300年 吸血 鬼ごっこ
第7話 〜本当は優しい奴? 〜
最近思う様になった事が有る、 それはとある同級生吸血鬼の事だ……まあそいつは何百年も生きてるけど。
そいつは誰かと聞かれるのならばまあ普通に答えるけど、 彼の名はヴォルフ。
300年前、 私の前世の人間と血を頂く約束の様な事をし、 生まれ変わりである私の事を吸い尽くそうと現代に蘇った……いやまあ生きてたけど。
『1週間に1度の吸血鬼ごっこ』……初めのうちは本当にそうやって殆ど毎度敗北し血を吸われていたけど、 前に遊園地で行った時は初勝利し血を吸われずに済んだ。
けど何が私をそうさせたのか、 血が足りなくやつれたヴォルフに自ら血を差し出してしまったのだ。
やっぱり変だよなぁ、 とそれが今思ってる事である。
何百年もの間生き続けているのに、 他の吸血鬼とは違って別の人間を狙わない、 私だけを一途に追う彼を見て意外と良い奴かと思ったり……。
 「私ってアイツに何望んでんのかな……」
そしてアイツはアイツで私に何を望んでいるのか……とても疑問に思い続けてる。
 「りょーちゃん! 昨日攫われたんだって!? 目撃者がいるって聞いて……大丈夫!? 」
いつもの様に学校では幼馴染みに話しかけられるけど、 まさか誰かに見られてたとは……ん? 目撃者がいるって事はまさか裸見られた!? てかそもそも男装バレしてないのか!?
一気に学校に行きたくなくなった。
 「何の事……だ? 私は別に……そんな事……」
明らかに嘘だが、 私の幼馴染みはこれくらいで納得してしまう程私を信用している。
本当ごめんね騙す様な事して、 でも男装バレたら色々とヤバいんですよ。
私達は学校に向かってる途中、 ある事に気付いた。
いつもならここら辺、 公園の間近くにヴォルフが待ち構えている筈なんだ。
もしかしてマルスとの戦いの傷が癒えてないとか? ……だとしたら私の所為だ、 罪悪感がこみ上げてくる。
 「あ、 ヴォルフ君」
 「いや居たんかい」
ヴォルフは気付かれない様に服で隠したり我慢したりしているが、 明らかに身体を痛めてる。
何か上を見つめている姿にときめいてしまう私はきっとどうかしてるんだろう……そうに違い無い、 そう思っておこう。
 「何してんだよ、 ヴォルフ」
私が自ら話しかけたのを見て由奈は『もう大丈夫なの? 』と聞いてきた、 恐らくヴォルフが来た日にあまり近づくなって言ったからだろう。
 「ああ、 大丈夫」
私は夏の葉が降り注ぐ中、 隣の幼馴染みに微笑みかけた。
私はもうアイツの事を知ってる、 今はまだ標的なのかも知れないけどそれでも良い奴なのは分かってる。
……最初はドSかとも思えたけどね、 血吸われるの痛いし怖いし嫌だけどね。 うん。
 「2人共……上見て」
私達に気付いて少しだけ驚いたヴォルフはすぐに笑顔になり、 再び上を向く。
 「上……? 」
私は言われた通り上、 木の上を見るとそこには小さな鳥の巣が作られてあった。
甲高い鳴き声をあげる掌に全部収まるであろう3匹の雛達は、 親鳥から餌を貰うため必死に叫ぶ。
私はその光景を見て特に何も思う事は無いが、 ヴォルフや由奈は穏やかな表情をしている。
何か関係のある感情を持っているのだろうか……私には到底分からなかった。
 「行こう、 そろそろ僕達も羽ばたく時間だ」
一瞬コイツ何言ってんだとも思ったけど、 敢えてツッコマず頷いた……何言ってんだか全然分からねーけど。
とりあえず学校に行こう、 という事なのは何となく分かった。 登校時間過ぎてるし。
遅刻ギリギリで教室に入れた私達は結局準備中に時間切れで怒られた、 まあ別に気にはしないけど。
どっちにしろ授業は出られるからな。
昼休みの間、 私は最近由奈とではなくヴォルフと居るようになった。
これも進歩なんだろうけど、 他にも別の事が関係してるようにも思えた。
 「……傷、 大丈夫なのかよ」
 「僕は全然。 凌菜ちゃんは外出るの怖くないの? 」
質問にはちゃんと答え、 そして質問をして来たヴォルフに対し私は無言で首を横に振った。
  怖くない、 お前が居るから……なんて口には出さない。
