」

ーーー

　どれくらい眠っただろうか。静かだ。天国なのか、そう思って目を開ける。
　見たことのある天井、知っている感触。

「こ、こは？」

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