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300年 吸血 鬼ごっこ

☆夢愛

第18話 〜vs.ロンドミゲル〜

 ロンドミゲルが学校を石に変えていく、その様子を私達は静かに観察する。観察っつぅか、こっそり見てるっつぅか。
 香恋の家にいたSPの方々にも協力してもらう事にし、迎撃準備を開始する。早めに。

「来た瞬間、一斉に撃ってもらえますか? それで倒さなければ皆さんは逃げてください」

「了解しました」

 SPの人達は本来無関係だから、危険な目に遭わせる訳にはいかない。本当に戦うのは私と香恋の聖女二人と、ヴォルフの三人だ。
 ユナのことはSPの皆さんに頼んで避難させておいて、これでもう運が悪くなければ誰も巻き込むことはない。ロンドミゲルとの決戦の時が近づいてくる。
 石化させてしまうゴルゴンの特殊能力キャプシャルと、聖女を狙う吸血鬼としての本能。恐らく過去最強の敵である為、不安に思っていない人物などここには存在しない。
 ヴォルフが居なければ、こうして対抗する事も出来ずに殺されるだけだった。コイツには感謝だね。

「ヴォルフ、お前がいてくれて本当に助かったよ。今回も手を貸してくれ」

 私が言うと、微笑みを浮かべ溜息を零すヴォルフ。何で溜息だコンニャロー。

「守るって言ったし約束したでしょ? 皆のことを」

「そうだな」

 ロンドミゲルが石化させた人間は元に戻るのだろうか? そんなこと、訊いてもヴォルフが判るとは限らないし、今はこちらへ来るであろうロンドミゲルに集中しとかなきゃ。
 ある意味一発勝負なんだ、これは。銃やワイヤーの網、バズーカなどの攻撃が外れたらヴォルフが挑むけど、当たるよりは確実に勝ち目が消えていく。
 そもそもヴォルフ自身が奴と対等にやり合えるかすらも危ういらしいし。

 それでもこの最難関をクリアするには、やるしかない。あいつを、ロンドミゲルを倒すしかないんだ!

「来た……!」

 ヴォルフが睨みつける遠くの上空には、学校に居た時と全く別の恐ろしい姿をした……恐らくロンドミゲルが浮いていた。

「何だアレ……」

 エメラルドグリーンの髪は全て碧く緑っぽくも見える蛇に変わっていて、漆黒の翼が数メートルに渡り広げられている。肌は最早血色の無い白さで、死人を連想させるほど。睨みつける瞳は気を抜いたら恐怖で縛り付けられそうな威圧感がある。
 そんな恐ろしいオーラを放つロンドミゲルは、未だ微笑みを見せる。この状況を愉しんでいるかのように。

 SPの皆さんが銃を構え、バズーカを構えるが避けようとする素振りは一切見せない。
 一瞬でも隙が出れば、スナイパーとして隠れているネット隊が捕まえてくれる筈。それだけを信じるしかない。

「まだだ、まだ遠すぎる。これじゃ外すぞ……!」

「どうするヴォルフ、どうやったら近づいて来ると思う!?」

「わ、からない」

 とにかく、ギリギリ弾の速度を追える程度の距離を保っているらしいロンドミゲルは、攻撃はして来ないもののそれ以上近づこうともしてこない。こっちの策戦がもろバレしてる訳じゃねぇよな!? かなり時間が空いた筈だし。

 でも、もしも奴が私達の策戦を解っているんだとしたら、勝機は一瞬で十分の一程度に下がってしまう。
 何とかしてこっちに来るよう誘き出さなきゃ。

「僕が挑みに行ったら銃撃隊の攻撃が通用しなくなるし、凌菜ちゃん達が近づいて行ったら攻撃が出来なくなる。どうする?」

「どう……すっかなぁ」

 八方塞がりって言うんだっけ? こういうの。まずったなぁ、後方にも味方を付けとくべきだった。
 背後からの狙撃が有れば奴は動かざるを得ない訳だから格段に成功率がアップするんだけど。こんな状況じゃもう指示出来ない、したとしてもバレる。
 もう本当にどうしような、コレ。今までの吸血鬼と違ってこういう面でも優れてんのか? アイツ。

 只々、サングラス越しの睨み合いが続く中、黙っていたロンドミゲルが口を開いた。

「僕と遊んでくれるって訳じゃないんだね? だったら纏めて吹き飛ばした方が早いのかな?」

「な、何言ってんだお前。そんな事したら私達聖女も吹き飛ぶんだぞ!?」

「興味無いね。僕は君達聖女の血が欲しいんじゃない、君達聖女で遊びたいだけさ。人間を潰して遊びたいんだよ」

「え……!?」

 ロンドミゲルの狙いは完璧に聖女の血って訳じゃなかったのか!? 人間を潰して遊ぶってことは、ただの暇つぶしか何かなのか……!?
 どっちにしろコイツを生かしておいたらこの街の人間は全滅する。それって、300年前と似たようなもんじゃないか?