 「お前って、 私のことどう思ってるんだ? 」
何となく口に出した、 少し気になっただけなのに私の表情は恐らく真剣だ。
多分、 何かの答えを期待してる……でもそれがどんな答えなのかは自分でも分からなかった。
ヴォルフは卵焼きを食べ終わると口元を拭き、 私の顔に自分の顔を近づけてきた。
 「僕の獲物」
 「あっそ」
予想はしてたけど、 胸に棘が刺さった気がする。
私は自分のハンバーガーを頬張りそっぽを向いた──恐らくこれは欲しい言葉じゃなかったんだろう。
ヴォルフはキョトンとしてるけど、 私はその後数十分の間彼と目を合わせる事はしなかった。
何か、 ムカついてた。
……思えば、 『守る』って言われた時は胸が高鳴って凄く嬉しく感じてた。
でも今は『獲物』と言われて棘が刺さった様な痛みが来てムカついている……もしかして私は、 コイツに『大事な人』とでも言われたいのだろうか。
……違うと思うけどなぁ、 こんな変態吸血鬼。
私がバレない様に横目でヴォルフの事を見ると、 彼の煌めく黄金の髪が靡き、 綺麗に整った顔に鼓動が激しくなった。
一体私は何なんだと言うんだ……そう思いながら目線を逸らした。
 「ヴォルフ、 ちょっといいか」
放課後、 少し尋ねたい事があったのでヴォルフを呼び止めた。
ヴォルフは笑顔で頷き、 私後を付いてくる。
 「最近凌菜ちゃん普通に話してくれるね? 」
 「血はやらないけどな」
そうなんだよ、 私は血を狙われてるんだ。
そんな奴相手に普通にしかも自分から話しかけてるんだ……おかしいんだよ、 その事が知りたかったんだ。
 「お前……私をどうしたい……? 」
自分の家、 自分の部屋に彼を連れ込んだ私は服の裾を両手で握り聞いてみた。
何か、 私が何かをして欲しいみたいな感じになっちゃってるけど、 それは無い。
目を丸くして考え込むヴォルフは、 その後答えを導き出した様で口を開く。
 「凌菜ちゃんと○○○したいかどうか? 」
聞かなきゃよかったかも知れない、 何で吸血鬼とそんな事しなきゃいけないんだよ、 な訳無いだろこのド変態吸血鬼。
私が聞いてるのはこれからの事で……。
 「僕は血を貰うよ、 でも仲良くもしたいし死んで欲しくも無い。 だから守りながら貰うね」
聖女の血を飲むと吸血鬼は強大な力を手に入れることが出来る……恐らくコイツはそういうのが目当てでは無く、 ミルフィとの約束を果たしたいんだろう。
 「そっか」
私は安心して溜息を吐くと、 ベッドに転がり目を閉じる。
コイツは多分何もして来ない、 これからもずっとミルフィの為にしか生きようと思わないだろう。
私にはそれが良くもあり辛くもあった……何故だろうね、 胸がまた痛む。
ま、 別にいいか今日は。
 「……ん? 」
私が身体に重みを感じて目を開けると、 ヴォルフが上に押し倒す感じで乗っていた。
何してんだコイツ、 めっちゃ重いんだけど。
 「あ、 いや誘われたのかなって……」
 「な訳ねーだろ!! 」
今窓ガラスに突き刺さっているこの吸血鬼は優しいんだろうが変態だ、 ド変態だ。
こんなのと居たらいつか別の事で襲われる気がする……てか何で吸血鬼が人間相手に欲情してんだよ。
基本は餌の様なもんなんだろ!? 何でヤる気でいるんだよコイツ。
全身が火照り、 恥ずかしがってる自分にも気付かず私は1階に降りた。
アイツは優しいし良い奴だ、 それは分かった。
そしてアイツは異質でエロい奴だと言うのも分かってきた、 分かりたくもなかった事を分かり始めてしまった。
照れながら嫌がる私……はい、 ここで元の問題へと逆戻りする事になります。
私はアイツに何を望んでるんだ──?
その疑問が解けるのはまだまだ先の事だった──。
どうも☆夢愛です!
この作品とは別にエブリスタで作品を連載しております、    もしそこで書いてる方が居れば同じ名前でやってるので調べてみてください。
今回は3,000ちょっとしか文字数がないですが、 今回は大した話ではないのでこうなりました。
次の話から新展開(?)となりますのでよろしくお願い致します!
そいつは誰かと聞かれるのならばまあ普通に答えるけど、 彼の名はヴォルフ。
300年前、 私の前世の人間と血を頂く約束の様な事をし、 生まれ変わりである私の事を吸い尽くそうと現代に蘇った……いやまあ生きてたけど。
『1週間に1度の吸血鬼ごっこ』……初めのうちは本当にそうやって殆ど毎度敗北し血を吸われていたけど、 前に遊園地で行った時は初勝利し血を吸われずに済んだ。
けど何が私をそうさせたのか、 血が足りなくやつれたヴォルフに自ら血を差し出してしまったのだ。
やっぱり変だよなぁ、 とそれが今思ってる事である。
何百年もの間生き続けているのに、 他の吸血鬼とは違って別の人間を狙わない、 私だけを一途に追う彼を見て意外と良い奴かと思ったり……。
 「私ってアイツに何望んでんのかな……」
そしてアイツはアイツで私に何を望んでいるのか……とても疑問に思い続けてる。
 「りょーちゃん! 昨日攫われたんだって!? 目撃者がいるって聞いて……大丈夫!? 」
いつもの様に学校では幼馴染みに話しかけられるけど、 まさか誰かに見られてたとは……ん? 目撃者がいるって事はまさか裸見られた!? てかそもそも男装バレしてないのか!?
一気に学校に行きたくなくなった。
 「何の事……だ? 私は別に……そんな事……」
明らかに嘘だが、 私の幼馴染みはこれくらいで納得してしまう程私を信用している。
本当ごめんね騙す様な事して、 でも男装バレたら色々とヤバいんですよ。
私達は学校に向かってる途中、 ある事に気付いた。
いつもならここら辺、 公園の間近くにヴォルフが待ち構えている筈なんだ。
もしかしてマルスとの戦いの傷が癒えてないとか? ……だとしたら私の所為だ、 罪悪感がこみ上げてくる。
 「あ、 ヴォルフ君」
 「いや居たんかい」
ヴォルフは気付かれない様に服で隠したり我慢したりしているが、 明らかに身体を痛めてる。
何か上を見つめている姿にときめいてしまう私はきっとどうかしてるんだろう……そうに違い無い、 そう思っておこう。
 「何してんだよ、 ヴォルフ」
私が自ら話しかけたのを見て由奈は『もう大丈夫なの? 』と聞いてきた、 恐らくヴォルフが来た日にあまり近づくなって言ったからだろう。
 「ああ、 大丈夫」
私は夏の葉が降り注ぐ中、 隣の幼馴染みに微笑みかけた。
私はもうアイツの事を知ってる、 今はまだ標的なのかも知れないけどそれでも良い奴なのは分かってる。
……最初はドSかとも思えたけどね、 血吸われるの痛いし怖いし嫌だけどね。 うん。
 「2人共……上見て」
私達に気付いて少しだけ驚いたヴォルフはすぐに笑顔になり、 再び上を向く。
 「上……? 」
私は言われた通り上、 木の上を見るとそこには小さな鳥の巣が作られてあった。
甲高い鳴き声をあげる掌に全部収まるであろう3匹の雛達は、 親鳥から餌を貰うため必死に叫ぶ。
私はその光景を見て特に何も思う事は無いが、 ヴォルフや由奈は穏やかな表情をしている。
何か関係のある感情を持っているのだろうか……私には到底分からなかった。
 「行こう、 そろそろ僕達も羽ばたく時間だ」
一瞬コイツ何言ってんだとも思ったけど、 敢えてツッコマず頷いた……何言ってんだか全然分からねーけど。
とりあえず学校に行こう、 という事なのは何となく分かった。 登校時間過ぎてるし。
遅刻ギリギリで教室に入れた私達は結局準備中に時間切れで怒られた、 まあ別に気にはしないけど。
どっちにしろ授業は出られるからな。
昼休みの間、 私は最近由奈とではなくヴォルフと居るようになった。
これも進歩なんだろうけど、 他にも別の事が関係してるようにも思えた。
 「……傷、 大丈夫なのかよ」
 「僕は全然。 凌菜ちゃんは外出るの怖くないの? 」
質問にはちゃんと答え、 そして質問をして来たヴォルフに対し私は無言で首を横に振った。
  怖くない、 お前が居るから……なんて口には出さない。
 「お前って、 私のことどう思ってるんだ? 」
何となく口に出した、 少し気になっただけなのに私の表情は恐らく真剣だ。