「解ったぞ、ロンドミゲル。お前は300年前に人間の惨殺を行った種族の一人だな……!?」

「え、マジか!?」

「ふふふ、そうだよぉ? 僕は300年前に戦争が終わっちゃったから、生き残った人間達で遊んだ。何千人殺したかなぁ? すんごく興奮したの」

 イカれてやがる。いや、これが本当の吸血鬼なのか!? でも吸血鬼は女の血を欲しがるだけの筈。こいつの種族が特別殺人を愉しんでるだけか。ふざけてんな本当よ。

「君達もさ、血をいっぱい、見せてくれないかな? ね? 凌菜ちゃん……?」

「ふざけんなよ! これ以上お前に好き勝手やられて堪るか!!」

「撃てぇ!!」

 隊長さんの掛け声と共に一斉に発射された銃弾は、やはり遠目だからか偶に掠るも大したダメージは行っていない。やっぱり無謀だったのか。
 ロンドミゲルは致命傷になりそうな攻撃は全て避けるようにしてるらしく、時々回避行動はしてる。効かない訳じゃないんだね。

「ふふ。痛い痛い、痛いなぁ。血の匂い……んっ、堪らないね」

「それお前の血の匂いだからね!?」

 大丈夫かアイツ!? 人間だったら毎日リスカとかしてその血溜めて『ああ〜、血の匂い〜』とか言ってナニかしてそうだな。おお怖い。
 病んでるよね、絶対病んでるよねアレ。もう、血の匂いでうっとりしてんじゃねぇよ。私は今気分悪いよ。
 銃撃隊が攻撃を開始して数十秒経った。聞いた感じだと一分で全ての弾を放ち終えるから、そろそろヴォルフの出番だ。

 三、二、一……!

「行けヴォル……!!」

 ────私が集中し過ぎて気付かなかったのか、一瞬過ぎて判らなかったのか、辺りは静まり返っていたのにたった今気付いた。
 どうなってるかと問われると、出て来る言葉は『何も無い』だ。
 ヴォルフが居なくなっていて、銃撃隊やSPの皆さんはその場に倒れている。外傷は見た感じ分からないけど、失神しているみたいだ。
 立っているのは私と香恋の二人だけ。車だって転倒してる。それだけで分かり切ってるのは、ロンドミゲルが私達だけにする為攻撃をした──ってところだろう。

 どうやった? どう攻撃してきたんだ? 全く分からない。それ故に二人共一歩も動けなかった。
 目の前のそいつは、まだ余裕に笑みを見せてるのに。

「で、君達がやろうとしてた事は何? アレだけ? ふふ、ちょっと痛かったかな。暇だね、ヴォルフ君が帰って来るまでガールズトークでもする? ふふふ」

「いやしねぇよ」

 おもクソ普通にツッコミ入れちまったけどよ、『ふふ』っての多くね? お前。
 つぅかガールズトークって言ったけどお前も女なんだろうけど女に見えねぇからな、吸血鬼。蛇髪だしよ。怖いよ。まあ女に見えないって言ったら男っぽい私もそうなのなも知れないけどさ。
 隣にいるこのお嬢様は欲求不満らしい美少女だけどさ、こんなのとガールズトークなんてしたところで『彼氏欲しい』を延々と聞かされるだけだと思うぞ。
 何の話をしてんだ私はよ。

「ヴォルフ君、死んじゃったかなぁ? ならもう聖女達で遊んじゃっても良いよねぇ?」

「……っ!」

 伸ばされて来る右手から、ライトブルーの蛇がするりと出て来る。正直蛇は苦手なんだけどなぁ。
 待てよ、この蛇が狙ってるのって顔!? いや、違うサングラスか! ダメダメ!
 私は飛び退き、香恋の手を握る。そして全力で誰も居ないと思われる細道へ駆けていく。

「香恋! 行くぞ! SPの人達からアイツを遠ざける! そんで……私達だけでやるぞ!」

「どうやって……!?」

「知らね!」

「バカって言っても良いですか!? それとそんな全力疾走したら凌菜さん、スタミナ保ちませんよ!?」

「んなこと分かってる……っ! けど、他の人を巻き込みたくない!」

 んなこと、当たり前だろ!? 誰だって自分が原因の場合他人巻き込みたくないだろ!? ──そうでもない? だとしたら酷い。

「そうでもないです」

「酷い」

 まさかお嬢様がそんなこと言っちゃうなんて夢にも思っていませんでした。まさか他人を巻き込んでもどうだって良い方の人間だったとは。
 ん? あ、もしかしたらお嬢様だからこそか? SPとかメイドとか色んな人を常に巻き込んでるもんね。うん。慣れてるのかもな。
 だとしたらもうちょっとお付きの方達の事を考えて行動してあげるといいですよ、香恋お嬢様。

「ちっ! ……って、ここ前にガルドに連れて来られた泉じゃねぇか! 何で近くにあるんだよおい」

「実は結構走りましたから。適当に」

 あ、マジで? あ、本当だ、頭がクラクラ酸欠状態ですよアハハのハ。吐き気もするし、長く走り過ぎたっぽいなやっちまった。
 さて、こんな林の中だしそう簡単には見つからねぇだろ。今の内に武器を準備して、サングラスもチェックしとこう。よし、チェック完了。

「凌菜さん、どうするつもりなんですか? 私達では彼女相手に何も出来はしないですよ。殺されるだけです」

「んなこと分かってるよ。だから一つの策に賭けるんだ」

「策?」

 話はアイツが来てからだ。吸血鬼はあるもの・・・・に弱い、それが本当なら一矢報いられるかもしれない。
 倒せはしないだろうけど、少しくらい役に立たなきゃ倒れた皆や石にされた皆に申し訳立たないからよ!

 にしても遅いな。だけど私はもう学習してる。奴等相手に背中を見せれば敗けだ。
 背後を木にして、尚且つ気にもする。ダジャレじゃないからな。そんな余裕無いからな。
 それで他の道、空、泉を全て見張る。慣れないだろうけど、香恋には私特製鉄杭(が刺さった)金属バットを貸しておく。久々だね、相棒。
 準備は万端だ! かかって来いロンドミゲル!








どうも☆夢愛です!
今回のvs.ロンドミゲルはあと2話は続く予定です。長いなぁ。
最強であり最後の相手となった吸血鬼は女でしかもゴルゴンとのハーフ。凄い意味不明な生命体(?)なんですけど、最後までよろしくお願いします!


完結カウントダウン!  【5】

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