多分、 何かの答えを期待してる……でもそれがどんな答えなのかは自分でも分からなかった。
ヴォルフは卵焼きを食べ終わると口元を拭き、 私の顔に自分の顔を近づけてきた。
 「僕の獲物」
 「あっそ」
予想はしてたけど、 胸に棘が刺さった気がする。
私は自分のハンバーガーを頬張りそっぽを向いた──恐らくこれは欲しい言葉じゃなかったんだろう。
ヴォルフはキョトンとしてるけど、 私はその後数十分の間彼と目を合わせる事はしなかった。
何か、 ムカついてた。
……思えば、 『守る』って言われた時は胸が高鳴って凄く嬉しく感じてた。
でも今は『獲物』と言われて棘が刺さった様な痛みが来てムカついている……もしかして私は、 コイツに『大事な人』とでも言われたいのだろうか。
……違うと思うけどなぁ、 こんな変態吸血鬼。
私がバレない様に横目でヴォルフの事を見ると、 彼の煌めく黄金の髪が靡き、 綺麗に整った顔に鼓動が激しくなった。
一体私は何なんだと言うんだ……そう思いながら目線を逸らした。
 「ヴォルフ、 ちょっといいか」
放課後、 少し尋ねたい事があったのでヴォルフを呼び止めた。
ヴォルフは笑顔で頷き、 私後を付いてくる。
 「最近凌菜ちゃん普通に話してくれるね? 」
 「血はやらないけどな」
そうなんだよ、 私は血を狙われてるんだ。
そんな奴相手に普通にしかも自分から話しかけてるんだ……おかしいんだよ、 その事が知りたかったんだ。
 「お前……私をどうしたい……? 」
自分の家、 自分の部屋に彼を連れ込んだ私は服の裾を両手で握り聞いてみた。
何か、 私が何かをして欲しいみたいな感じになっちゃってるけど、 それは無い。
目を丸くして考え込むヴォルフは、 その後答えを導き出した様で口を開く。
 「凌菜ちゃんと○○○したいかどうか? 」
聞かなきゃよかったかも知れない、 何で吸血鬼とそんな事しなきゃいけないんだよ、 な訳無いだろこのド変態吸血鬼。
私が聞いてるのはこれからの事で……。
 「僕は血を貰うよ、 でも仲良くもしたいし死んで欲しくも無い。 だから守りながら貰うね」
聖女の血を飲むと吸血鬼は強大な力を手に入れることが出来る……恐らくコイツはそういうのが目当てでは無く、 ミルフィとの約束を果たしたいんだろう。
 「そっか」
私は安心して溜息を吐くと、 ベッドに転がり目を閉じる。
コイツは多分何もして来ない、 これからもずっとミルフィの為にしか生きようと思わないだろう。
私にはそれが良くもあり辛くもあった……何故だろうね、 胸がまた痛む。
ま、 別にいいか今日は。
 「……ん? 」
私が身体に重みを感じて目を開けると、 ヴォルフが上に押し倒す感じで乗っていた。
何してんだコイツ、 めっちゃ重いんだけど。
 「あ、 いや誘われたのかなって……」
 「な訳ねーだろ!! 」
今窓ガラスに突き刺さっているこの吸血鬼は優しいんだろうが変態だ、 ド変態だ。
こんなのと居たらいつか別の事で襲われる気がする……てか何で吸血鬼が人間相手に欲情してんだよ。
基本は餌の様なもんなんだろ!? 何でヤる気でいるんだよコイツ。
全身が火照り、 恥ずかしがってる自分にも気付かず私は1階に降りた。
アイツは優しいし良い奴だ、 それは分かった。
そしてアイツは異質でエロい奴だと言うのも分かってきた、 分かりたくもなかった事を分かり始めてしまった。
照れながら嫌がる私……はい、 ここで元の問題へと逆戻りする事になります。
私はアイツに何を望んでるんだ──?
その疑問が解けるのはまだまだ先の事だった──。
どうも☆夢愛です!
この作品とは別にエブリスタで作品を連載しております、    もしそこで書いてる方が居れば同じ名前でやってるので調べてみてください。
今回は3,000ちょっとしか文字数がないですが、 今回は大した話ではないのでこうなりました。
次の話から新展開(?)となりますのでよろしくお願い致します!
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